開催レポ:THE BEST CONCERTOS 2024
出演:大山桃暖(ピアノ)鯛中卓也(ピアノ)伊藤恵(ピアノ)三ツ橋敬子(指揮)大阪交響楽団(管弦楽)
2024年10月27日(日)、すばるホール(大阪府富田林市)において、「THE BEST CONCERTOS 2024」を開催しました。今回の公演では、三ツ橋敬子指揮大阪交響楽団が、すばるホールゆかりの2名のピアニストと伊藤恵先生をソリストにお迎えし、ドイツが生んだ偉大な作曲家、バッハ、ベートーヴェン、ブラームスのピアノ協奏曲を演奏しました。
すばるホールでは、関西出身でピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会の入賞者によるリサイタル・シリーズ「すばるイブニングコンサート」(これまでに60人が出演)を開催しており、今回は鯛中卓也さん(第8回出演)と大山桃暖さん(第54回出演)にソリストを務めていただきました。
まず、最初に演奏していただいたのは、2024年ピティナ・ピアノコンペティション特級において入選された大山桃暖さん。曲目は、J.S. バッハの「ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 BWV1052 より第1楽章」。この時代のコンチェルトは、オーケストラとの対話だけでなく合奏を求められる部分もあり、後の時代のコンチェルトとは違う作風を味わうことができます。大山さんらしい躍動感あふれる活き活きとしたテンポで、オーケストラとの発音をぴったりと合わせた素晴らしい音楽を奏でてくださいました。
続いての演奏は、ピティナ・ピアノコンペティション特級銅賞で、近年は指導者としても活躍が目覚ましい鯛中卓也さん。曲目は、ベートーヴェンの「ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58」。透き通るような音色でベートーヴェンの世界を繊細に、そして緻密に築きあげる美しい演奏でした。オーケストラとの掛け合いも柔軟で、オーケストラとピアノが一体となった心に沁みる演奏をしてくださいました。
最後に演奏していただいたのは、日本を代表するピアニストのお一人である伊藤恵先生。曲目は、先生が長年愛奏されているブラームスの「ピアノ協奏曲 第1番 ニ短調 Op.15」。若き日のブラームスが込めた情熱みなぎる音楽を、優しく受けとめる包容力豊かな演奏でした。重厚なオーケストラに対し、時には激しく対峙し、時には語りかけるように寄り添い、先生のピアノからはブラームスへの愛情が溢れ出ているようでした。
伊藤恵先生は鯛中さんにとって東京藝術大学で師事された恩師ということもあり、アンコールではお二人の連弾をお楽しみいただきました。また、伊藤恵先生は今年の特級の審査員を務められましたので、奇しくも「特級」ゆかりのピアニストが集う公演ともなりました。カーテンコールでは、指揮者の三ツ橋敬子さんとソリストのお三方が手をつないで何度も声援に応えてくださり、会場は熱気に包まれました。
レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)