開坂望生さん(A1カテゴリー1位) グランミューズ部門入賞者インタビュー
入賞者記念コンサート
アルカン:「イソップの饗宴」 Op.39-12
中村夏美:舞曲「異国の風」
リスト:巡礼の年 第2年への追加「ヴェネツィアとナポリ」 S.162より タランテラ
少し前のことになりますが、コンペティションでご入賞されたときのお気持ちをお聞かせください。
「え、嘘でしょ!?」が第一声でした。本当に嬉しかったです。コンクールが終わってからもしばらく落ち着きがなかったと思います。自分の演奏を振り返ってみると、王子ホールで演奏するのは今回2回目で、響きやタッチの感度を理解していたおかげか落ち着いて演奏することができました。もちろん反省点もありますが、久しぶりに「コンクール」ということを忘れて演奏していたなと感じます。
コンペティション出場の動機を教えていただけますか?
徐々に仕事にも慣れてきた頃、そろそろコンクールに挑戦したいという思いでグランミューズ部門の出場を決めました。
コンペティションの選曲理由を教えていただけますか?
全国大会に選曲した2曲は、もしリサイタルを開催するとしたら・・ということを意識してプログラムを組みました。まず、アルカンの「イソップの饗宴」は、初めて聴いた時にこの曲の魅力に取り憑かれ、すぐに楽譜を購入して譜読みを始めました。それぞれの持つ変奏が滑稽で、時にはトランペットのように明るく、時には嵐のように暗く、まるで「人間の感情の波」のようなこの曲を解釈し、聴いてくださる皆様にどのような感情を与えられるのか、自分への挑戦として選曲しました。2曲目の中村夏美さん作曲舞曲「異国の風」は、全国大会出場が決定してから取り組んだ曲ですが、いつか弾きたいと願ってきた曲です。リサイタルではアンコール曲として演奏してみたいと考え、選曲しました。
レッスンには通われていますか?また先生はどんな方ですか?
大学を卒業し、働き始めてからは定期的なレッスンには通っていません。その代わりに年に1度マスタークラスを受講したり、実家のある青森県へ帰省した際には、恩師の友田恭子先生のレッスンを受けています。友田先生は愛のある指導をしてくださいます。ピアノを弾く音はいつもクリアで、私の今1番出したい音を出してくれます。
お仕事、学業ではどんなことをされていますか?
学校教員2年目になりました。今年度はクラス担任と音楽の授業を担当しています。まだまだ知識も経験も浅いですが、コツコツ頑張っています。
ピアノ以外にご興味があることは何ですか?
美味しい料理を食べることです!気になる店が見つかれば、すぐに行動に移します。最近ではびわ湖ホールでの演奏の後に「近江牛」をいただきました。記憶が飛びそうなくらい最高に美味しかったです。
普段はどれくらいピアノを練習されていますか?頻度、場所、時間などお聞かせください。
平日は自宅で1.5時間、休日は2・3時間です。使用ピアノはShigeru Kawai(sk-3)です。中学生の時に両親に「一生大切にしてね」と買ってもらったピアノです。
好きな作曲家、演奏家、曲についてお聞かせください。
好きな作曲家1人目はF.メンデルスゾーンです。透明感の高い響きの中で表現される音楽はとてもドラマティックかつ上品で、そこに魅了されています。2人目はF.リストです。オクターブの練習のために取り組んだパガニーニ大練習曲に苦戦し、挫けたことからしばらく弾いていなかったのですが、最近ではリストの音楽の特徴であるダイナミックさと、上から降ってくるような高速なパッセージには他の作曲にはない魅力だと感じ、再び好きになりました。
ピアノを演奏する際に心掛けていることは何ですか?
コンクールなど、人前で演奏するときは普段と違うことだけは絶対にしないことを目標にしています。
入賞者記念コンサートの曲目の選曲理由を教えてください。
「ヴェネツィアとナポリ」より"タランテラ"は、通勤中や入浴中に良く聞く曲の一つでした。今回、入賞者記念コンサート出場が決まったことで本格的に取り組むことになりました。ずっと弾きたかった曲なので嬉しく思います。
入賞者記念コンサートへの意気込みを一言お願いします!
コンサート当日は、私の演奏を聴いて、心と身体が暖かくなるよう、全力で・そして心を込めて演奏できるよう、コンサート当日まで頑張ります。HakujuHallで、皆様にお会いできることを楽しみにしております。
グランミューズ部門のへの参加は、ありがたいことに年々増えています。大人のピアノ学習の継続的な発展のため、グランミューズ部門へ初挑戦を検討している方へメッセージをお願いします。
グランミューズ部門では、弾きたい曲を演奏できることに魅力を感じます。会場で初めて知った曲もあり、「こんな素敵な曲があったなんて・・」と心ときめく瞬間がありました。また、働き始めてからもコンクールに挑戦できるということは、私にとって良いモチベーションとなり、練習の質も高まったと感じます。コンクールを受ける目的は人それぞれですが、私と同じように働きながらピアノを続けている方、これから取り組みたい曲がある方など、ぜひ挑戦してほしいと思います。