レポ:11/21 草加市立新栄小(山縣美季pf・最上峰行ob/動画あり)

草加市立新栄小学校
日時:2022年11月21日(月)
会場:音楽室
参加人数:4年生 65名
出演:山縣 美季(ピアノ)・最上 峰行(オーボエ)
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今年度で13回目となる草加市立新栄小学校へは、ピアニストの山縣美季さん(2020特級入選)とオーボエの最上峰行さんが訪れました。

山縣さんにとっては初めての学校クラスコンサート出演となりました。アウトリーチ活動でもベテランのオーボエの最上さんに支えられながらも、初めてとは思えないスムーズで自然な進行で、初々しさと優しい雰囲気で音楽を届けました。

「9歳~10歳の皆さんにとって、私はちょうど倍の年齢。10年後の姿として見てくださいね」と語りかけ、優雅な演奏と飾らないトークで、子どもたちの心をつかんでいました。ショパンエチュードの「大洋」を弾くピアノの周りに集まった子どもたちは、演奏者の表情、ハンマーやペダルの動き、ピアノの下の響板など、思い思いにピアノや演奏者を見学しました。真ん中のペダルだけが鳴りっぱなしの現象にある子が「そこだけ上がってる!?」と気づくと、すかさず譜面台をずらして見せてあげたりと、子どもたちの反応にも目を配り、ふと口にした疑問にもすぐに答えて実演してあげていました。

オーボエの最上さんは、実物のリードを見せたり、軽妙なトークに本質的な内容を織り交ぜ、子どもたちの興味と発言を引き出していました。葦(あし)を2枚重ねて作っているリードの穴に息を吹いて演奏していると言って、子どもたちに見せると「穴ちっちゃい!」とみんな仰天。それを吹くとリードだけでもきれいな音が出ること、逆にリードをつけないままのオーボエを吹くとどんな音がするかなどを実演してみせると、目を丸くしていました。

「僕が一生懸命に削ってきたリード、一体どのくらいの寿命だと思う?」というクイズには、「6年?」「50年…!」という子どもたちの予想とは裏腹に、実は3日ほどしか持たないという答えに、「ええーっ!」と驚きの声があがっていました。また、この日はなかなかお目にかかれない、オーボエの親戚・イングリッシュホルンの実演も披露され、組み立てる段階から子どもたちは興味津々。ドヴォルザークの「新世界より」の2楽章を奏でる2人の美しく贅沢な音色に、子どもたちはシーンと静まり返り聴き入っていました。

「すごく好きなものを一生懸命ずっとやっていると、必ず結果が出るのが人生だと僕は思っています。僕もこれからとても難しい曲を演奏します。一生懸命やってきたからこそ演奏できるようになった曲だ、と思って聴いてください」と、ドニゼッティのオーボエソナタを演奏し、魂のこもった演奏そのもので子どもたちの心へメッセージを届けました。長めの難曲にもかかわらず、音楽室の空気が最後までピンと締まり、子どもたちが響きに魅了されていくのが分かりました。

最後は、ピアノとオーボエと子どもたちとの校歌の共演で締めくくられました。

終了後、クラスコンサートを6年間経験している音楽の小暮先生は、「すごかったーー!!」と言う子どもたちに「何がすごかった?」と質問しました。子どもたちからは、「感動して泣いちゃいそうな音色だった」「息の深さがすごかった」と多くの感想が寄せられました。

小暮先生は、「ふだん鑑賞の授業でCDで聴いているけれど、みんなが今日感じたような、生の音色からの感動とか、顔を真っ赤にして演奏する様子とか、息の音とか、鍵盤を見ないで弾いている様子などは、CDじゃ分からないですよね。今日は、耳で、目で、そして心で感じることができたと思います。みんなが今日演奏を聴いて真っ先に口から出てきたのが『すごい!』という言葉だったよね。それは、みんなの心が豊かになった、ということですね。」と話されました。そして「今度からは鑑賞の授業でも、そこには演奏する人がいるんだな、どんな風に演奏しているのかな、などと想像してみると、おもしろいかもしれませんね。」との声がけに、子どもたちはうんうん、と真摯に聞き入っていました。

音楽の先生より

音楽の授業で楽器を演奏する時や歌う時は、常に音色について意識するようにしています。今回のコンサートでは生の音を聴き、その楽器の音色の特徴を感じとることができていました。

目の前で、オーボエを吹いている顔が真っ赤になっていくのを見て、大変そうなんだと子どもたちが感じていたり、ピアノの演奏の指の速さに感動していた様子が印象的でした。間近にプロの音楽を見て、聴くことができて、子ども達が「音楽を演奏するって、すごいことなんだ!」と感じることができたようで、よかったと思います。

子どもたちにとって最高の時間でした。また来年もお願いしたいです。ありがとうございました。

担任の先生より

子どもを含め、私自身もとても勉強になり、楽しみながら参加させていただきました。子供を楽器の近くに来させて演奏している様子を見せてくれたり、息を吐く際子どもにも同じように息を吐かせ、大変さを実感させてくれたりと、色々なことを工夫して行ってくださり、ありがとうございました。

野村真一校長先生、山縣 美季さん、最上峰行さん、小暮幸恵先生(音楽)
児童の皆さんの感想より(抜粋)
  • 初めはピアノのすごさがわからなかったけれど、近くで見てたくさんすごさが分かりました。
  • むずかしい曲でも、山縣さんはすごくかんたんそうにすらすらとひいているし、最上さんは苦しそうなのにさいごまでがんばっているところがすてきでした。
  • 最上さんがオーボエをやっているのを見て、ふいている時は息をはいて、ふいていない時は息をすう、というのを一緒にやったらとても苦しくて、本当にすごいと思いました。
  • ピアノの中の構造がどうなっているのか知れてよかったです。家にピアノがあるので、今度ひいてみようと思います。
  • ピアノと合わせる時、体でリズムをとっていたので、リズムが大切なんだなと思いました。
  • 最上さんがオーボエでふいているゲームの音楽やテレビなど色々なもので、実際に会っていなくても音楽は人と人をつなげてくれると思いました。
  • 最後にみんなで歌った校歌は、オーボエがあるのできれいだなと思いました。
  • 美季さんのピアノはとてもきれいで、ちょっと遠くにはなれてきいていても強弱が分かりやすくて、コンサートの会場は遠くてもよく強弱も分かるけれど、教室でもわかって、また聞きたいなと思いました。
  • ピアノは手でひいているのに、手を見ないでひいていてすごかったし、動く速さも速かったです。
  • 山縣さんと最上さんの始めたきっかけとか、最上さんの、努力をしていたら必ず返ってくるという言葉を聞いて、とてもすてきな言葉だなと思いました。ぼくはそんな2人の演奏を聞いて、自分もがんばろうと思いました。
  • オーボエはせんたんにリードをつけてふいていて、顔がものすごく苦しそうで、たまに顔が真っ赤になっていた時もあり、息をふく時間が長い時もあり、息を吸う時間が短い時はものすごく大変だと思いました。でも何十年とやってきたからなのか、息づかいがすごく上手に吸っていて、ものすごい苦しいけれど曲を一生けんめいに弾いていたので、すごいなと思いました。
  • 最上さんが私たちに「みんな、好きなことある?」と聞いて、「好きなことは続けられる」と言っていて、いい言葉だなと思いました。
★演奏者の山縣美季さん・最上峰行さんのインタビューはこちら★
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