レポ9:5/6新丸ビル3Fアトリウム キッズ/ヴァイオリン・ソナタ/アレンジ(LFJ丸の内)

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2023 丸の内エリアコンサート
開催レポート Vol.9(5月6日開催分)

最終日の新丸ビルは、初夏の陽射しに映える東京駅を背景に、キッズステージ・ヴァイオリンデュオ・アレンジプログラムと全く雰囲気の異なる3ステージが展開され、それぞれのステージを楽しみにするお客様がたくさん詰めかけました。最終公演ではお客様の手拍子大喝采でエリアコンサートが締めくくられました。

ラ・フォルジュルネ東京2023 丸の内エリアコンサート トップ


5/6(土)
新丸ビル3Fアトリウム
ミニコンサート
北村明日人&キッズ共演企画
出演:北村明日人(p)、武藤芭奈(p)、李光(p)、石渡花音(p)、山田諒(vn)、青木咲環(p)、望月結衣(p)、竹内奈々歌(p)

丸の内エリアコンサート最終日の新丸ビル3Fアトリウムは、キッズ企画からスタートしました。2022特級グランプリ北村明日人さんとステージで共演したい!という子どもたちを公募し、このステージでは小学2年から中学2年までの7名のキッズたちが出演しました。

この日が初顔合わせ。喜びと緊張のうちに始まったリハーサルでは、短い時間で北村さんがピアノで一緒に音楽を作りながら、どうやったらもっと魅力的に観客に音楽が伝わるかを伝授されました。こうした大きな空間で弾く時には、耳の位置を自分の近くではなくもっと遠くに持つといいことや、明るい所から暗い所へ、暗い所から明るい所への音色の変え方、軽く響くグリッサンドの弾き方など、ポイントを絞ったアドバイスに、みるみる子どもたちの音が変わっていくのが分かりました。本番では、満員のお客様を前に堂々とした演奏が繰り広げられました。

♪北村明日人さんより:7人のキッズとの共演でした。慣れないオープンスペースでの演奏でしたが、リハーサルで音の聴き方や響きの方向をよく確かめるようにアドバイスをしただけで、皆さんの出す音がよりはっきりしたことを感じました。立ち見のお客様も多くたくさんの方を前に緊張しつつも堂々と演奏する姿を横に、自分も子供たちからエネルギーをもらいました。

プログラム 1.武藤 芭奈(小2)リュリ:チョップスティック
2.李 光(小2)久石譲作曲・石川芳編曲:風のとおり道
3.石渡 花音(小6)バスティン::わらの中の七面鳥
4.山田 諒(小2)バッハ:ヴァイオリン協奏曲 第1番 第3楽章
5.青木 咲環(小6)ショパン作曲・久木山直編曲:華麗なる大円舞曲より
6.望月 結衣(中2)モーツァルト:4手のためのソナタ K.381 第1楽章
7.竹内 奈々歌(小5)葉加瀬太郎:情熱大陸
ミニコンサート
そびえ立つ巨峰「クロイツェル」
出演:柳田茄那子(vn)、居福健太郎(p)

大曲「クロイツェル」を全楽章通して弾くということで、ここしかトークポイントが無い!と演奏前、曲について、丁度ベートーヴェンがハイリゲンシュタットの遺書から復活した頃作曲されたこと、とても協奏曲的な、ピアノとヴァイオリンが対等に語り合う難曲であることなどを語っていました。厳かに始まった一楽章では、序盤メリハリと抑制が効いているかと思えば、緩徐部分ではたっぷり豊かな音色が響き、終盤は両者どんどんボルテージが上がっていく展開に。美しいメロディから始まった第二楽章は、途中の可愛らしい掛け合いが印象的でした。最後の三楽章は、弾むような旋律が交互にきたと思えば、一緒になったりと会場を熱気が包む中駆け抜けていくような演奏で幕を閉じました。

♪柳田茄那子さんより:もう拍手と目線が凄く温かくて、私もベートーヴェンに向かい合って弾けたような感じがしました。4年ぶりの開催ということで、生の音楽をお届けできない期間が沢山あったので、大勢の方に囲まれて演奏するというのは音楽家として冥利に尽きますし、ありがたい限りで感謝の気持ちです。

♪居福健太郎さんより:これだけ多くのお客様に気軽にお越しいただき、何よりも真剣に聴いていただいて、皆様の集中力をすごく感じました。こちらにとっても相乗効果で、皆様と一緒に音楽を作ってるという感覚が弾いてて非常に感動的でした。是非これを機にクラシックに足を運んでいただければなと思います。

プログラム ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ 第9番 イ長調 Op.47 「クロイツェル」
ミニコンサート
ベートーヴェン~Pops アレンジ
出演:高根流斗(p)、山田隆広(p)

高根流斗さんは最初のトークで、Mr.Childrenやサカナクションの影響を受けて育ち、クラシックから遠かった自分が評価されて演奏機会を頂けたことが嬉しいことなどをお話されました。そして今までやってきたバンドや和太鼓、吹奏楽などをイメージして編曲したという、原曲とはまた違った壮大さの「悲愴」の二楽章、続けて一転賑やかな「丸の内サディスティック」を演奏されました。

次の山田隆広さんは、「エリーゼのために」の主題をアレンジした一節を弾いた後にトーク。ベートーヴェンとロックを混ぜて即興するとのこと。「運命」、「月光」、「第九」などのテーマ、次に「トッカーとフーガ」で知られる前奏曲のアレンジを情熱的に演奏されました。息子の凛仁さんがプレトニュフアレンジの「眠りの森の美女」をドラマチックにした後、連弾のDeep PurpleのBurnでは拍手を煽るような場面も。アンコールの千本桜では、自然と拍手が湧き起こる盛り上がりでした。

♪高根流斗さんより:東京らしく、いろんな方々が集まっていて、その中で本当に広いスペースで弾くことが気持ちが良かったです。楽しく弾けました。山田さんも格好よくて、ジャンルの人がベートーヴェンを通じて演奏するのはおもしろかったです。

♪山田隆広さんより:いつでも即興が私の売りなので「出来ればベートーヴェン」と言われ、せっかく来ていただいたので、絶対ここでしか聴けないものをやってみました。ベートーヴェンの技法的なところとロックの関係を表現してみましたが、盛り上がってくださり嬉しかったです。

♪山田凛仁さんより:ここまで開放的な会場は初めてかもしれないです。空間が広く、音が広がりやすくてびっくりしました。

プログラム
高根流斗(p)
ベートーヴェン=高根流斗編:ピアノ・ソナタ 第8番 ハ短調 Op.13「悲愴」第2楽章
Ringo Sheena/J.コーラー:丸の内サディスティック
山田隆広
ベートーヴェン×ロック🔥山田隆広の超絶即興ピアノアレンジの世界

文:森山智子(2022特級公式レポーター)


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