丸の内2025 開催レポート:5/5 明治安田ヴィレッジ 1Fアトリウム

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2025
開催レポート:5/5 明治安田ヴィレッジ 1Fアトリウム

最終日の 明治安田ヴィレッジ 1Fアトリウムの前半は、森永冬香さんが瀬﨑明日香さんと、𠮷武優さんは立野心瑚さん・立野華凛さんと、ヴァイオリンとピアノの室内楽を届けてくださいました。後半は「ショパンをたどるメモワールIV、V」として、タクティカートオーケストラメンバーによる弦楽五重奏でショパンのピアノコンチェルトを2曲。安井友理さんと三林飛鳥さんが第1番、飯田円さんと田口尊啓さんは第2番でソリストに挑戦しました。


ピアノと室内楽の世界
出演:瀬﨑明日香(vn) 森永冬香(p)
当日の様子

爽やかな風が気持ちの良い子供の日の正午。ヴァイオリンの瀬崎明日香さんとピアノの森永明日香さんの華やかなクライスラー「愛の喜び」で2日目が始まりました。おふたりは高校大学の先輩後輩で、今回が初共演とのこと。同じ愛の2部作である「愛の悲しみ」では、どこか悲しげで温かい音色で会場を聴かせました。次はモーツァルトの「ヴァイオリンソナタ第36番」。瀬崎さん曰く、彼のピアノや音楽を楽しむ少年のような一面とヴァイオリンの名手であった父への敬意を感じる曲とのことですが、時折笑顔で顔を見合わせながら楽しそうに演奏する姿が印象的でした。最後の「美しきロスマリン」は飛び跳ねるような音が楽しく、会場全体が一体となって楽しむ時間となりました。

♪瀬崎明日香さん:思いがけず後輩との初共演の機会をいただきました。今日は子供の日ですし、本当に小さいお子さんからご年配の方までいらっしゃってお聴きいただいたので、そういう意味で2人の自分らしい幸せを運ぶ作曲家の演奏をさせていただきました。お聴きいただいてありがとうございました。

♪森永冬香さん:本当に楽しく演奏させていただきました。瀬崎さんの優しさに包まれて、あまり飾ることなく自然に演奏させていただくことができました。一緒に演奏させていただけて本当に嬉しかったですし、お客様も温かく迎え入れてくださって、出演できてよかったなと思います。

(レポート:工藤桃花)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
クライスラー:『愛の喜び』『愛の悲しみ』『美しきロスマリン』
モーツァルト:ヴァイオリンソナタ 第36番 ヘ長調 kv.547
若き才能たちの音楽の旅
出演:𠮷武優(p)立野心瑚(vn)立野華凛(vn)
当日の様子

色違いのドレスで登場した立野華凛さん、心瑚さん姉妹、そして2人を「これから先、必ずどこかで名前を聞くことになる2人」と紹介する𠮷武優さんの3人のコンサートは、妹の心瑚さんによるサラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」の落ち着き払った堂々とした演奏で始まりました。

続いた姉の華凛さんはコルンゴルドの「『から騒ぎ』からの4つの小品」より『花嫁の部屋の乙女』をしっとりと、『仮面舞踏会』では、大迫力の中に細やかさの覗く演奏でした。

2人の弾きぶりで会場が熱気に包まれている中、𠮷武優さんのピアノソロ曲ラヴェル「夜のガスパール」より『オンディーヌ』の演奏によってこれまでとは一転、会場中が静謐で緊張感ある空気に包まれていく様子が印象的でした。その後のトークでは華凛さんは「こんなに開放的な場所で弾くのは初めてで、楽しんで弾けました。」と、そして心瑚さんからはYouTubeチャンネル『かりんここバイオリン』の宣伝がありました。最後は3人でのサラサーテ「ナヴァラ」を所々アイコンタクトを送り合う様子を見せながら息のあった様子で華やかに弾ききり、会場中から大きな拍手に見送られながら退場していきました。

