開催レポート:ピティナ×ロートpresents ピアノ・コンチェルト鑑賞コンサート

ピティナ×ロートpresents ピアノ・コンチェルト鑑賞コンサート
「モーツァルトとベートーヴェン」
日時:2025年6月8日(日)
会場:ロート会館(大阪・ロート製薬本社内)
出演:南杏佳(ピアノ)・粟辻聡(指揮)・関西フィルハーモニー管弦楽団(弦楽合奏)
協賛:ロート製薬株式会社
コンサート概要
ピティナ×ロート初の協同コンサートを生野区と連携して開催

6月8日(日)には、ロート製薬株式会社とピティナとの初の協同の試みとして、大阪のロート会館にて「ピアノ・コンチェルト鑑賞コンサート」が開催されました。ロート製薬本社のある生野区との連携のもと、小学生を中心とした地域の方々を招き、大阪府出身の2024年特級グランプリの南杏佳さんと関西フィルハーモニー管弦楽団(指揮:粟辻 聡氏)によるピアノ・コンチェルトを聴く機会を提供しようと企画されたものです。会場は、無料招待された小学生約200名とそのご家族、愛好家の方々、ロート製薬従業員ご家族など、500名以上の観客で満席となりました。

コンチェルトへの導入

今回のテーマは「ピアノ・コンチェルト」。南さんにとってモーツァルトのピアノ協奏曲第20番(第1楽章)とベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番(全楽章)という2曲のコンチェルトを演奏する機会となるとともに、多くの子どもたちにとっては「初めてのコンチェルト」を体験する機会ともなりました。ちょっとハードルが高いかな?と思われるコンチェルトを、最後には全楽章聴けるように、2曲のピアノ・コンチェルトの間に、2人の作曲家のピアノソロや弦楽合奏、楽しい楽器紹介やトークをはさんで進められました。また、小学生以下には演奏やお話を聴きながらシールを貼って完成させるかわいいワークシートをお配りし、鑑賞をサポートする工夫も凝らされました。

冒頭は指揮者の粟辻聡さんと司会の古橋果林さんとのトークから。粟辻さんは「コンチェルトは“協奏曲”と日本語では言うのですが、字の表す通り、オーケストラとピアノが“一緒に協力しあってひとつの音楽を作りあげていく”ものです」と説明。今回は粟辻さんと南さん、そしてロート会館にあわせて特別に編成された関西フィルの弦楽器アンサンブルとが力を合わせて演奏します。

弦楽器の音や大きさをくらべてみよう

まずは粟辻さんによる弦楽器の紹介。ステージ上と客席の間にヴァイオリン奏者が登場し、近くで「森のくまさん」を演奏する様子を子どもも大人もキラキラした目で見つめました。続いてヴィオラ、チェロ、コントラバスと1種類ずつの楽器の音を聴いた後、4種類の弦楽器がステージ上に並びました。4つの弦楽器の大きさを目で見て比べるとともに、ヴァイオリンは生後3か月の赤ちゃんくらい、チェロは小学1,2年生くらいなど自分たちと比べて感覚をつかみました。

音の高さくらべでは、ピアノも登場。コントラバスと一番低い音を、ヴァイオリンと一番高い音をくらべてみました。そして全ての楽器で一番低い音から高い音へ、それぞれの楽器の音域で参加してもらうと、途中で加わったり、重なったり、なくなったりする様子がよく分かりました。「作曲家は、こうした楽器の音域も考えながら、曲を書いていくのですね」と古橋さん。

モーツァルト:ピアノ協奏曲第20番~ピアノのテーマはいくつ?

いよいよ1曲目のピアノコンチェルトを聴く時間です。ベートーヴェンも好んで弾いていたというモーツァルトの協奏曲第20番の1楽章。ワークシートにシールを貼ってステージ図を完成させたり、南さんの出すクイズを考えたりしながら聴きました。南さんはピアノのテーマのフレーズを弾いてみせ、「このテーマが曲の色々なところで出てきます。一体何回出てくるか、数えてみてくださいね」と話してから演奏したので、観客は「これだね!」と顔を見合わせ、次第に曲の醸し出す雰囲気に惹き込まれていきました。

モーツァルト:ディベルティメント~弦楽だけのアンサンブルの響き

次は弦楽アンサンブルのみの響きを聴いてもらいます。粟辻さんが「ディベルティメントは、ワクワクさせる、喜ばせるという意味です。16才のモーツァルトがどんな景色を見て、どんな風に人を楽しませようと思っていたのか想像しながら聴いてもらえたら」と話された通り、明るく希望に満ちた響きが会場を満たしました。

特別企画~オーケストラの気分を体験!

