丸の内2026開催レポート:5/5明治安田生命 MyPLAZA

ラ・フォル・ジュルネTOKYO2026
LFJエリアコンサート@丸の内
5/5 明治安田生命 MyPLAZA

5月5日の明治安田生命MyPLAZAでは4公演が行われました。ヴァイオリンとピアノのデュオ、Disklavierを活用したユニークなピアノコンサート、大人気のほのカルテットによる弦楽四重奏、そしてエロイカ木管五重奏団と稲沢朋華さんによるチャイコフスキーと、バラエティ豊かな1日となりました。


12:00-12:30
才能を刻む ― 世界の本流へ向かう、格調のヴァイオリン

出演:吉本梨乃(Vn)、北村明日人(P)

午後の明治安田生命ヴィレッジに登場したのは、海外を拠点に活動中のヴァイオリニスト吉本梨乃さんと、2022年特級グランプリのピアニスト北村明日人さんです。
ふたりの音色が楽しげに弾む麗しいモーツァルトにはじまり、ブラームスのスケルツォでは中間部の甘く切ないF・A・E、つまりファ・ラ・ミのモチーフが美しく、重厚なピアノの上で踊るようなヴァイオリンから自由で情熱的な気高い魂を感じました。
『わが母の教え給いし歌』は、母の日も近いこどもの日にぴったりの一曲。穏やかな深い愛が大きな音楽となり会場中を満たしました。
シンコペーションからハンガリー舞曲、続くウィーン風狂詩的幻想曲までは一連の流れを特に感じ、吉本さんが切々と、しかし凛と。暗雲を払いのける芯のある端正な音色を響かせました。幻想曲の終わりにかけてピアノとヴァイオリンがドラマティックに駆け上がりフィニッシュ。会場いっぱいのお客様から大きな拍手と声援が注がれました。

~演奏者のコメント~
♪吉本梨乃さん(Vn):今年のテーマ『大河』にちなんだプログラムをと考えました。今年生誕270年のモーツァルトと、14歳で留学し特別な思い入れのあるウィーンをベースにしています。そして留学してからずっと住んでいるヨーロッパに流れるドナウ川の流域に縁のある曲を集めました。北村さんがとても良い方で、演奏からいろいろなインスパイアも受け、楽しく弾くことができました。
♪北村明日人さん(P):吉本さんとは初共演でした。同じ神戸の出身と親近感を持っていたのですがなかなかお会いする機会がなかったので、ご一緒できて本当に嬉しく、楽しい公演でした。

(レポート◎寿すばる)

プログラム
モーツァルト:ロンド K.373
ブラームス:F.A.E.ソナタより スケルツォ
ドヴォルザーク:わが母の教え給いし歌
クライスラー:シンコペーション、ウィーン風狂詩的幻想曲 など
14:00-14:30
ピティナ・ミニコンサート✕Disklavier 奏で、探る ― 未来の響へ

出演:鶴澤奏(p)

ガラス張りのビルに日差しが差し込む中、鶴澤奏さんのドビュッシーの「月の光」が天井高くまで響き始まったこのコンサートでは、Disklavierという自動演奏機能を活用した演奏が披露されました。
ピアノの鍵盤やハンマーの演奏時の状態を事前に記録し再生することで、鍵盤が勝手に動く様子の実演があった後、連弾曲を2つ、左側の鍵盤の動きに合わせて右側で音の重ねていく演奏が披露されました。
1曲目はウルリッヒによって連弾編曲されたシューベルトの「ピアノ5重奏曲「鱒」D 667より 第4楽章 主題と変奏」で、鶴澤さんの繊細なタッチと違和感無く調和していました。
2曲目はブラームス「ハンガリー舞曲集より 第1番」でも、細かい旋律が自動演奏にぴったりと合い、まるで本当はもう1人いるかような躍動感ある演奏でした。
最後にDisklavierを使わずに披露されたショパンの「舟歌」では、序盤の静謐な響きから、徐々に深く広がっていく多彩な音の重なりがビル全体に響き渡り、鮮やかな終幕でした。

~演奏者のコメント~
♪鶴澤奏さん(p):Disklavierを使うということで事前収録の必要があったのですが、その機能の面白さをとても感じることが出来て、今回のこのような企画に携わらせていただけて大変光栄でした。

