学校クラスコンサート20周年~音楽室にアーティストがやってくる!

学校クラスコンサート20周年~音楽室にアーティストがやってくる

ピティナ学校クラスコンサートが、2025年6月にちょうど20周年を迎えました。2005年6月9日に埼玉県北本市立栄小学校にてスタートして以来、地域の会員、協力アーティスト、自治体をはじめ様々な方々の熱意に支えられ、20年間で約14.5万人の児童へ音楽を届けることができました。20年の歩みと拡がりを多方面より支えてくださった皆さまへ感謝するとともに、今後の事業継続のため、より多くの皆さまのご賛同とご支援をお待ちしております。

北村明日人さん・森永冬香さん・木内佳苗さん

ピティナ学校クラスコンサートって?

小学校の音楽室をアーティストが訪れ、1クラスずつのコンサートを行います。息遣いの感じられる近さで迫力ある演奏を聴き、自分の目で見て、肌で感じ、また楽器の動く様子や演奏の様子を観察し、質問や共演でアーティストとコミュニケーションを取ることで、能動的なコンサート体験が可能です。

(左)ヴァイオリン鈴木舞さん(中)クラリネット大成雅志さん(右)チェロ上條里紗さん&大原慧子先生
  • 最初に演奏をきいた時、想像をはるかにこえていて、心にひびいて、言いようのないすごさだった。「音楽はすてきなもので、人の心をうごかすもの」なんだなと思いました。(岸和田市・児童)
  • 超一流はすっごく努力しているのだと思いました。そしてピアノに対してすごく強い思いがあり、好きな事に熱心に取り組むと、成功することが出来るのだと分かりました。(高知市・児童)
  • 演奏者の弾く姿を食い入るように見つめている子どもたちの姿は、どんな言葉よりも音楽の素晴らしさや楽しさを感じさせるものでした。(高知市・学校)
  • 目の前で素敵な生演奏を聴けたことはもちろん、演奏中の楽器の響きを体感したり、演奏姿や息遣い、空気を間近で感じたり、プロの生伴奏で歌えたりと、デジタルではない「生の音楽のよさ」を肌で感じ、存分に味わうことのできる非常に貴重な経験でした。(久喜市・学校)
20年の歩みと拡がり~172市区町村で、14万人以上の児童が参加

初年度に29校で始まった学校クラスコンサートの実施校は、2024年度までに のべ1,430校 にのぼり、 累計144,970名の児童・生徒 が参加しました。これまでに開催された自治体は、 全国46都道府県、172の市区町村 になります。開催地域は、ピティナ特級グランプリの地元や出身地から始まり、有志の会員、支部ステーションの地元、ステップ開催地と、様々に拡がりました。

都道府県別開催数(回・のべ)
  • 500~
  • 200~499
  • 100~199
  • 50~99
  • 10~49
  • 1~9
総勢466名の協力アーティスト

子どもたちの心を動かすのは、アーティストたちの演奏とコミュニケーションの力です。これまでの協力アーティストは、 ピティナ会員ピアニスト202名と、ご賛同いただいた他楽器の共演アーティスト264名 の皆さまです。「アーティストの本気の心」が伝わるよう、子どもたちに伝えたい音楽とお話を自ら考え、自らの言葉で伝えていただくことを大切にしています。演奏形態も様々で、 ピアノソロ・連弾から、弦楽器・管楽器・打楽器・声楽・ダンスなど31種類 に及びます。共演楽器の存在により、ピアノと異なる楽器との音や仕組みを比べたり、ソロとアンサンブルの違いにも気づくことができます。

