インタビューVol.7:南澤香里先生(横浜市立谷本小学校音楽専科)
2014年度からピティナ学校クラスコンサートを開催し、今年10年目を迎える横浜市立谷本小学校。この学校は、開催3年目より学校PTAと連携し、毎年4年生を対象に、地元出身のアーティスト海野春絵さん(ピアノ)と海野幹雄さん(チェロ)のデュオにより継続されています。また、他の学年に関しても音楽の外部講師を活用されています。学校での音楽の外部講師活用の取り組みと、長年の学校クラスコンサート実施の効果について、音楽専科の南澤先生へお話を伺いました。
ピティナ学校クラスコンサートとはどのように関わられていますか?
4年前に谷本小学校へ赴任しましたが、前々任の音楽専科の時に学校クラスコンサートを始められ、代々それが引き継がれています。
学校内では、どのような時期にどのような手続きで開催が決まっていますか?
現在は、新年度になった時点で、当該学年の4年生の担任団に実施可能かどうかを打診して決定しています。校外学習等の兼ね合いもあるので、8月~12月ごろの実施を目安に、ピティナの担当の方とメールで相談しながら決定しています。
谷本小では、低学年から高学年まで、各学年で外部団体による音楽鑑賞の機会を設けているとお聞きしました
現在、1~3年生は毎年「エバリー」という団体に体育館での公演をお願いしています。4年生は1クラスずつの「ピティナ学校クラスコンサート」でピアノとチェロを、5年生は「お箏体験教室」で、17台ほどのお筝を持ってきていただき、クラスごとに体験させていただいています。6年生は『横浜市芸術文化教育プラットホーム』事業(抽選)を利用して、「子どもに音楽を」という団体からピアノとヴァイオリンの奏者を音楽室にクラスごとに派遣していただいています。抽選に外れた年は直接連絡を取って実施しています。
このように、学校クラスコンサートを含め外部団体による音楽鑑賞体験の充実が、谷本小の音楽教育の特色の一つともなってきていると思いますが、児童への影響は感じますか?
感じます。小さい頃からプロの音にじかに触れる機会が多いことで、子どもたちの感性が磨かれ、楽器に興味を持ち、音を大切にして授業に取り組んでいる姿が見られていると思います。
ピティナの学校クラスコンサートの形態や内容について、どのようにお考えですか?
本校はずっと海野幹雄さん・春絵さんにいらしていただいているのですが、現在の内容でとても満足しています。昨年、校長が変わり初めてだったので、最初は「ピティナってどんなものですか」と質問があったのですが、実際にご覧になって「とてもよいものですね、ぜひ続けてください」とのお話をいただきました。コロナが終わったら、ぜひ保護者の方々も呼びたいです。
特にどんな所が、児童の皆さんの反応がよいですか?
ピアノの周りに集まって楽器の仕組みのお話をしてくださるところです。普段なかなか見ることのできないピアノの内部は、大変興味深いと感じます。トルコマーチの演奏の時に、手拍子で参加させてくださるところもとてもよいです。
クラスコンサートを最初に経験した子が20歳になる年になりました。児童にとって、クラスコンサートの経験が、どのようにその後の人生に影響を与えていると思われますか?
最後にアーティストの方が質問に答えてくださるコーナーを設けていただいているのですが、それがとてもいいと思います。プロになるきっかけや考え方をじかに聞くことで、子どもたちも考え納得し、自分も音楽の活動に取り組んでみたいというモチベーションになっていると思います。音楽室で休み時間などに子どもたちと話をしている中で、音楽に限らず、運動や勉学などと結び付けて活動に生かしていると聞くことがあります。
学校クラスコンサートを続けてくださっている一番の理由は何でしょうか
やはり、プロの本物の音に触れる貴重な機会を、しかもクラス毎に音楽室で行ってくださるので、とても深まりが出るところです。子どもたちの表情を見ていると、感銘を受けていることや情緒が培われていることが分かります。これからもぜひ続けていければありがたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。