(レポート◎森山智子)

プログラム
-
16:05-16:35
弦楽四重奏 ~ ほのカルテット

出演:岸本萌乃加(vn)、林周雅(vn)、長田健志(va)、蟹江慶行(vc)

この時間の明治安田ヴィレッジは、大人気のほのカルテットの皆さんによるコンサート。立ち見のお客さんも集まり、会場は開演前から熱気に包まれていました。
ピアソラの「リベルタンゴ」は、その熱気を受け取るかのように情熱的に響きます。続くシュトラウスの「美しき青きドナウ」、そしてスメタナの「モルダウ」の演奏の前には「ドナウ川とモルダウ川、どちらが長いでしょう!」という、ちょっとしたクイズコーナーも。1曲目とはガラリと雰囲気を変え、柔らかで甘美なアンサンブルが、会場を包み込みました。
さまざまなテイストの楽曲が詰め込まれた今回のプログラム。Danish String Quartetのアレンジ曲「ゲイルワーニング」では、軽快に刻まれていく中で林周雅さん(Vn.2)のソロが会場のボルテージを最高潮まで持ち上げます。 割れんばかりの拍手が鳴り、あっという間にラストの「死と乙女」へ。眩い日差しを受けながら、多彩な音色のアンサンブルの時間は幕を下ろしました。

~演奏者のコメント~
♪林周雅さん(vn):この会場では3年連続で演奏させてもらっていて、帰ってきた感じが出てきました。GWなので、普段クラシック聴いていない方がたまたま通りかかって聴いて下さっている可能性もあるわけで、そういったところが良い機会をいただいているなと思います。弦楽四重奏は、セカンドが一番大事です!(笑)

(レポート◎小原遥夏)

プログラム
ピアソラ:リベルタンゴ
シュトラウス:美しく青きドナウ
スメタナ:モルダウ
シューベルト:弦楽四重奏曲第14番 「死と乙女」第1楽章
17:30-18:00
ピアノと木管五重奏で聴くチャイコフスキー

出演:稲沢朋華(p)、エロイカ木管五重奏~斎藤光晴(fl)、大成雅志(cl)、阿部友紀(ob)、井上直哉(fg)、大森啓史(hr)

たった6人でこの大曲を演奏するという挑戦をしたのはエロイカ木管五重奏団とピアニスト稲沢朋華さん。
最初は和やかな雰囲気で今回登場する6つの楽器を紹介。個性溢れる奏者達の工夫を凝らした紹介には、時折笑いが溢れる場面も。
編曲の西島麻子さんも客席に見えている中でチャイコフスキーの「ピアノ協奏曲第1番 第1楽章」が始まりました。
その演奏は、まずこの聴き慣れている有名な曲でも、オーケストラパートにはこんな音、メロディーが隠れていたのだという驚きがあり、そして始めて取り組んだとは思えない稲沢さんのどっしりと構えた堂々とした様も印象的。
オーケストラになりきって技巧を凝らし紡ぎ出す5人の多種多様、多彩な音色と、稲沢さんの温かく透き通った音色が調和し、夕暮れ時のビルに染み渡ってゆくようでした。

~演奏者のコメント~
♪稲沢朋華さん(p):チャイコフスキーのピアノ協奏曲は、いつか私もやりたいと思っていて、不安もあったのですが、皆様のおかげでなんていい曲なんだろうと思いながら演奏することが出来て、楽しかったです。ありがとうございました。
♪斎藤光晴さん(エロイカ木管五重奏団):3年前からこの編成でピアノ協奏曲をやるのが定番になっていたのですが、チャイコフスキーのような大曲は始めてで、木管五重奏では世界初かなと勝手に思っているのですが、その本邦初演が成功してほっとしています。感無量です。
♪西島麻子さん(編曲):編曲は、翻訳をする作業に似ていると思っています。この名作をどのようにイメージを壊さずにそのまま楽器に置き換えていくかに目を向けて編曲しました。演奏家の方々にご協力いただいて、何かの形としてお客様に伝わっていたら嬉しいなと思います。

(レポート◎森山智子)

プログラム
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲 第1番 変ロ短調 Op.23 第1楽章
楽器紹介 他

【広告】