(左)ダンサー大嶋くららさん(中)トロンボーン安久津理子さん(右)マリンバ浜まゆみさん
これまでの出演楽器
  • ピアノ
  • ヴァイオリン
  • チェロ
  • ヴィオラ
  • コントラバス
  • フルート
  • クラリネット
  • オーボエ
  • トランペット
  • トロンボーン
  • ホルン
  • ファゴット
  • サクソフォーン
  • チューバ
  • リコーダー
  • 鍵盤ハーモニカ
  • 打楽器
  • マリンバ
  • ハープ
  • 三味線
  • テルミン
  • オカリナ
  • ソプラノ
  • メゾソプラノ
  • テノール
  • バリトン
  • コーラス
  • 民謡
  • 口笛
  • 朗読
  • 映像
  • ダンス
20年で生まれた循環

20年の間に、当時参加した児童も大人になり、嬉しい循環も生まれました。循環の形が多様であることも学校クラスコンサートの特徴です。

  • 小学4年生当時に学校クラスコンサートを体験した堤莉咲子さんは、2018年からはアーティストとして北本市の小学校へ音楽を届ける側になりました。インタビュー
  • 横浜市で海野春絵さんと海野幹雄さんの学校クラスコンサートを体験した中島美由さんは、ヴィオラ奏者になって海野さんらに再会し、共演を果たしました。インタビュー
  • 出身地である岸和田市を回っている早田有里さん・永田桜子さん・伊石昂平さんらは、当時の恩師とアーティストという形での再会が叶いました。インタビュー1インタビュー2
  • 高知県安芸市を16年間にわたり訪れてきたデュエットゥは現地の子どもたちと一緒に歌を作り、給食の時間や街中でも流れる歌になりました。
    インタビュー
(左・中)小4当時、佐藤展子さんと→ピアニストとして出演する堤莉咲子さん(右)海野春絵さん・中島美由さん・海野幹雄さん
早田有里さん・伊石昂平さん・永田桜子さんらが恩師と再会
拡がる支援の輪~ひとりひとりに、できること

ピティナ学校クラスコンサートは、ピティナ会員の地域への貢献を応援する公益事業です。学校クラスコンサートを1校開催するにあたっては、下記のような経費が必要です。

  • アーティスト謝礼
  • アーティスト交通費
  • 学校・アーティスト・コーディネーター・
    自治体間の通信連絡・郵送費
  • 広報作成費
    プログラム、ポスター、パンフレット、説明資料、レポート、動画等
  • 事務人件費
    本部、コーディネーター

「子どもたちに目の前で音楽の感動を伝えたい」 という共通した願いの達成のため、これらの負担を、関わる人々が それぞれ「自分たちができること」 を分担し、協力の輪を広げる努力をしてきました。今後もこの事業を持続させ、ひとりでも多くの地域の子どもたちに学校クラスコンサートを届けるため、皆さまのご支援をお待ちしております。

それぞれの、応援のかたち~
アーティストとして応援!

1クラスずつ学校クラスコンサートを届けるために、アーティストたちには朝早くから小学校を訪れ、45分のクラスを2~3コマ連続で行ってくださいます。目の前の子どもたちの反応に応じてコミュニケーションを取りながらのプログラム展開は、真剣勝負。アーティストはそれぞれの持ち味を生かして、全力で子どもたちに向き合っています。

伊賀あゆみさん

子どもたちの驚きや興味を肌で感じながら演奏できるところが、普段のホールでのコンサートでは味わえない醍醐味です。反応を見ながらキャッチボールする感覚を磨き、聴き手と弾き手が「感動」を共感するという原点を感じることは、アーティスト自身が成長するためにとても大切なことだと感じています。インタビュー

最上峰行さん

学校クラスコンサートは僕自身が音楽家として生きてきた中でも大切に思っている活動の一つです。すごく好きなものを一生懸命ずっとやっていると、必ず結果が出るのが人生だと思っているので、自分の姿を通して何か伝わればと願っています。音楽を通して考える事、想像する事、思いやる事、助け合う事など、とても大切な事を伝えていく事が、音楽家の大切な役割だと思います。その入り口に学校クラスコンサートがあると思っています。インタビュー

(左)山縣美季さん&オーボエ最上峰行さん(中)伊賀あゆみさん&ヴァイオリン竹中勇人さん(右)南杏佳さん
コーディネーターとして応援!

