第45回コンペ 入賞者記念コンサート 出演者インタビュー 原田 怜さん
- グノー=リスト編:歌劇「ファウスト」のワルツ S.407 R.166
本番では曲ごとに「イメージした情景や心情を思いながら演奏した」とのことですが、日々の練習の中で「表現」という点において意識していることがあれば教えてください。
表現、インスピレーションというところですと、弾いていると浮かぶ情景、登場人物などがいたり、オペラ、映画、本などから重ね合わせたりもします。また作曲家の人生を深く知る事により、作曲家の心情に思いを馳せて弾くこともあります。最近はピアノ以外の作品から得るイメージも多く、例えば歌曲からは言葉から音楽への広がり、オーケストラだったら作曲家のサウンドが、より色彩豊かにイメージできます。それらが自分の中で繋がってきて、やりたい音楽がどんどん鮮明になる気がします。それらを聴いてくださる方に伝わるようにと思っていますが、先生には客観的な視点を持ちながら弾くよう言われており、熱量の出し方など兼ね合いが難しいです。
マスタークラスレッスンでの収穫はピアノの実践的なテクニックにとどまらず身体のメカニズムについても学べたそうですね。身体への意識は変わりましたか。
身体を部位を意識するだけで、演奏が愕然と変わることが分かりました。また、理想的なフォルテが出ないのは身体のせいではなくて、身体の使い方のせいなのだと知ることができました。
最近感動したことは何ですか。
シューマンの伝記映画の「愛の調べ」です。
今から約70年ほど前に作られた古い作品で、彼の作品を弾く時には見たくなります。シューマンの苦悩や不安定な心情の中に、クララとの変わらない愛がそこにあるのがすごく感動します。映画の中の音楽はルービンシュタインによるもので、セピア色の古き良き時代の映画の美しいフレーズ、心が震えます。
ピアノを弾いていて良かったと思う瞬間はどんな時ですか。
私の演奏で少しでも人の心を動かすことができたら凄く嬉しいし、それがやりがいだと思います。
いつか弾いてみたい、憧れの一曲はありますか。
1曲ではなくて申し訳ないのですが、シューマンの曲をもっとやってみたいです。遠いいつか、シューマンの曲だけでリサイタルできるくらいに曲のレパートリーを増やしたいです。