開催レポ:THE BEST CONCERTOS 2025

日程・会場:2025年11月8日(土)15:00開演 すばるホール(大阪府富田林市)
出演:南杏佳(ピアノ)生熊茜(ピアノ)水谷友彦(ピアノ)原田明里(ピアノ)大同理紗(ピアノ)大阪府立夕陽丘高等学校音楽科、キンボー・イシイ(指揮)
大阪交響楽団(管弦楽)

2025年11月8日(土)、すばるホール(大阪府富田林市)において、「THE BESTCONCERTOS 2025」を開催しました。今回の公演は、「featuring大阪府立夕陽丘高等学校音楽科」と題し、同校の音楽科1~3年生と、同校の卒業生で2010年からすばるホールで開催しているピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会出場者によるリサイタル・シリーズ「すばるイブニングコンサート」の歴代出演者がソリストとして、キンボー・イシイ指揮、大阪交響楽団の皆様と共演しました。同校は大阪府立高等学校で唯一音楽科を設置し、2023年の特級グランプリ・鈴木愛美さん、2024年の特級グラン プリ・南杏佳さんの母校でもあります。

開場時間にはロビーにて大同理紗さんのピアノ演奏をお楽しみいただきました。曲目は、ショパンの小犬のワルツ、ベートーヴェンのピアノソナタ第24番Op.78「テレーゼ」から第1楽章、プロコフィエフのピアノソナタ第6番「戦争ソナタ」イ長調op82から第4楽章。あたたかく華やかな演奏でお客様の気分を盛り上げてくださいました。

幕開けとなる第1部は、大阪府立夕陽丘高等学校音楽科の皆さんがワーグナーの歌劇「タンホイザー」を演奏。第2幕第4場「大行進曲」、第3幕第1場「巡礼の合唱」、第3幕第3場「終曲」を、管弦打奏者は大阪交響楽団のメンバーに交って、合唱はソプラノ・メゾソプラノ・アルト・テノール・バスのパートに分かれて共演していただきました。管弦打奏者の堂々とした演奏と、合唱の皆様の見事なドイツ語発音と澄んだハーモニーは実力の高さを示し、総勢170名による壮大な歌劇の世界をお楽しみいただきました。

第2部では、まず2017年のNHK大河ドラマ「おんな城主直虎」のメインテーマ曲『天虎~虎の女』を演奏。ピアノ協奏曲スタイルのテーマ曲を水谷友彦さんのピアノでお楽しみいただきました。ピアノコンチェルトの幕開けを告げるようなファンファーレで始まると、水谷さんの指が鍵盤を軽やかに駆けめぐりました。旋律が色彩豊かに変化し、水谷さんのダイナミックな演奏と共に華麗なフィナーレを迎えました。

続いては、同校の講師でもある生熊茜さんをソリストに迎えサン=サーンスのピアノ協奏曲第5番「エジプト風」を演奏。生熊さんは、第1楽章は旅情あふれるように、第2楽章はエキゾチックな雰囲気が漂うように、第3楽章は圧倒的なエネルギーを放つように、といずれの楽章も活き活きと演奏してくださいました。

第3部では、まず2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」のメインテーマ曲『Amethyst』を演奏。この曲もピアノ協奏曲スタイルで原田明里さんのピアノでお楽しみいただきました。原田さんはドラマの世界を再現するかのように、幻想的かつ魅惑的に演奏してくださいました。

最後は、2024年の特級グランプリ南杏佳さんをソリストに迎えラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏。南さんの曲に対する熱い思いが込められ、曲の細部まで丁寧に音楽が紡がれました。最後まで高い集中力を保ち、揺らぎのない自信と共に新たなラフマニノフの世界を描いてくださいました。

フィナーレは出演者全員で「花は咲く」を演奏。音楽科の皆さんと出演のピアニスト全員による混声3部合唱は会場をあたたかく包み込み、演奏会を華やかに締めくくりました。

ご来場のお客様には演奏をお楽しみいただくだけでなく、全員が一丸となって演奏会を創り上げる大阪府立夕陽丘高等学校音楽科の素晴らしい校風も感じていただくことができました。

レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)

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