支部・ステーション・会員の先生方には、地元の学校や自治体との間のコーディネーターとして活動していただいております。「希望する学校を探す」「教育委員会の方をご紹介いただく」「地元の協賛を探す」「地元の広報にご紹介くださる」「当日アテンドしてくださる」「記録写真やレポートを送ってくださる」など、それぞれの会員の得意分野や地元のつながりを生かして、ご協力いただいています。

大原慧子先生(北本支部)

学校クラスコンサート発祥の地、北本市。「全ての子供達に公平に音楽の素晴らしさを伝えたい!」との想いに当時の市長が共感くださり市内全校でスタートしました。 2005年から20年の月日は流れ、参加児童も1万人以上にのぼりました。長年ボランティアの地元アーティストを評価し、現市長はふるさと納税から謝礼の授与、さらに教育委員会との共催により、コンペ・ステップでの文化センターの大ホールの無料使用をご快諾くださり、ピアノを学ぶ子供達への支援へとつながりました。永きに亘りまして、音楽と子供達を通じての、北本市との絆に謹んで感謝いたします。

(左)創始当時の石津賢治北本市長と(中)第1回開催の様子(右)三宮幸雄 現・北本市長と大原慧子先生
井上朗子先生(岸和田ちきりステーション)

ピティナの学校クラスコンサートの理念に共感して岸和田市で初めて学校クラスコンサート開催を試みたのが2014年。その後、楽器店に協賛していただいたり、ブルグミュラーコンクールと共催したりしながら、少しずつ開催校を増やしてきました。2024年より岸和田市からの委託を受け、岸和田市全24の小学校での開催が実現。夢に見た「地域の小学校全校へ、地域出身のアーティストが音楽を届ける」ことが叶いました。

横田倫子先生(正会員/福岡県)

郷里への帰省を機に地元で音楽活動を始めたいと思い、文化庁の助成を申請して学校クラスコンサートが開催できることを知って動き出しました。教育委員会を一つひとつ訪ね、手を挙げてくれた学校で開催。初年度は近隣4市計8校にて実現しましたが、次年度の申請で不採択となり、資金がないと継続できない現実も痛感しました。体験した学校や子どもたちからは喜びの声も多く、今後は地域に根ざした応援の仲間を増やせるよう模索したいと思っています。

ステーション主催で応援!

ステップとの連動企画として、ステーション主催で学校クラスコンサートを開催しています。ステップのアドバイザーが翌日の午前中に地元の学校でクラスコンサートを実施することで、単独で開催するよりも少ない負担で、ステーションの活動を地域のより多くの子どもたちの支援へと拡げることができます。ステップに参加した子にとっても、自分の演奏にコメントをもらったアーティストが学校へ来てくれるのはとても嬉しいことです。

藤原鈴佳さん
菊池悦子先生(いとしまステーション)

ピアノを習っていない地域の子ども達にも音楽に興味をもってもらえる素敵な取り組みだなと思い、ステップとあわせて開催し今年で9回目。保護者の仲介で教室の生徒たちの学校を回っていますが、ステップでお会いした先生や私たち講師が学校に来てくれるのは子ども達にとって自慢のようで、保護者にも喜ばれています。また学校の先生方のとの交流が深まることで、生徒達ともよりコミュニケーションが取りやすくなりました。

自治体として応援!