第2部は、先ほどまでオーケストラ奏者が座っていた椅子に、特別に代表の子どもたちが座らせてもらってスタート。事前に寄せられた質問には「大人数のオーケストラとピアノとを一体どうやって合わせているの?」「ピアニストからはどう見えているの?」「指揮者はどうして必要なの?」などというものが多くありました。実際にオーケストラの椅子に座った子たちから「顔の表情も手も見えない」「足しか見えない」ことを教えてもらったり、粟辻さんや南さんから一緒に音楽を作り上げるために心掛けていることなど、演奏している側にしか分からないことを教えてもらいました。

会場全員で参加!トルコ行進曲でボディパーカッション

そして「ピアニストと指揮者と一緒にひとつの音楽を作り上げる」ことを体験するために、ステージ上の子どもたちと会場の観客全員で、南さんのピアノとの共演にチャレンジ。会場を手拍子と足踏み、もも打ちの3つのパートに分け、ボディパーカッションで3つのリズムを練習。南さんの演奏するモーツァルトの「トルコ行進曲」に耳を澄ませ、粟辻さんの指揮をよく見て、見事にボディパーカッションでのオーケストラを務めました。

ステージ上での聴こえ方とピアノの仕組み

2曲目のピアノソロ「エリーゼのために」は、静かに聴いてみます。ステージ上の子からは「客席で聴くのとは音の響き方が違う」という印象。南さんは、ピアノの音を出す仕組みと形の秘密、そしてピアノの屋根が一方向に開いていることの意味、なぜ客席とステージ上で聞こえ方が違うのかを説明してくださり、聞こえ方の面からも、ステージ上の演奏者たちが響きを合わせることの難しさを実感することができました。

ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第3番~物語の展開を想像して

いよいよ最後は、ピアノ・コンチェルトを全楽章通して聴くことにチャレンジです。南さんからは、「3つの楽章を物語の場面転換のようになぞらえて、展開を楽しんでみてください」という聴き方のヒントが贈られました。子どもたちは、どんな物語が描かれるのか想像力を膨らませながら、真剣な表情で聴き入っていました。熱演に大きな拍手が送られると、古橋さんからは「これだけの大曲を全楽章通して聴けたことは、とても素晴らしいこと。皆さん自身にも拍手を送りましょう!」と声がけがあり、親子で称えあう様子も見られました。

指揮者とピアニストへの質問コーナー

演奏後には質問コーナーで事前に募集した質問を粟辻さんと南さんへ投げかけました。「なぜピアニストや指揮者になりたいと思ったの?」「なろうと思ってから、心掛けたことは?」「指揮者ってどんな練習をしたらなれるの?」「楽譜はどうなっているの?」といったものから、初めてコンチェルトを経験した時の気持ちや、演奏をする時に一番大切にしていることなど、子どもたちの率直な疑問に、粟辻さんと南さんが一つひとつ分かりやすく答えてくださいました。指揮者やピアニストが本番や練習で何を見て、何を考え、どのように音楽に向き合っているのかといった、普段なかなか聞けないことを直接本人の言葉で聞くことができて、子どもも大人も最後まで身を乗り出していました。

終演後には、関西フィルの方のご厚意でロビーでヴァイオリンの楽器を触らせてくださり、たくさんのお子様が並ばれていました。

この公演の実現には、第17回のグランプリである樋口あゆ子さんが、後輩のグランプリである南杏佳さんの今後の活躍のサポートになればと、南さんの出身である大阪のロート製薬とご縁をつないでくださったという背景がありました。ロート製薬の山田邦雄会長は、ご自身もピアノを演奏される大の音楽好きで、この会館を南さんと地域のお子さんの音楽的な成長の場に、と快くご提供くださり、ご自身の言葉でもコンサートで語り掛けてくださいました(Enjoy!Piano)。大阪市生野区の筋原章博区長も来場され、子どもたちと一緒に参加しながら最後まで演奏に聴き入っていらっしゃいました。コンサートを終えて帰っていく親子が手を振って笑顔で帰っていく様子から、ここを起点に、縦に横にとつながりが拡がっていくことを感じました。

