レポ:10/23 香取市立香取中学校クラスコンサート(松岡美絵pf・最上峰行ob/動画あり)
10月23日には、千葉県香取市にある香取中学校にて、初の学校クラスコンサートが開催され、ピアニストの松岡美絵さんとオーボエの最上峰行さんが中学1年生~3年生に向けて演奏とお話をされました。ちょっと難しい「左右の異なるリズム」の体験も取り入れたり、「耳からではなく、身体全身の細胞から入ってくるよう」といった感想が聞かれたりと、中学生らしいクラスコンサートが展開されました。その様子をレポートしていただきました。
紅葉に彩られた木々を、大きな窓から眺める音楽室。その素晴らしい秋の景色に包まれながら、コンサートは最高の環境の中で幕を開けました。
まずは『あすか』のテーマ曲でご挨拶。
私にとっても最上さんにとっても思い出深いこの1曲は、音楽をこよなく愛する田畑校長先生からのリクエストでした。

揃ってご挨拶をしたあと、ピアノソロで『ドビュッシー:アラベスク』を演奏しました。
フランス印象派を代表する作曲家ドビュッシー…音で絵を描くように作曲された時代…と、話をしながら、ふと窓の外に目を向けると、まるで音楽に寄り添うように色とりどりの木々が広がっていました。

ピアノについてのお話は、普段なかなか内部を見ることのない楽器なので、みんなに近くまで集まってもらい、弦の長さや振動を実際に観察してもらいました。
続いて、『ドビュッシー:アラベスク』と次に演奏した『ショパン:幻想即興曲』に共通する【左右の異なるリズム】について、最小公倍数を使ってわかりやすく説明。その後は、全員で楽しくリズムワークに挑戦しました。

『ショパン:幻想即興曲』の演奏では、生徒の皆さんがその複雑なリズムを目と耳でしっかりと捉えて聴いてくれました。その瞬間、私と生徒さん、そしてショパン——作曲家・演奏者・聴衆が一本の集中の糸でつながったように感じました。

オーボエのコーナーでは、楽器紹介のあと、『ガブリエルのオーボエ』を取り上げ、最上さんと一緒にブレス(息づかい)の実験を行いました。
結果はもちろん、最上さんの大・大・大勝利!
どこまでも続く息の長さに、子どもたちは驚きの表情。まるで人間離れした技術を、目の前で体感することができました。

プログラムの最後は『ドニゼッティ:オーボエ・ソナタ』。
イタリアの作曲家らしく、オペラのような歌心と、ワクワクする速いパッセージが魅力の一曲で、オーボエの美しさが存分に引き出されました。

そしてアンコールでは、会場全員で『校歌』を歌い、温かい余韻の中でコンサートを締めくくりました。
香取中学校の生徒さんは、全員が心をひとつにして、この時間を過ごしてくれました。ひとえに、日頃からの学校の取り組み、学ぶ姿勢の力だと…私達も驚きと喜びの連続でした。

『簡単に情報が手に入る時代だからこそ、「生の人間が伝える」ことの大切さを感じます。一生懸命に奏でる姿を見て、感じてほしい。その姿を伝えるためにここに来た——。』
『この時、この瞬間を逃しては二度とない出会い。私たちと一緒に歌い(演奏し)過ごす時間を、心に深く刻んでほしい。』
学校クラスコンサートの醍醐味は、最上さんのこの言葉にすべてが集約されています。
私にとってもまさに『一期一会』の、かけがえのない体験となりました。

多大な準備を惜しみなく行動してくださった田畑校長、PTNA二子様黒木様に心より感謝申し上げます。
松岡美絵
大学時代から尊敬し憧れていたピアニストの松岡美絵さんとの初共演になった今回の学校クラスコンサートはこれまで以上に特別なコンサートになりました。
お邪魔した千葉県香取市、香取中の美しいロケーションと先生方の温かいおもてなしに心から感動しました。
演奏中は生徒の皆さんが心から興味をもって音楽を楽しんでくれているのが伝わってきました。反応が素直で皆の目が輝いているのです。
これまで数多くのコンサートやアウトリーチをしてきて思う事は生徒さんの雰囲気、学校の雰囲気はやはり先生方のお人柄の影響が大きいという事です。我々大人が子供達の未来を作っている責任を感じます。
たがらこそ演奏家として、誰かと協力して何かを作り上げる事の大切さ、尊さを伝えていかなくてはと思います。
素敵な学校クラスコンサートをありがとうございました。
最上峰行

このたび文化庁主催、ピティナ様協力のもと学校クラスコンサートができましたことに感謝しております。プロの演奏家を間近に聴くことがめったにない中、ピアノとオーボエのデュオコンサートを本校音楽室で実現できましたことは生徒、保護者、職員にとって大変貴重な経験となりました。なんと言っても生徒にとって幸せだったことは、間近に生演奏を聴けたことに加えて、演奏家と一緒に「音楽を体験する」機会があったことです。ふだん見せない表情が見えたり、素直なつぶやきが聞けたりと、このコンサートがとても有意義な時間であった証です。プロの演奏家とつながり、かかわり、学び合うことができた学校コンサート。最後に演奏家と生徒が一体となりつくりあげた「校歌」は感動的でした。 このような素敵な音楽体験ができましたことにお礼申し上げます。ありがとうございました。

- プロの演奏を間近で聞いたことが無かったので、聞くことができてよかったです。特にオーボエはワンフレーズが長く、息継ぎをしないで吹いているところがすごいと思いました。また聞いてみたいです。
- 松岡さんと最上さんの演奏は、耳からではなく、身体全身の細胞から入ってくるようでした。自然のような美しさも感じられて、音楽の繊細さを改めて思いました。ピアノ演奏のアドバイスもいただけたので、今後の演奏に生かしていきたいです。