特色ある教育政策の一つとして、学校クラスコンサートを学校へご紹介くださっている自治体もあります。自治体の規模や政策により、「学校へ一斉に募集をかける」「希望校を取りまとめる」などのご協力をいただいています。北本支部を筆頭に、支部やステーションが独自で実施してきた実績と反響の結果、自治体連携が実現し予算がついた地域もあります。市長表敬、市長や教育委員会の見学など、自治体での認知も拡がっています。箕面市では鈴木愛美さんが母校の後輩に見守られる中、原田市長から「箕面ピアノ音楽大使」を任命される場面もありました。

(左)原田亮箕面市長と鈴木愛美さん(中)佐野英利岸和田市長と井上朗子先生(右)北本市神子修一教育長と笹原伸一先生、支部の先生方
岸和田市魅力創造部文化国際課課長 田宮真理子さん

小学校へのアウトリーチ事業展開を検討していたところ、岸和田ちきりステーションの長年の取り組みを知りました。多感な時期にさしかかる小学生に対し豊かな音楽体験を提供するという重要な使命、さらに本市出身の若手演奏家の育成にも取り組んでいらっしゃったことに感銘を受け、市として一緒に事業を継続発展させていけるよう、議会や校長会へはかり、全校での実施が実現しました。

学校・保護者として応援!

学校クラスコンサートを授業の一環として実施するため、学校のご協力も欠かせません。多忙な業務の間に、学年担任と音楽の授業の調整、保護者への周知、子どもたちへのご指導、レポートやアンケートの共有など、多方面にご協力くださっています。保護者として学校との橋渡しをしたり、PTA主催の事業と発展させてくださったケースもあります。

川崎市立犬蔵小学校PTAイベント委員様
海野春絵さん&チェロ海野幹雄さん

本校のPTAでもある海野幹雄さん・海野春絵さんに音楽の授業で子どもたちのためにチェロとピアノのコンサートを行っていただいたところ、保護者より「保護者も参観できるコンサート」のご要望があり、PTAイベント委員主催で引き継いで開催することとなりました。美しいプロの生演奏を間近で聴けただけでなく、子どもたちの惹き込まれる様子を見ることもできたと大変好評で「また来年も!」との声があがりました。

寄付・協賛で応援!

個人・企業単位でのご寄付やご協賛で応援くださっています。ご自身の地域での学校クラスコンサート開催についてのご協賛は、アーティスト派遣費用の一部に充当し、プログラムへご芳名を掲載させていただいております。ピティナ本部「学校クラスコンサート事業へのご寄付」へいただいたご支援は、全国の学校クラスコンサート開催の事務・広報支援の一部としてありがたく使わせていただいております。少しでも多くのご支援を賜れますようお願いいたします。

学校クラスコンサート、20周年おめでとうございます!『続ける』ことの大切さも大変さもわかるだけに、20年の歴史と重みを感じます。数年前に母校の小学校の記念式典にてゲスト演奏をさせていただき、その時の子供達のキラキラとした目が忘れられません。Liveだからこそ心に響く空気感や良さがあり、それを限られた子だけではなく、平等に子供達に味わってもらえるこの上ない機会が学校コンサートだと思います!この素晴らしい活動を全国の全ての学校に広め、子供達の心に音楽の力で何かを灯せたら...との願いを込めて、微力ながら寄付させていただきました。これからも、ますますこの活動が発展していきますよう、心からお祈りしております。(畠野葵先生/正会員)

(左)篠永紗也子さん(中)尾崎未空さん&ヴァイオリン石原悠企さん(右)梅村知世さん

学校クラスコンサートへのご寄付

ご協賛のご相談は以下メールアドレスへご連絡ください
school@piano.or.jp

会員個人、支部ステーション、アーティスト、自治体、保護者、学校、様々な立場から、それぞれができることを持ち寄り、学校クラスコンサートを通して「みなで地域の子どもたちを音楽で支える」社会の実現を目指しています。

学校クラスコンサートの実例を見たい!

アーティストの数だけ、学校の数だけ、クラスの数だけ、学校クラスコンサートの形があります。そして、それを受け止めたひとりひとりの児童にとっても、それぞれ受けた感動や影響も違います。

それぞれのプログラム内容に加え、写真、動画、演奏者や学校の先生のコメント、児童の感想などもご覧いただけます。

学校クラスコンサートのレポート

(左・右)児童の皆さんからのお手紙(中)合奏や歌で児童と共演
学校クラスコンサートを開催したい!

下記窓口へお問い合わせください。

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