レポ:1/13,27 文京区立林町小 音楽ワークショップ前編(坂本夏樹・桜井しおり)
会場:音楽室、教室
参加人数:3年生 101名
出演:音楽ワークショップアーティストおとみっく 坂本夏樹・桜井しおり
ゲスト:磯野恵美(フルート)
令和4年度 文化庁「文化芸術による子供育成推進事業」(コミュニケーション能力向上事業)
文京区立林町小学校では、2023年1月13日、27日、2月6日の3日間にわたって、音楽ワークショップ「リズムでコミュニケーション!」が開催されました。音楽ワークショップ・アーティストおとみっくの坂本夏樹さんと桜井しおりさんを講師に迎え、「令和5年度文化庁コミュニケーション能力向上事業」として実施されました。
今回のワークショップでは、3年生3クラスでリズム作りを通してクラスオリジナルの音楽作品を創作し、発表することが目標です。一体どのような音楽が出来上がるでしょうか?
1日目はアイスブレイク。おとみっくと子どもたち、そして子ども自身の心の壁を取り払います。桜井さんの動きを真似して身体の様々な部分を動かしたり、タイミングを合わせて手を叩いたり。呼吸や動きをよく観察していないとぴったり合わないので、みんなの集中力があがります。「やってみたい!」と指揮役を立候補してくれる子も。
みんなの気持ちと身体が温まってくると、今度は「1!と言ったら手を叩いてね!」「2!と言ったらトントンと足踏み!」とリズムのルールを決め、ピアノに合わせて次々に変えていくリズム打ちゲームをしました。子どもたちにもアイディアを求め、ピアノの音をヒントに「ク・ク・ク!と3回のけぞる!」「くるっと回る!」などと足されていきました。どんな思い付きも取り入れて素敵なリズムに変身させるおとみっくの魔法は、子どもたちに「何でも言ってみていいんだ!」「これも素敵なアイディアになるのかも?」という雰囲気を感じさせていました。5つまでいくと覚えるのが大変でしたが、そのチャレンジもゲーム感覚で楽しみながら、「自分たちでリズムや動きを考える」ことに慣れていきました。
後半には、リズムカードや打楽器など様々なアイテムも登場。イラストに合わせて「手拍子」「足踏み」「しっ!」「わっ!」などのリズムと動きを決め、組み合わせて8拍×2のリズムを作り、「ラデツキー行進曲」に合わせて演奏してみました。カードを組み合わせるだけで自分たちだけのリズムが作れ、それが音楽をぐっと盛り上げるということを体験しました。
また、クラベス、シェイカー、タンバリンの3つの楽器チームに分かれ、「サンバ」の音楽に合わせて、南国のフルーツの名前のリズムで合奏したり、3拍子、4拍子、さらに5拍子の曲の指揮にも挑戦しました。身体もいっぱい動かした子どもたちは「暑くなった!」「楽しかった!」「またやりたい!」「また今度ね!」と2週間後を楽しみに帰っていきました。
「言葉のリズム」「自分たちの動き」「ピアノの音の出す雰囲気」「見た目のイメージ」など、色々なことがリズムのアイディアの種となること、そしてそれをみんなで一緒に合わせると楽しい!ということを体験できた1日目でした。アイスブレイクをしながら、ほぼ全てのアクティビティを通じて、子どもたち自身が「選ぶ」「考える」「決める」というアクションが盛り込まれていて、これが次回自分たちでリズムを作ることへと続いていきます。
- 色んな楽器を使えて楽しかった。色々な楽器の名前があることを知った。
- ピアノの音や言葉から色々と感じ取りながらリズムを作ったことがおもしろかった。
2週間後に行った第2回目ワークショップでは、いよいよ「クラスのオリジナル作品をつくる」というメインプロジェクトの第一歩が始まりました。まずは、素材となる「リズムづくり」が今日の目標です。
今回は2拍子の「マーチ」のリズムで音楽づくりに挑戦です。「マーチ=歩くリズム」なので、クラスを6つのグループに分け、それぞれに「どこを歩く音楽を作りたいか?」のテーマを決めてもらいました。子どもたちは「空の上を歩きたい!」「学校の中を探検したい!」とアイディアを出し合いました。テーマが決まると「楽器」「声とダンス」「ボディパーカッション」という3種類のくじを引き、どんな形で表現するかのが決まりました。
3クラスででてきたテーマ
3年1組:雪の降る湖/海/虹と雲/北極動物園/空の上/図工室3年2組:廊下/森/山/宇宙ステーション/海の中の森/雲の上
3年3組:桜のお花見/宇宙/洞窟/海/風/雲の上
グループに分かれると、「テーマ(どこを歩くか)」「パート(何で表現するか)」に沿って、「2拍子×8拍」のリズムづくりが始まりました。作り方はグループによって様々。「海の中で何に出会ったかな?」と考え、「魚!」「サンゴ!」「あわ!」と言葉や絵を描いてそのイメージを動きや手拍子で表すチーム。木琴や鈴を使って舞い散る花びらの様子を音にしてみるチーム。「洞窟をこっそり歩いていたら、何かが出てきて驚いた!」などとストーリーを考えて、「シーッ」や「わっ!」とリズムカードを並べるチーム。
ノリノリで決まっていくこともあれば、アイディアが煮詰まったり、対立することも。おとみっくの2人は順に回っていき、意見を聞いたり、別のアイディアやうまく組み合わせる可能性はないかなど、話し合わせます。話を聞いてもらって「それいいんじゃない?おもしろいね!」と言われると、子どもたちの顔や動きにも自信が溢れ、さらに積極的にアイディアを出すようになったのが印象的でした。無理に導こうとはせず、子どもたち同士のコミュニケーションを促し、子どもたちに考え、決めさせ、認めて背中を押してあげる、それが子どもたちの自発的なアイディアの推進力になり、自信を生み出すことにつながることを実感しました。
最後に集まって今日の成果をみんなの前で発表。順番に披露すると、同じように8拍の「歩く」リズムを作ったはずなのに、6チームとも全く違う作り方や表現をしていることに、お互いに驚き、拍手で称えあいました。さあ、このリズムを組み合わせて、最終回はいよいよ1つの音楽作品としてまとめ上げます!
- グループで一緒にリズムを作って、みんなと仲良くできてすごく楽しかった。またやりたい気持ちになった。
- 友達のリズムを聞くのが楽しかった。
- 雲の上を歩いてダンスしていたら落っこちたというリズムをみんなで作って、すごくうまくできたのがすごく楽しかったです。
- うさぎやへびが出てくる森の中をイメージして、動物の声や走り方を楽器で表しました。
3日目、メイキング、インタビューへつづく