レポ:12/19 草加市立川柳小(篠永紗也子pf・伊藤万桜vn/動画あり)

草加市立川柳小学校
日時:2022年12月19日(月)
会場:音楽室
参加人数:4年生 96名
出演:篠永紗也子(ピアノ)・伊藤万桜(ヴァイオリン)
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2学期末の12月19日、草加市立川柳小学校へピアニストの篠永紗也子さん(2015特級グランプリ)とヴァイオリニストの伊藤万桜さんが訪れました。お二人とも学生時代に学校クラスコンサートにご出演いただいていましたが、篠永さんのウィーン留学からの帰国を機に、5年ぶりの久々の登場となりました。

伊藤さんが慣れたトークで元気よく4年生の子どもたちへ挨拶し、エルガー「愛の挨拶」からスタート。サン=サーンスの「白鳥」では、演奏に先立って少しピアノパートを奏でてみせ、静かに波打つ水面とそこへ降り立った白鳥の様子を想像させてから演奏に移りました。

篠永さんのピアノソロでは、子どもたちをピアノの周りに集めます。近くに来ると、それまで受け身気味で聴いていた子たちの口も開きだします。「今88ある鍵盤も、音楽室の肖像画にあるバッハやモーツァルトの時代にはもっと少なく、幅も狭かったり黒と白が逆のものがあったりしたんですよ」と話すと、「ええー!」という驚きの声があがりました。質問する時はすぐに答えを言わず、子どもたちの声がいくつかあがるのを待ちます。ソフトペダルを踏んでみせた時も、「音がちょっとくもる」と素敵な答えがでてきました。

「これから私が演奏する間、ピアノの下にもぐってどんな音がするかを聴いてみたり、楽器の中がどう動いているのか覗いたり、この曲は左のペダルもたくさん使うので、指だけじゃなく左右の足もどう使っているのかなど、色々な所を観察してみてくださいね」と言うと、子どもたちは喜んで思い思いの場所へ向かいました。

「アラベスク第1番」とショパンの「幻想即興曲」の演奏が始まると、もぐっていた子たちから「うぉー、すごい!」と思わず歓声が。ピアノの周りに集まった子どもたちは、教室のピアノからこんな演奏が・・・という音色に、迫力のある所も、静かな所も、一生懸命耳を傾けていました。演奏が終わると盛大な拍手。「まじですごすぎる!」と口々に言いながら席に戻っていました。

ヴァイオリンの伊藤さんも楽器についてのクイズを出します。「この右手に持っている白いものは、あるもののしっぽでできています。何でしょう?」「牛?馬?ドラえもん?」とやり取りしながら、「この弓で4本の弦をこすって、これからとっても難しい超絶技巧がぎゅっとつまった曲を弾きます」と、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」を演奏しました。ヴァイオリンの深く豊かな響きに、さっきまではしゃいでいた子たちも息をのんで聴き入っていました。

またアンコールのチャールダッシュの演奏ではヴァイオリンを演奏しながら子どもたちの間を練り歩き!後ろの子も間近でヴァイオリンの演奏を楽しむことができ盛り上がりました。終了後も「すごーい、きれーい!」「楽しかったー!」と話しながら帰っていく姿が印象的でした。音楽の先生も「今日の体験を、趣味や授業で生かしてもらえたら」と話されていました。

ピアニスト・篠永紗也子さんより

ピアノの魅力をよりダイレクトにお届けするため、演奏中に生徒の皆様にピアノの下へ潜ってもらったり、ピアノの中身を覗いてもらったりしたのですが、皆様がとても集中して聴いてくださり、足元やピアノの周りから「すごい!」「かっこいい!」と声が聴こえてきました。このような経験は人生初でしたので、私自身もとても楽しませていただきました。

