稲葉 詞美さん(Pre特級金賞)～入賞者記念コンサート出演者インタビュー

金賞受賞おめでとうございます！今年度のコンペティションの思い出をお聞かせください。

私がソロを弾いたあと、協奏曲を演奏するまで5時間くらいあったので、その時間はずっとカフェにいて、机をピアノに見立ててひたすら机を叩いていました。その後、指先の感覚がおかしくなり、気持ちも盛り上がってしまい、協奏曲のリハーサルの時に、かなり大暴走してしまいました。公式伴奏者の山口真広先生に、「本番はもっと落ち着いて弾きたいと思います」と宣言すると、山口先生が「本当にこのスピードで弾くのかと思ってびっくりした」といった言葉を笑顔で言われたのを覚えています。

いつか弾いてみたい、憧れの一曲はありますか。その理由はなんですか。

バルトーク ピアノ協奏曲第2番Sz.95 です。作曲者によって色が変わると思うのですが、バルトークの協奏曲には、全般的に独特な色があり、もちろん演奏者によって色の見え方が若干変わったりするのですが、バルトークの色に最近とてもハマっています。

最近のマイブームは何ですか。

学校に行く電車の中で、色んな楽器の協奏曲を大爆音で聴く事です。普通に座っているだけですが、脳内は壮大です。

お住まいの地域の魅力を教えてください。

私は岐阜県に住んでいます。岐阜県の魅力は本当にたくさんあります。まずは川が綺麗なことで、よく側を通るのですが、晴れの日はキラキラ輝いていて気持ちいいです。岐阜城の歴史も学ぶと面白いですし、刀など伝統工芸品が多いです。また、白川郷の美しさは半端ないです。人も、暖かくて優しい方が多いと思っています。ぜひぜひ、岐阜県に遊びに来てください。

最近感動したことはありますか。

初めて国際コンクールを受けに、UAE（アラブ首長国連邦）のフジャイラ首長国に行ったことです。コンクールの申し込みをすること、パスポートを取得すること、飛行機のチケットを取ること、ホテルを探すこと、向こうでピアノの練習をさせていただくために国際電話して練習室を取らなければいけないことなど、何から何まで自分でやらなければならない状況でとても大変でしたが、行くまでの過程でも、必死に調べて、たくさんのことを学ぶことができました。
海外に1人で行き、ドバイの空港に降り立ち、何もかも1人で考えて、決めて、生きて行かなければならないんだなと悟り、砂漠に置いて行かれないかなと心配になりました。大袈裟でなく生きるか死ぬかみたいな感覚でした。ドバイ空港からはバスで3時間くらいの場所にフジャイラがあります。フジャイラという地域は、ドバイとは違い、そこまで発展していなくて、とても文化的、人情的で穏やかに時間が過ぎていく感じでした。
コンクールで感じたこととして、様々な国から来た皆さんの演奏は、個性がすごく、私にとっては、とても強烈で衝撃的でした。どうやったらこんなに個性が出せるのだろうと本当に思いました。
ファーストラウンドでは、演奏した後初めてブラボーと言っていただき、本当に感動したことを覚えています。また、審査員の1人の先生に「Thank you for your playing.」と言われた時は、この英語、一生忘れない！！と感謝の気持ちでいっぱいになりました。ファイナルラウンドでは、弾く予定の曲が1日前に、近現代に属さないことが分かり、急遽何ヶ月か前に弾いた曲を弾くことにしたのですが、なかなかにスリリングでした。もうこんな思いはしたくないので、しっかり読みます、要項。
Motivational Prizeという賞を頂き、初めて外貨で賞金をいただきました。
今回の旅では、日本とは違う文化、まさに異国という感じで今まで感じることができなかった雰囲気を味わうことができ、本当に幸せでした。日本では、ピアノを学ばせていただく上で、ある程度どこにでもピアノがあり、ピアノを弾かせていただけるホール、練習室があり、そこで教えてくださる先生がいらっしゃるという環境は素晴らしいものなのだなと、感じました。

これから自分がどのように生きていくのか、どのような人になりたいのか正直分かりませんし、想像もできませんが、夢や目標、世界のどこかで成し遂げられていることでも、自分自身で成し遂げたいと思ったことなどを、自分で行動し、叶えようと努力できるよう精進して行きたいと思います。最後に、このコンクールと旅のサポートをしてくださった菊地裕介先生に心から感謝します。