開智中学・高等学校による社会科見学(学校活動協力レポート)

2月16日(木)に埼玉県さいたま市にある開智中学・高等学校(中高一貫部)の学生さんたちが、ピティナ本部事務局と東音企画への社会科見学に訪れました。

「社会に出る」授業

今回訪れたのは高校1年生の男女11名。「社会に出る」と題された探求活動の一環で、今後の進路や将来の職業を考えるにあたり、実際に企業・団体を訪問し、仕事をしている様子を見学したり、直接話を聞く機会を設けているとのこと。様々な業種の訪問先に分かれる中、「音楽を仕事にする」ことを知る機会として、ピティナと東音企画を選んでくださいました。

代表の福田成康(一般社団法人全日本ピアノ指導者協会専務理事・株式会社東音企画代表取締役)より、「社会とは人のつながりであり、例えば1つのコンクールを作るのにどれだけ多くの人たちが関わっているのかを考える機会となってもらえれば」と挨拶があり、続いて2つの団体の歴史や事業説明が行われました。

ワークを通して「工夫」と「背後の意図」を見つける

後半には2グループに分かれて社内を見学し、実際に物を見たり人に会ったり、作業を体験したりしながら理解を深めました。ピティナでは、コンペティションの要項から背後にある意図や工夫を読み取ったり、セミナーやコンサートの収録に使う機材を見たり、ピアノ指導者の実際の仕事内容に考えを巡らせるなどのワークを通して、その仕事が「誰の」「何のための」ものであり、その実現のためにどのようなシステムを採用しているか、などを考えました。

東音企画では各コンクールのチラシを見比べて対象や目的の違いを見つけたり、輸入出版楽譜の原語版と日本語版との違いを見つけ、何故そのような違いをわざわざ作っているのかを考えたり、実際に教材グッズを使ってみて開発の意図を体験したりという時間も設けられ、興味深く取り組む姿が見られました。

学生さんたちからは、「ピアノの先生が教える時間以外に何をしているかなんて、考えたことがなかった」、「意外と少人数で大きなプロジェクトを動かしているのでびっくりした」、「楽譜もただ日本語に訳すだけではなく、国の事情に合わせて色々な工夫が施されていると知った」などという感想が聞かれました。

スタッフに直接質問タイム

最後に質問や感想もたくさんいただきました。「自分は今音楽が好きだけれど、小さい頃からピアノを習ったりしていなかったので、もっと小さい頃に出会っていればよかったと思っている。音楽を習っていない人へもアプローチする取り組みも行っていますか」などと言った質問もあり、ストリートピアノや学校クラスコンサート、オープンピアノプロジェクトなどへの関心も見られました。

引率の小松悟先生からは、「今、この子たちは将来の職業やそのための進路選択を考える時期にあります。皆さんは、ここに至るまでにどういう道のりを辿って、何故ここで働くことを選んだのかを聞かせていただきたい。」というご質問があり、3名のスタッフよりそれぞれの学生時代の関心や悩み、就職先を選ぶに至った経緯やその選択の理由についての経験談を共有させていただきました。学生さんたちは、共感や意外といった表情を浮かべながら、熱心に聞き入ってくださいました。

スタッフにとっても、今学生さんたちがどのようなことに興味や問題意識、悩みを持っているのかに接する貴重な機会となりました。また、小学生の頃からピティナのコンペティションやステップに参加されていた学生さんがパスポートをご持参くださり、事務局内で歓声があがりました。アマチュアのピアノ愛好家である小松先生は、最後にはせがまれてピアノを披露され、見守る生徒さんたちの視線に心温まるひと時でもありました。

学生さんたちの感想より
  • 好きなことの周りの仕事がたくさんあることに気がつけてよかった。
  • 自分の親や先生以外の大人に、仕事について話してもらう機会は初めてだったので、親身になって話してくれて嬉しかった。
  • 今までコンクールやステップのことしか知らなかったため、色々なことを知れてより一層ピアノを楽しめそうな気がしました。
  • 東音企画さんで扱っていた楽譜が印象的でした。今まで自分が使っていた楽譜と全く異なるもので、ピアノの練習がより楽しくなるような工夫がされていたり、また、指番号や大きいお手玉のような、小さい頃使っていたら練習が楽しめていたようなものが沢山あり、もっと色んな教室に普及されるとピアノを楽しく練習できる子供が増えるのではないかと思いました。
  • 指導者のサポートに力を入れていることがわかった。
  • 副業について考えさせられた。
  • 意外だったこと:少ない人数で大きな仕事を回していること、オフィスが小さいこと、リモート率が高いこと、コンクールの運営や出版、収録だけでなく様々な開発に携わっていること。
  • 事前に調べたりしていたけれど、表に見えている事業の裏に、自分が思っているよりもずっと色々なことをしていて、縁の下の力持ちみたいですごいと思った。
  • 自分の趣味をこういう方向でも活かせるのかと思った。

「音楽を仕事にする」こと、「好きなことを仕事にする」ことにも、様々な関わり方があること、またその背景にどのような目的や意図、工夫が隠されているのか――学生さん、スタッフともに、改めて考える機会となりました。

事務局の見学に関心のある方はピティナ本部事務局までお問い合わせください。

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