特級グランドコンチェルト開催記念インタビュー Vol.4 藤岡幸夫先生 指揮者インタビュー
まもなく5月1日に開催される特級グランドコンチェルトで3人のソリストが共演するのが、関西フィルハーモニー管弦楽団と、その首席指揮者である藤岡幸夫先生。本番4日前のリハーサルにお越しいただいた藤岡先生に、今回の企画への想いを伺いました。
この度は、ピティナ特級の入賞者と共演いただきますこと、お礼申し上げます。関西フィルハーモニー管弦楽団とその首席指揮者である藤岡幸夫先生と、ザ・シンフォニーホールという素晴らしいホールでコンチェルトを共演できるということは、若い彼らにとって本当に幸せなことです。
才能ある若い3人のピアニストとそれぞれ違う協奏曲をやる、という試みは初めてで、おもしろい企画だと思っています。皆さん初共演ですが、ピティナのコンペティションの特級で入賞したという、確実に才能のある若手ですし、3曲どれもとても好きな曲なので、とても楽しみにしています。
今回の3曲はどれも人気のコンチェルトですが、先生の考えるそれぞれの曲の魅力とは
リストの1番は、実はすごく短いコンチェルトなんですよね。20分くらいの中に、ボリュームたっぷりな内容が凝縮されているんです。ものすごいテクニックが要求されますし、この曲を本当に豪快に弾くというのはとっても難しいので、ピアニストの腕の見せ所だと思っています。非常にコンパクトに無駄なくできているし、すごくきらびやかで、トライアングルが活躍する所もオーケストラ的にも珍しいので楽しめますね。
2曲目のショパンのピアノ協奏曲第1番は、実は私は若い頃は「つまらない曲だなぁ」と思っていたんです。この曲の素晴らしさに気付いたのは、40代半ばを過ぎてからでした。ショパンが若い時の作品でオーケストラパートがあまり上手くなく、オーケストラ的にはおもしろくないと思っていましたが、和声進行もとっても繊細だし、音楽としては本当に美しいので、今では大好きな曲です。この曲はどれだけタッチが美しいかが勝負ですから、そういう面からもとても期待しています。
ラフマニノフのコンチェルトは、2番が有名ですが、実は3番の方がはるかに難しいんですよね。横山幸雄さんが言うには、”人間が弾ける音符の量の限界”なんだそうです。1楽章は長いし長大なカデンツァがあるし、2楽章もほとんど休む暇がなくて、そこへ3楽章が出てきて…と、体力的にも2番の1.5倍くらい大変だと言われています。でも個人的には、とても立体的にできていてメリハリがきいているし、芸術的に冴えていて、3番の方が好きですね。これは第一線で活躍するプロでも避ける人が多いくらい、本当に真価を問われる曲だと思います。
どの曲も関西フィルと何度もやってきているし、オーケストラの見せどころもたくさんあるので、やりがいがあって楽しみです。
関西フィルとザ・シンフォニーホールは、藤岡先生にとってホームみたいなものですよね。
関西フィルではもう23年やっていて、国内では最長コンビなんです。しかも毎年40公演くらいやっているので、年間100日以上は一緒にいる計算です。とにかく明るくて素晴らしいオーケストラで、ヨーロッパのラテン系のオーケストラのような気質があります。とてもいい雰囲気で優しいので、若い人でも伸び伸びと演奏してもらえる、そういうオーケストラじゃないかなと思います。
協奏曲って、オーケストラは伴奏をやっているわけじゃなく、一緒に音楽をやっているのです。ですから、本当に素晴らしいピアノとオーケストラサウンド、そして若い息吹を堪能しに、ぜひいらしていただきたいです。
こんな3つの協奏曲を一度に楽しめる機会なんて、そうないですから、クラシック初心者の方でも楽しめるのでおすすめです。
皆さん来てくださいね!絶対に楽しめます!