また、質問コーナーでは時間が足りなくなるほど盛り上がり、「目を瞑ってどうやって弾いているの?」「ヴァイオリンはどのようにして音が鳴っているの?」「演奏中は何を考えているの?」等、興味深い質問も沢山あり、驚きました。少しでも音楽に興味を持っていただくことが出来たのかなと実感し、嬉しかったです。

3クラス連続公演でしたが、各クラスそれぞれの個性や雰囲気が違い、同じ曲を演奏しましたが、不思議なことに私たちの演奏も3回違ったものになりました。

これこそまさにface to faceの授業ならではの醍醐味で、その瞬間にしか生まれない音楽の感動を沢山味わうことが出来て、幸せでした。

ヴァイオリニスト・伊藤万桜さんより

3クラス公演、みなさん本当に真剣なキラキラした眼差しで音楽を楽しんでくれて、充実した豊かな時間を共有できました。

ヴァイオリンを弾きながら歩き、みなさんの近くにいったりしましたが、こうした近い距離での演奏会は、子どもたちにも演奏家の私達にも、とても貴重な体験だと思います。

私自身、小さい頃から本物の演奏に触れる機会を多く得て、自然にクラシックに馴染んできたので、多くの子どもたちにも同じようにクラシック音楽に親しみを持って貰いたいと思っています。何百年も続いてきたクラシック音楽の持つ力は世代を超えて感動を分かち合えるものだと思うから。私達の演奏で、みなさんが少しでも音楽に興味や関心を持ってくれていたら嬉しいです。

音楽の先生より

ヴァイオリンで演奏しながら児童の間をまわったり、ピアノの周りに児童が行ったりして、演奏しているところを身近に感じることができ、子どもたちがとても感動しているのが分かりました。近くで聴いた時に、子どもたちがとても集中していたことが印象的でした。素敵なコンサートをどうもありがとうございました。

児童の皆さんの感想より(抜粋)
  • ピアノやヴァイオリンの演奏を聴いて、すごくきれいな音だなと思いました。ピアノは足でペダルをふむのがすごくて、ヴァイオリンは手をゆらす動きがすごかったです。こんなに近くで見せてもらってありがとうございました。
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  • プロの人は音と同じように音楽にのっているのを知りました。
  • ピアノの外で音を聞くと少し小さく聞こえていて、ピアノの下で聞くと音がとっても大きく全くちがっていて、ピアノをさわるとしん動が強くきていました。ピアノを習いたくなるほど心を動かされました。
  • ヴァイオリンは手だけで演奏すると思っていましたが、首も使っていることが分かりました。
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  • ピアノの下に入った時は、音がでかく聞こえていたけど、音はそのままできれいでした。また聞きたいくらいきれいな音でした。
  • ヴァイオリンはたった4つしかない線をうまく使ってきれいな音をつくっていてすごいです。
  • ピアノとヴァイオリンが組み合わさって、心がとてもおだやかになりました。一番すてきだったのが「ショパン 幻想即興曲」です。速いリズムがあって、とってもすてきな音で、もう1回聞きたくなりました。篠永さんのピアノは、音が「ポロンポロン」となってとても美しい音でした。
  • ヴァイオリンの伊藤万桜さんの動きに一番おどろきました。ヴァイオリンをひきながら、おどるように軽やかな動きをしていたので、びっくりしました。
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  • この演奏を聴いて、音楽がとても楽しいことが分かったので、これからピアノをもっと練習したり、バイオリンもやってみたくなりました。
  • 5年生6年生でもクラスコンサートがあったらいいなと思います
  • ぼくが一番気に入ったのは、最後から2番目のサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」です。曲が早くてヴァイオリンのむずかしい技が沢山つまっているのにスラスラひけるのもすごいし、ピアノもその早いリズムについていってひけるのもすごかったです。
  • ぼくは2人の息がなんでずっと合っているんだろう、ずれたりしないのかなと思っていたけど、理由をきいてなっとくしました。
  • わたしががっきなどひくのがにがてなので、家にあるピアノを少しちょうせんしてみたいと思いました。
学校クラスコンサート
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