来場者アンケートより
  • 初めてこのようなクラシックコンサートを聴きにきました。普段重低音やアップテンポなものを聞くので、どんなものかとワクワクしていました。歌詞がないからこそ音楽で情景や感情を感じ取る音楽の楽しさを学びました。一人一人本当に情熱的で惹かれてしまいました。
  • ピアノ・コンチェルト、なかなか聴けないのよ、とピアノの先生から勧められて来ました。子どもが好きなモーツァルトとベートーヴェンで、大好きなトルコ行進曲と、エリーゼのためにを南杏佳さんの演奏で聴けることを楽しみにしていました。管弦楽団の演奏も、粟辻聡さんの指揮も素晴らしく、最後まで飽きずに鑑賞できました。ワークシートに取り組みながら夢中になって楽しめたようで良かったです。
  • 子どもに生で音楽を聴いてもらいたかったので、今回小学校からの案内があり、ロート製薬さんのおかげで近くで開いていただいて感謝しています。コンサートは子どもたちが楽しめる内容になっていてとても楽しめました。
  • 終始、子供たちを巻き込み引き込んでくださる演出のお陰様で、「今までで1番楽しいコンサートだった!」と娘(小3)。母子であっという間のひと時、素晴らしい演奏に同席させていただける機会をありがとうございました。
  • とても素晴らしかったです。最初に弦楽器それぞれの特徴を教えてくださったり、通路で弾いてくださったり、トルコ行進曲で足踏みしたりと、こどもも楽しめるように考えてくださっていてありがたかったです。
  • 弦楽器の解説(音や大きさ)が、こどもたちにわかりやすかったです。ピアノを鳴らしての音域比較は大人もおもしろかった!
  • 指揮者ってこんな自由でいいんだ、と思いました。指揮をしているというよりも踊ってるように見えて、本当に音が好きで、音で遊んでるように感じました。
  • ステージ体験に参加させていただきました。普段客席からきくと音がよく飛んでくるけど、舞台から聞いた時は全然飛んでこなかったみたいで、「響き」が全然違ったようです。
  • 普段奏者や指揮者として大切にしている想いを直接語ってくださって、音楽の世界を身近に知ることができて嬉しかったです。
  • 小2の娘と見に行かせてもらいました。演奏が本格的で素敵だったこと、そしてワークシートのお陰で長い曲も飽きずにずっと聴いてました。参加型トルコ行進曲楽しかったです。またこの様な機会があればぜひ参加したいです。
  • 南さんの演奏を初めて生で拝聴しましたが、とても誠実で伸びやかな音色だと感じました。質問コーナーや解説などたくさんお話を伺ってとても聡明な方なのだと分かり、やはり音色には人柄が表れるのだなぁと感じました。
  • 南杏佳さん、智徳体美…全てを兼ね備えたような演奏に思わず落涙。粟辻さんの愛溢れる指揮のもと、オーケストラの皆さんの音楽も素晴らしく、豊かな感動体験の時間をありがとうございました。
  • 南さんの演奏姿、表情を間近でみれたこともあり、一つの曲を演奏するだけでこんなにも表情が変わったり入りこむことの大切さも学んだと思います。
  • 普段はピアノ単独で弾くことがほとんどなので、連弾や他の楽器と他者と呼吸を合わせるということ、本当に難しいことだと思うし、その分息があった時はとても大きな喜びに繋がるのかなと思いました。
  • 初めてのピアノコンチェルト、とても感動しました!弦楽器の大きさや音の違いを知ることができたり、座る場所で音の聞こえ方に違いがあるなど楽しく学ぶことができました。ロート製薬さんの社内に会館があることも初めて知り驚きの連続でした。とても貴重な体験をありがとうございました。
コンサートのおもいで(ワークシート)より
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
コンサートのおもいで
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