レポ7:5/5丸の内MY PLAZA アトリウム ピアノソナタ/リスト/協奏曲(LFJ丸の内)
ラフォルジュルネ本公演2日目、前日の熱狂を受け、丸の内エリアコンサートにはさらに多くのお客様が来場されました。街の風景と音楽が溶け合い、大きな賑わいのなかに静かな音楽の感動が生まれています。
ラ・フォルジュルネ東京2023 丸の内エリアコンサート トップ
この日のスタートは「2つの顔、静寂と嵐」と題してベートーヴェンのピアノソナタ名曲選をお送りしました。演奏はヨハネス・ブラームス国際コンクール優勝他、後進の育成にも貢献しながら国内外で活躍中の三原未紗子さんと、数々の受賞歴を持ち、映画『ピアノの森』では誉子のピアノを担当した野上真梨子さん。お二人には桐朋学園大学を経てベルリンで学びを深めたという共通点が。三原さんは「テンペスト」を情熱的かつ端麗に、野上さんは「月光」を幽玄でドラマティックにと、耳にしたことのある人も多い名曲に、普段あまりクラシックに馴染みのない人も立ち止まらずにはいられません。早くから集まった多くのお客さんが大いに沸きました。
♪三原未紗子さんより:ベートーヴェンは私にとって、革新的で創造性にあふれる神のような存在。向き合うたびに様々なものをいつも与えてくださいます。
♪野上真梨子さん:2階までいっぱいのお客様にお集まりいただき、LFJの活気が戻ってきたことを嬉しく思います。ベートーヴェンはとても遠い存在ですが、生涯かけて学び続けたい作曲家です。
プログラム
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 Op.31-2「テンペスト」第1・3楽章
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第14番 嬰ハ短調 Op.27-2「月光」
史上最年少(タイ)の15歳で特級グランプリを獲得し、国際コンクールでも好成績を修め、現在はアメリカ留学中の山﨑亮汰さん。ベートーヴェンというテーマをフランツ・リストの視点を交えて届けてくださいました。リストが憧れたといえばヴァイオリニストのパガニーニが有名ですが、ベートーヴェンへの憧れもまた、交響曲を全曲ピアノ版に編曲したほど。ベートーヴェンの華麗なソナタのあと、曲間の拍手なしでリストの重厚なバラードへと続く空気づくりが素晴らしく、大きな拍手のあとにはアンコールのようにきらびやかなラ・カンパネラというプログラム。束の間、19世紀にタイムスリップしてリストのサロンコンサートに招かれたような魅惑のステージでした。
♪山﨑 亮汰さんより:ベートーヴェンをテーマに、ということで、自分ができることはなんだろうと試行錯誤し、研究しているリストを通じたアプローチをしてみたいと選曲しました。 ベートーヴェンのソナタとリストのバラードをひとつのまとまりのように意識して弾いたので、会場の皆さまに感じとっていただけて嬉しいです。
プログラム
ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op.101 第1・2楽章リスト:バラード 第2番 ロ短調 S.171
リスト:ラ・カンパネラ
数刻前に新丸ビルにて聴衆を魅了したクァルテット・ソレイユの皆さんがMY PLAZAにも!コントラバス奏者の北村一平さんと2人のソリストと共に、ベートーヴェン作曲のピアノ協奏曲、第3番を演奏。第1楽章はピティナ特級入賞の鶴原壮一郎さん。ハ短調の不穏な荘厳さとベートーヴェンらしいメロディアスな旋律が挑発的ともいえる自由な快活さで響きわたりました。鶴原さんも在学中の東京藝術大学に進学したばかりの山﨑夢叶さんは、福田靖子賞入選ほか活躍目覚ましく、華やかでリズミカルな第3楽章のロンドを歌うような音色で流麗に快演。会場が興奮で熱くなる大盛会となりました。
♪鶴原 壮一郎さんより:ベートーヴェンは主に後期が好きです。協奏曲第3番はしっかり古典なところや対比、作曲家の男気のようなところを出したいと思いながら弾きました。(以前と音が劇的に変わりましたねという問いかけに対し)3週間ほど前に椅子を低くして弾くようにしたところ、良く鳴るようになったと思います。
♪山﨑 夢叶さんより:大学の合格発表の日に出演のお話を頂き、忙しくも二重に嬉しい新生活のスタートになりました。履修登録が済んだところで本番を迎えられ、開放的な空間も相まってとても楽しく演奏できました。
プログラム
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37 第1楽章
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第3番 ハ短調 Op.37 第3楽章
3枠目に引き続いてのクァルテット・ソレイユの皆さんとコントラバス奏者の北村一平さんがピアノ協奏曲 第4番を演奏。ソリストはジュリアード音楽院ほかアメリカの大学で研鑽を積み、コンクールやコンサート、後進の教育にと多くの実績を持つ水本明莉さん。ピアノから始まるという当時としては斬新で新しい音楽を奏でる喜びにあふれるこの曲は、音の表現力も音域も広がったエラールのピアノを手にして初めて作曲された協奏曲。ふくよかで甘美な水本さんのピアノと繊細なストリングスとの対話が親密に調和し、会場いっぱいに集まった人々は温かな音楽の包容力に聴き入っていました。
♪水本明莉さんより:急遽1週間前にソロを弾くことになり、親密な協奏曲第4番に合わせて内省的な曲をとショパンを選びました。お客様との距離が近く、人の息づかいを感じながら「音楽のあるべき姿はこういうものかもしれない」という幸せな気持ちで演奏できました。
♪クァルテット・ソレイユの皆さん&北村一平さんより:弦楽版になるとオーケストラでは弾かないパートにも携わるのでベートーヴェンの曲の良さや凄さを改めて感じます。第3番と第4番は全く違う雰囲気の曲でソリストの皆さんも個性的でとても楽しい時間になりました。
プログラム
ショパン:ショパン :即興曲 第3番 変ト長調 Op.51 ベートーヴェン:ピアノ協奏曲 第4番 ト長調 Op.58 第1楽章文:寿すばる(2022特級公式レポーター)/写真:春日知明
より多くの人が、ピアノにワクワクできる。
知らなかったピアノの魅力を再発見する。
ピアノの可能性をもっと広げていくための新たな取り組みが始まります。