開催レポ:すばるイブニングコンサート 大同理紗ピアノ・リサイタル

すばるイブニングコンサート 大同理紗ピアノ・リサイタル
日程:令和6年2月17日(土)17時開演
会場:すばるホール(大阪府富田林市)

第61回目のピアニストは京都市立芸術大学2年生の大同理紗さんです。

大同さんのプログラムはスカルラッティのソナタ2曲で始まりました。「ハ長調(K.159 L.104)」では、春の到来を告げるファンファーレを思わせるような明るい音楽が会場に響き渡りました。「ト長調(K.427 L.286)」では、勢いのよいリズミカルな音楽が躍動感に溢れ、華やかなコンサートのオープニングを飾りました。続いて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ第24番「テレーゼ」。優しく語りかけるようなメロディーが心に迫ってきます。さまざまな表情が繊細に紡がれ、とても味わい深い演奏をしてくださいました。前半の最後は、メンデルスゾーンの「幻想曲-スコットランドソナタ-」。第1楽章は霞がかった雰囲気の中に、確かな意思を持った旋律が奏でられ、大小の波が次から次へと押し寄せるようでした。第2楽章は雰囲気が一転し、希望に満ちた明るい音楽が朗々と歌われました。第3楽章は激しい感情がむき出しになるかのように、勢いよくダイナミックな演奏でした。そして、後半はラフマニノフの「絵画的練習曲『音の絵』」より、4曲を演奏してくださいました。第6曲(Op.33-6)は力強さと繊細さの両方を追求したドラマティックな演奏、第7曲(Op.33-7)は、低音に乗せて活き活きとしたきらびやかな演奏、第8曲(Op.33-8)は様々な音域の歌手が歌っているかのように多重な演奏、第9曲(Op.39-9)はピアノから花火のように音が放出され、とても迫力ある演奏が印象的でした。そして最後に演奏してくださったのは、ショパンの「ロンド」。鍵盤上を指が駆け巡りメロディーをかき鳴らします。クラコヴィアクのリズムによって明るく楽しい空気に包まれ、多様に装飾されるメロディーに満たされて華麗にコンサートが締めくくられました。

大同さんは空間に溶け込むような温かい音色をお持ちで、その音色は聴く側の心にも自然と染み渡ってきます。これからも心温まる音楽を多くの方に届けていただきたいと思います。

大同理紗さんのコメント

今回は、様々な国や時代の曲を盛りだくさんに選曲しました。休憩なしのプログラムで、また今回初めて演奏する作品もあり、不安や緊張もありましたが、美しく響く素敵な会場で、自分なりに音楽を楽しみながら演奏することが出来ました。たくさんの方に聴いて頂き、音楽を共有できる時間をもつことができて、とても幸せでした。終演後も、お客様と直接お話が出来て、温かいお言葉を頂き、これからも頑張ろうと思いを新たにしました。

ずっと憧れていたすばるホールイブニングコンサートの舞台に立てて、大変光栄でした。貴重な機会を頂き、ありがとうございました。
今後も、毎日音楽と向き合い、精進していきたいと思います。

大同理紗
来場者のコメント(抜粋)
  • 美しい音楽を聴かせていただいてありがとうございます。力強く若々しく素晴らしいとおもいました。
  • とても響いて、高音がキラキラしていてきれいだった。
  • 私はメンデルスゾーンが特に良かったです。ご自身はショパンが好きなのでしょうか。とても楽しそうに演奏されているように感じました。
  • ものすごいピアニストです。スコットランドソナタ初めて聴きました。指がよく動きますね。

レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)
写真撮影◎藤原敬久(すばるホール)

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