丸の内2025 開催レポート:5/5 新丸ビル3Fアトリウム
最終日の新丸ビル3Fアトリウムでは、ショパンをたどるメモワールⅡに三林飛鳥さん、飯田円さん、安井友理さん、音楽の都ザルツブルクのメモワールに三好朝香さん、小塩真愛さんらのピアニストが出演し、ショパン、モーツァルト、ヨハン=シュトラウス2世、シューベルトなどの音楽がアトリウムの空間を満たしました。
ショパンをたどるメモワールの2公演めは、新丸ビルのアトリウムにて、三林飛鳥さん、飯田円さん、安井友理さんの登場です。
三林さんのノクターンは内省的な左手がまろやかで、激しく立体的な中間部との対比に惹きつけられ、『遺作』と呼ばれる幻想即興曲は、炎が螺旋を描くように緻密かつ大胆。熱気とともにアトリウムの吹き抜けを壮麗に駆け上がりました。終演後は「すごく緊張しましたが、貴重な機会をいただけてとても嬉しいです」とお話してくださいました。
飯田さんのマズルカは、無邪気な可憐さを物憂げなヴェールに隠すようで多面的な魅力を感じ、通称『猫のワルツ』で知られるワルツは明るく優雅。踊りに興じる貴婦人たちが浮かびました。終演後(通称の)猫は強くは意識せずワルツを重視しています、とお話くださり、ピアニストのイメージしたものが音楽になるのだなと改めて感じました。
最後は安井さんの『アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 』。微かに震える指が鍵盤に触れたとたん音楽が自然に流れだし、途切れることなく一筆書きのように堂々と弾き切りました。終演後は「反省の残る演奏でしたが、たくさんの方に聴いていただけて幸せです」とストイックな一面も。
観客から惜しみない大きな拍手が何度も送られ、5月の若葉のような彼らの眩しい未来を祝福しているようでした。(レポート◎寿すばる)
プログラム
ショパン:幻想即興曲 嬰ハ短調 Op.66
ショパン:ワルツ第4番 ヘ長調 Op.34-3

ザルツブルク留学経験者2人によるオーストリア音楽に焦点を当てたコンサートは、シュトラウスⅡ世 オペレッタ『こうもり』より序曲のリズムよく息のあった連弾で始まりました。
続いてのソロ曲は、先に小塩さんがモーツァルト『アレグレットによる12の変奏曲』を変奏ごとに表情豊かに、三好さんは、ヴォルフ『フモレスケ』を穏やかな中、どこか掴みどころなく、クライスラー=ラフマニノフ『愛の悲しみ』を憂いを覗かせつつ優雅に演奏。
会場の興奮冷めやらぬ中、2人のトークではオーストラリア音楽を「ドイツとは異なるおしゃれで重厚すぎない音楽」と熱く紹介していました。最後の「共演が決まって直ぐにやりたいと思った」というシューベルト『序曲』の壮大なスケールの演奏に会場のテンションは最高潮に。アンコールのモーツァルト『アイネ・クライネ・ナハトムジーク』のあたたかで上品な連弾で幕を閉じました。
~演奏者のコメント~
♪三好朝香さん:お客様に180度囲まれた形で楽しそうに聴いて下さり楽しかったですし、音の響きが上まで届いていくようでした。
♪小塩真愛さん:集中して聴いて下さっていて、私たちも楽しく弾けました。オーストリアの作曲家の作品を初めての方にも楽しんでいただけたと思います。
(レポート◎森山智子)
プログラム
Mozart / 12 Variations K.500
モーツァルト / アレグレットによる12の変奏曲 K.500
Wolf / Humoreske in G minor
ヴォルフ / フモレスケ
Kreisler=Rachmaninoff / Liebesleid
クライスラー=ラフマニノフ/愛の悲しみ
Schubert / Overture in F major, D.675
シューベルト / 序曲 D.675 (4手)