丸の内2025 開催レポート:5/5 丸の内オアゾ

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2025
開催レポート:5/5 丸の内オアゾ

最終日の5月5日には、各会場をめぐる「ショパンをたどるメモワール」を開催。丸の内オアゾ〇〇ひろばではそのトップバッターを稲沢朋華さんと柴田陽人さんがつとめました。宅ティカートオーケストラメンバーによる弦楽五重奏、現役の一般大学生のピアノ愛好家たちによる時空旅行、そして3日間の最終公演はデュオ企画のデュエットゥで締めくくられました。


ショパンをたどるメモワールⅠ~大学トップクラスの俊英が弾く、名曲の花束~
出演:稲沢朋華(p)柴田陽人(p)
当日の様子

風薫る5月の丸の内オアゾに、稲沢朋華さんと柴田陽人さんがショパンの楽曲を演奏。まずは稲沢さんが「バラード第2番」を披露。静寂の中で鳴るユニゾン、穏やかな第一主題、そして嵐のように激しい第二主題のコントラストが繰り広げられました。続く「スケルツォ第1番」では緊迫感がさらに増し、会場中が息を潜めてその演奏に耳を傾けました。

後半に登場した柴田さんは、パキッとした音で「マズルカ風ロンド」そして「バラード第4番」を演奏。ポーランドの民族舞踊であるマズルカの雰囲気を持った可憐なロンドの後、穏やかで、けれど陰鬱さも孕む叙情的なバラードが会場に響き渡り、ひたむきに音楽に向き合う2人の未来を照らすかのような、あたたかな拍手が送られました。

~演奏者のコメント~
♪稲沢朋華さん:毎年聴きに来ていたこの舞台に、まさか自分が演奏者としてピアノを弾けると思っていなくて、お話が来たときは本当に嬉しかったです。今日、実際にお客さんを目の前にして、一緒に音楽を楽しむとなった時に、やっぱりお客さんがいてこその音楽家だなと思いました。あたたかい雰囲気に、ありがたいの一言です。<
♪柴田陽人さん:普段はホールで弾くことが多いので、こういう慣れない場所での演奏はいつもより緊張しましたけど、昔からこの舞台で弾くのが夢だったので、楽しんで弾くことができました。

(レポート◎小原遥夏)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
稲沢朋華
ショパン:バラード第2番 ヘ長調 Op.38
ショパン:スケルツォ第1番 ロ短調 Op.20
柴田陽人
ショパン:マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5
ショパン:バラード第4番 ヘ短調 Op.52
タクティカートオーケストラメンバーによる弦楽五重奏
出演:佐久間基就(vn)廣田稜司(vn)堀竹優衣(va)佐藤実樹(vc)川村茜(cb)
当日の様子

この時間の丸の内オアゾは、タクティカートオーケストラメンバーによる弦楽五重奏のコンサート。グリーグ作曲「ホルベルク組曲」の、疾走感ある演奏から始まりました。会場いっぱいに響き渡った爽やかな音色は冴え冴えとした空気を作り上げ、続くモーツァルトの「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」でも、伸びやかな音楽が聴衆の心を彩ります。

プログラムの後半では、廣田稜司さんのヴァイオリンをソロに、ピアソラの「ブレノスアイレスの春」を披露。前半とはガラリと変わった高揚感に満ちた情熱的な演奏が会場を支配したと思ったら、あっという間に最後のプログラムであるホルストの「セントポール組曲」へ。豊かに伸びる佐久間さん、廣田さんのヴァイオリン、堀竹さんの柔らかくも力強いヴィオラ、佐藤さんの温かく滑らかなチェロ、瞬く音を拾い上げて支える川村さんのコントラバスが寄り添うように絡み合い、惜しみなく拍手が送られ、コンサートは幕を下ろしました。

~演奏者のコメント~
こういったビルの中で弾くことはそうそうなく、開放的な気分で、とても気持ちよく演奏することが出来ました。音量が心配で、しっかり弾かないと飛ばないかなと思いましたが、本番はすごいよく聴こえていたみたいで嬉しいです。お客様に満足できてもらえていたなら、嬉しいです。(佐久間基就さん、堀竹優衣さん)

