レポ6:5/5新丸ビル3Fアトリウム 弦楽四重奏/ピアノデュオ/ジャズ(LFJ丸の内)
ラ・フォル・ジュルネ本公演の中日となる5月5日には、前日を上回る多くの方々が丸の内エリアコンサートを訪れました。親子連れの姿も多く、「子どもの日」音楽にあふれる街を楽しんでいました。
ラ・フォルジュルネ東京2023 丸の内エリアコンサート トップ
明るい日差しが差し込む中、最初に「ワルチング・マチルダ」の華やかで輝かしいメロディが新丸ビルの天井高くまで響き、続いてベートーヴェンらしい各パートが緻密に構成された「弦楽四重奏曲第6番」は、長く組み続けてきたからこそというそれぞれを熟知した躍動感溢れる演奏でした。「ロンドンデリーの歌」はラヴェルの影響を受けたというフランク・ブリッジによるアレンジで、ヴィオラの優雅な音色がとても印象的でした。最後のテリー・ボアが「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」をアレンジしたという曲は、所々に陽気な民族音楽的なフレーズが入る明るい雰囲気の曲でした。定期公演を毎年4月に行なっているそうで、興味のある方はぜひ行かれてみては如何でしょうか。
♪クァルテット・ソレイユより:ヴィオラの席からは東京駅が見えました!ロケーションが素晴らしく、雰囲気もよく、本当に沢山のお客様の前で演奏できて嬉しかったです。
プログラム
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲 第6番 作品18-6 1楽章 他ブルーとパープルの色違いの衣装で登場してきた2人、頷きあい「ゲーテの詩『君を思う』」の可愛らしい音色によって始まりました。トークでは、2人は幼馴染で人生の4分の3を過ごしてきたこと、2人で合わせている時からずっと楽しく、今日も楽しむのでみんなも楽しんでほしいことを語り、また変奏曲の色とりどりの世界を楽しんで欲しいとも。次の「ワルトシュタイン伯爵の主題」は、先の曲と比べると落ち着いた雰囲気の曲。最後の「交響曲第7番」について、のだめカンタービレで有名なキャッチーで可愛らしい曲と語っており、ピアノ連弾版では確かに随所でフレーズの可愛らしさが印象に残りました。最後退場の順番の相談まで、ずっと仲の良さが伝わってくるにこにこ楽しいコンサートでした。
♪山縣美季さんより:オープンスペースで演奏する機会はLFJくらいしか経験していないので、日の光が入ってきて、東京駅が見えて、上の方にもお客さんいっぱいいて、凄い温かくて幸せな環境で演奏できて、普段2人で弾いたらそれだけで楽しいんですけど、その楽しさが倍増した感じがありました。
♪森永冬香さんより:私もこういうオープンスペースで弾くってこと殆ど機会がなくて、美季ちゃんと演奏できる貴重な機会だったので、合わせの段階からすごいドキドキワクワクしてたんですけど、本番も、更に温かい拍手、空気でのなかで本当に気持ちよく弾けて、幸せで濃厚な30分過ごせたなって思ってます。
プログラム
ベートーヴェン : ゲーテの詩「君を思う」による4手のための6つの変奏曲 WoO.7ベートーヴェン:ワルトシュタイン伯爵の主題による4手のための8つの変奏曲 WoO.67 ハ長調
ベートーヴェン:交響曲 第7番 Op.92 イ長調 第1楽章
赤みがかってきた空間でのコンサートは、「田園」のテーマを用いた曲から始まりました。鳴り響く重低音、可愛らしいアレンジのテーマ、また雑多な街並みのような雰囲気と様々な顔を見せた演奏。トークではここ1年クラシックに興味を持ったこと、ベートーヴェンを聴き込んで練習したことなどを語り、所々聴き覚えのあるフレーズが覗いた「トルコ行進曲」のアレンジは、次々に色を変えていく変奏曲のようでした。冒頭「悲愴」のテーマから始まった3曲目は原曲に近い静けさが印象的でした。オリジナル曲の「For N. K.」はカプースチンの影響を受けた曲だそう。ピアノの持つ迫力、優美さなど多彩な表現の可能性を改めて感じました。アンコールの「Hope」は静かでキラキラ光るメロディーの美しい曲でした。
♪RINAさんより:このクラシックの音楽祭LFJに出演させて頂けたことは本当に光栄なことで、出演が決まってから今日を楽しみに私も今まで頑張ってきました。今日は凄く沢山のお客さんに聴いていただけて嬉しかったです。
プログラム
ベートーヴェン・ジャズアレンジ(Jazz arr.by RINA)ベートーヴェン: 交響曲第6番「田園」第一楽章
ベートーヴェン: ピアノソナタ第8番 「悲愴」第ニ楽章
ベートーヴェン: トルコ行進曲
RINA: For N.K.
文:森山智子(2022特級公式レポーター)/写真:春日知明
より多くの人が、ピアノにワクワクできる。
知らなかったピアノの魅力を再発見する。
ピアノの可能性をもっと広げていくための新たな取り組みが始まります。