(レポート◎森山智子)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン
コルンゴルド:コルンゴルト: 「から騒ぎ」から4つの小品op.11より 1.花嫁の部屋の乙女、4.仮面舞踏会
ラヴェル「夜のガスパール」より『オンディーヌ』
サラサーテ:ナヴァラ  
ショパンをたどるメモワールⅣ~青春の輝き、協奏曲第2番~
出演:安井友理(p)三林飛鳥(p)タクティカートオーケストラメンバーによる弦楽五重奏(str)
当日の様子

明治安田ヴィレッジにタクティカートオーケストラのストリングスの皆さんが登場。ピアノは新丸ビルでも観客を魅了した安井友理さん、三林飛鳥さん、2011年生まれのフレッシュなおふたりです。

第1楽章のピアノは安井さん。「ショパンのピアノコンチェルトは(開催中のショパンコンクールでも弾かれる)憧れの曲」と目を輝かせていました。シリアスなストリングスが会場をショパンの深層へと惹き込み、息の深い清らかなピアノが凛々しく、時に痛切に響き渡ります。フルオーケストラでは目立って聴こえることの少ないヴィオラやコントラバスの音色も鮮明に聴こえてきます。調和のとれたハーモニーが自然に進み、第1楽章の終わりは堂々と音楽が満ちるのを感じました。

第2楽章からは、協奏曲はほぼ初めてという三林さん。淡いストリングスの風景の中、真珠色の砂糖菓子があふれるようなときめきをピアノが放ちます。時折現れる消えそうなほどの美しい弱音に息を潜めて聴き入りました。第3楽章、憂いと熱が入り混じるピアノは次第に夢のような愛らしさで弾みだし、鮮やかなピアノのパッセージに続くヴィオラの合図で、華やかに盛り上がり締めくくられました。最後の合図はオーケストラではホルンのパートで、終演後に「室内楽版は他のパートの分も弾くので忙しいですが楽しいです」とヴィオラの堀竹さん。

みずみずしい快演に拍手が鳴り止まず、安井さんと三林さんは少し照れながら何度もカーテンコールに応じていました。

(レポート:寿すばる)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
ショパン:ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 Op.21(室内楽版)
第1楽章(安井)
第2~3楽章(三林)
ショパンをたどるメモワールⅤ ~若き情熱の炎、協奏曲第1番~
出演:飯田円(p)田口尊啓(p)タクティカートオーケストラメンバーによる弦楽五重奏(str)
当日の様子

ピアノ協奏曲第2番に続き、タクティカートオーケストラの皆さんによる第1番です。ショパン国際ピアノコンクール(開催中)のファイナルステージで多くのピアニストが選択することでも大変有名な曲。ピアノは新丸ビル、TOKIA各会場を大いに沸かせた飯田円さんと田口尊啓さんです。 憂いと威厳の漂う前奏が観客をショパンの世界に誘い、飯田さんの熱く切ないピアノがアトリウムをワルシャワへと変えました。楽章最後のストリングスの美しさといったら!

第2楽章からは田口さん。弱音の美しいピアノと彫りの深いチェロとの揺りあう掛け合いは、時の流れを忘れてしまうほど。第3楽章に突入すると、ポーランド舞踊を思わせるロンドが軽やかなリズムとフレージングでコロコロと弾み、どこまでも響きます。祝祭感に満たされた客席からは、終わりと同時に少し前のめりな拍手とブラボーの声が。飯田さんと田口さんは前も後ろも超満員のお客さまに何度も向きなおりお礼をしていました。

素敵な弦楽ショパンを2枠に渡って届けてくださったタクティカートオーケストラの皆さんは、楽しさと真剣さを大切にして新しいことに挑戦している若手音楽家の集まり。来たる5月16日(金)にも豊洲シビックセンターでの弦オケコンサートを予定しているとのことです!

(レポート:寿すばる)

当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
当日の様子
プログラム
ショパン:ピアノ協奏曲 第1番 ホ短調 Op.11(室内楽版)
第1楽章(飯田)
第2~3楽章(田口)

写真:春日知明

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