(レポート◎小原遥夏)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
グリーグ:ホルベルク組曲 1楽章
ピアノ愛好家たちの時空旅行
出演:金井塚咲季(p)勝部友麻(p)山根菜月(p)越部直人(p)長谷川雄大(p)
当日の様子

ピアノを愛好する大学生たち、冒頭の金井塚さんのスカルラッティ「ソナタ 変ロ長調」は丁寧で心のこもった演奏、 続く勝部さんのベートーヴェン「熱情」 からは決然とした芯の強さが伝わります。山根さんのラヴェル「ソナチネ」 は曲の複雑な音の絡まり一つ一つが丁寧で、越部さんのバルトーク「舞踏組曲」では堅固で駆け回るような世界に誘われました。そして最後は長谷川さんリスト「『リゴレット』による演奏会用パラフレーズ」の澱みなく優雅な演奏で締めくくられました。

~演奏者からのコメント~
♪金井塚咲季さん:沢山のお客さんが来て下さっていて凄く嬉しかったです。また、音がよく響いていて楽しめました。
♪勝部友麻さん:今回の会場はカフェや本屋さんが近い凄く自由な空間で、楽しい気分になりました。
♪山根菜月さん:幅広いお客様に届けられ凄く幸せでした。ピアノも音響がとても素晴らしく、タッチも軽やかで弾きやすかったので本当に感謝しています。
♪越部直人さん:隣のカフェの食器や物音の中という普段と違うこの空間で演奏を楽しめました。
♪長谷川雄大さん:丸の内オアゾの空間でも響きやすいよう音響を綺麗に調整されていて弾いていてとても楽しかったです。たまたま通りすがって聴いて下さった方も楽しんでいただけてとても良かったなと思いました。

(レポート◎森山智子)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
金井塚 咲季(立教大学3年)
D.スカルラッティ/ソナタ 変ロ長調 K.202
勝部 友麻(早稲田大学3年)
ベートーヴェン/ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 Op.57「熱情」第3楽章
山根 菜月(早稲田大学3年)
ラヴェル/ソナチネ 第1楽章、第2楽章
越部直人(立教大学3年)
バルトーク/舞踏組曲 Sz.77 より 第1曲、第3曲
長谷川雄大(東京大学3年)
リスト/「リゴレット」による演奏会用パラフレーズ S.434
デュオ III~デュエットゥ 連弾新時代
出演:木内佳苗(p)大嶋有加里(p)
当日の様子

今年の「LFJエリアコンサート@丸の内」、最終公演を飾る本公演に多くの人が来場しました。鍵盤ハーモニカを交えた「チャールダーシュ」で幕を開けると、続く「ジ・エンターテイナー」では、4手連弾による音が軽やかに響きます。新時代を象徴するかのように2人の手拍子のみで演奏されるライヒ「クラッピング・ミュージック」では、同じリズムパターンがズレていく独特な響きに観客も耳を澄ませました。

アンサンブルの楽しさを体験するラヴェル「ボレロ」は、ダンサーのくららさんと共に会場参加型で演奏。会場の手拍子と、ピアノ連弾、ダンスによって、見事な一体感が生まれました。

端午(たんご)の節句にちなんだピアソラ「リベルタンゴ」は、2人の手が交差するなど見どころ満載。そして、沖縄の浜比嘉島で感じた風と花の香りから着想を得たオリジナル曲「心花(ここはな)」の優しい響きが、暗くなってきた会場を包み込みました。最後は、グルダ「プレイピアノプレイ6番」の打楽器的なピアノの連打によって、心躍る雰囲気で締めくくられました。5歳の時に出会い、長年一緒に演奏してきたデュエットゥならではの息ぴったりな演奏と、弾くこと自体を楽しむ姿が強く印象に残る公演でした。

~演奏者のコメント~

♪木内佳苗さん(プリモ)ゴールデンウィーク最後の公演に多くの方々にご来場いただき、感謝いたします。会場の皆様との一体感を感じられて、幸せな時間を過ごせました。
♪大嶋有加里さん(セコンド)皆様にも拍手で演奏に参加していただき、一体感のある演奏となり楽しかったです。最後までお聴きいただき、ありがとうございました。

(レポート◎飯島帆風)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
モンティ:チャールダーシュ
ジョプリン:ジ・エンターテイナー
ピアソラ:リベルタンゴ
みんなでボレロ!(参加型)

写真:春日知明

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