開催レポ:すばるイブニングコンサート 稲垣慈永ピアノ・リサイタル

日程:令和4年2月26日(土)17時開演 ※詳細
会場:すばるホール(大阪府富田林市)
出演:稲垣慈永(ピアノ)

第56回目のピアニストは東大寺学園高等学校3年生の稲垣慈永さんです。

稲垣さんがプログラムの最初に取り上げた曲はベートーヴェンの「ピアノソナタ第23番“熱情”」です。第1楽章では、太く柔らかい音の粒が深く豊かな音量と共に雄大な世界を表現していきます。第2楽章では中音域の和音が奏でる陰鬱な雰囲気にやがて高音と低音が交わり、優しい光が差し込んでいきました。第3楽章では激しい情熱と確固たる理性が共存する固い意志の込められた演奏でした。

次の曲はショパンの「エチュードOp.10-2」。テクニックを活かした素早くリズムのよい演奏で、半音階が流麗に奏でられました。

続いては、シマノフスキの「仮面劇よりシェヘラザード」。幻想的な雰囲気で始まると、音楽がまるで演劇をみているかのように生き生きとした表情をみせてくれます。素晴らしい描写力により、一つ一つの音が見事に音楽を形作っていて、ドラマティックで味わい深い作品でした。

最後に演奏してくださったのはリストの「バッハの名による幻想曲とフーガ」。リストによって重厚なハーモニーと華やかな技巧が施された曲を、ピアノがまるでうねりをあげるかのように華麗に大きなスケールで演奏してくださいました。

稲垣さんは音楽の描写力が素晴らしく、繊細に様々な表情を描き出してくださいます。また、長身を活かしたダイナミックな演奏も魅力的です。これからも自身が思い描く音楽の世界を大切に、ピアノを奏でていただきたいと思います。

稲垣慈永さんの感想

この度は、「すばるイブニングコンサート」出演という素晴らしい機会をお与えいただき、誠にありがとうございました。

自分にとって、コンサート自体や、一時間の演目、そしてトークなど、何から何まで初めて経験することでした。
開演前までは、楽しみと不安の入り混じった心境でしたが、この会場のとても響きの良いピアノの音が、徐々に自分をリラックスさせてくれました。
後半は特に、とても楽しく、そして心を込めて演奏させていただきました。
皆様からの温かい拍手がとても嬉しかったです。自分にとって最高の一日として記憶に刻まれました。

この経験を経て、またコンサートをしたいという強い思いが生まれ、これからの勉強のモチベーションにもなる素晴らしい機会になりました。
本当にありがとうございました。

稲垣慈永

来場者のコメント(抜粋)

  • 生の演奏の余韻に当分は浸れそう。人間って指が10本?とか考えてしまった。特に熱情の第二楽章が良かったし、シマノフスキも初めて耳にしました。リストもすごかった。
  • 様々な曲を演奏いただき、とてもよかったです。特にベートーヴェンが良かった。力強い演奏だと思いました。
  • 若い人の力強い演奏を聴くとエネルギーが伝わり、元気になります。素晴らしい演奏をありがとうございます。とても心が落ち着きました。今後もご活躍ください。
  • 熱情の第三楽章が素晴らしかったです。シマノフスキ・リストも素晴らしかった。
  • シマノフスキ素敵でした!次は稲垣さんのラヴェルやドビュッシーが聴いてみたい。
  • 若くてとてもすばらしい音楽をお持ちの稲垣さんの演奏をとても近くで聴けて感激でした!ブラボー!!
  • 高校生とは思えない多彩な音色のすばらしい演奏でした。
  • 安定感のある演奏で素晴らしかったです。
  • 素晴らしい音にひきこまれました!

レポート◎富田林すばるステーション 辻野文崇
写真撮影◎西村則晃(すばるホール)

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