レポート:ごほうびクラシック「ピアノ・オールスターズⅣ ピアノ・パッション」

ごほうびクラシック第16回「ピアノ・オールスターズⅣ ピアノ・パッション~4つの個性が描く名曲の世界~」
  • 2025年12月21日(日)15:00開演
  • 第一生命ホール(東京)
  • ロー磨秀/南 杏佳/尾城杏奈/梅田智也(ピアノ)
  • 飯田有抄(クラシック音楽ファシリテーター)
  • 認定NPO法人トリトン・アーツ・ネットワーク/第一生命ホール
  • アフラック生命保険株式会社
  • 一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
  • コンサート情報
ごほうびクラシック「ピアノ・オールスターズⅣ ピアノ・パッション~4つの個性が描く名曲の世界~」開催レポート

12月21日、ピアノ・オールスターズⅣ ピアノ・パッション~4つの個性が描く名曲の世界~が開催されました。ロー磨秀さん、南杏佳さん、尾城杏奈さん、梅田智也さんの4人の精鋭たちが、ベートーヴェンからショパン、リスト、坂本龍一など多彩なプログラムでクリスマス目前の第一生命ホールを彩りました。

心と身体を音楽でリフレッシュする「ライフサイクルコンサートごほうびクラシック」の第16回となる本公演。開演前にはヨガ講師によるストレッチコーナーが行われ、とてもリラックスした雰囲気でコンサートが始まるまでの時間を過ごすことができました。

いよいよコンサートが開演。第1部はリクエスト曲コーナーと題し、事前にインターネット上で行われた人気投票で選ばれた曲を、飯田さんとのトークを交えながら4名のピアニストたちが演奏しました。

最初に登場したのは梅田智也さん。オール・ベートーヴェンの候補曲の候補曲の中から選ばれたのはピアノ・ソナタ第14番「月光」より第1楽章でした。重厚感のあるしっとりとした音色が会場を包み込みます。トークでは、ベートーヴェンの後半生を描いた大人気の舞台『No.9 --不滅の旋律--』(稲垣吾郎・主演)にピアニストとして出演した際の思い出話を語ってくださった梅田さん。この舞台で演奏を通してベートーヴェンの人生を表現した梅田さんだからこそできる、ベートーヴェンの人生の重みをひしひしと伝えるような演奏でした。

次に登場したのは、南杏佳さん。2作品を披露しました。1曲目はショパン:ノクターン 第20番嬰ハ短調遺作。情感たっぷりに弾きあげ、南さんが作り出すショパンの世界にうっとりと浸るとても贅沢な時間でした。ここから一転、2曲目はラテンの軽快なリズムが特徴的なアブレウ(アムラン編):ティコ・ティコ・ノ・フバで会場を楽しませてくれました。今回演奏したヴィルトゥオーゾ・ピアニストとして知られるマルク=アンドレ・アムランによるピアノ編曲版は、高度な技術が要求され、南さんはこの曲を弾く前「ティコるぞ!」と気合いを入れるそうです。

3番目の演奏は、ロー磨秀さんによる坂本龍一:戦場のメリークリスマス。クリスマスまであと4日に迫ったこの日にぴったりの曲です。この日はローさん自身のアレンジも加えられたバージョンで演奏されました。寒空の下に寂しげな光がキラッと光る場面が目に浮かぶような、透明感のある演奏で会場を魅了しました。ソロ活動のほか、シンガーソングライターとしての才覚も見せ、数々のアーティストと共演などで活躍するローさん。トークでは2025年にテレビ出演したときの面白エピソードで会場を盛り上げました。

第1部は、尾城杏奈さんによるリスト:ラ・カンパネラで華やかに締め括られました。事前のインタビューで「あまりに有名で名演の録音も多い中、自分が演奏する意味や価値を探しながら弾き続けている作品です。作曲家の意図に寄り添うことを第一に考え、なおかつ自分の表現でお客様のもとへと届けたいですね。」と仰っていましたが、尾城さんらしい軽やかで上品な演奏でラ・カンパネラの魅力を伝えてくれました。

第2部はピアノ・パッション ~4つの個性が描く名曲の世界~と題し、4人が思い思いの曲を届けました。

最初に登場したのはローさん。ドビュッシー:前奏曲第1集より「ヴェール(帆)」「西風の見たもの」/前奏曲第2集より「枯葉」「妖精は良い踊り子」「花火」を演奏しました。ドビュッシーらしい独特な和声の上にさまざまな場面が描写され、特に最後の「花火」では迫力満点の演奏を届けました。

続いては、南さんがリスト:スペイン狂詩曲 S.254を演奏しました。南さんらしい華やかでエネルギー溢れる演奏でリストの難曲を弾きあげました。

3番目の演奏は尾城さん。ショパン:アンダンテ・スピアナートと華麗な大ポロネーズ 変ホ長調 Op.22の華やかで可憐な旋律を丁寧に伝え、ショパンの曲の魅力をたっぷり届けてくれました。

そして、大トリをかざったのは梅田さん。梅田さんといえばベートーヴェン。ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番ヘ短調Op.57「熱情」の気迫溢れる熱演に、会場からはあふれんばかりの拍手が送られました。

全ての演奏が終わると熱演をとどけてくれた4人のピアニスト、ロー磨秀さん、南杏佳さん、尾城杏奈さん、梅田智也さんと司会の飯田有抄さんがステージ上に登場。会場はあたたかな拍手に包まれました。

レポート◎工藤桃花

写真提供:トリトン・アーツ・ネットワーク 撮影:大窪道治

南杏佳さんより

過去のPTNA全国大会や昨年の特級セミファイナルなどの記憶から、第一生命ホールにはどうしてもコンクールのイメージが強く残っており、ホール前の大きなエスカレーターを見るだけで緊張してしまうほど、私にとって特別な思いを抱く場所でした。

さらに今回は、ロー磨秀様、尾城杏奈様、梅田智也様と、幼少期より憧れてきた三名の演奏家の方々との共演ということもあり、当日はホールに到着する前、勝どき駅に降り立った瞬間から強い緊張を感じておりました。

しかし昨年より多くの演奏家の方々とお会いする中で、「人柄は演奏に表れる」ということを改めて実感しています。今回共演させていただいた皆様も例外なく、素晴らしいお人柄の持ち主で、私に対してもとても温かくフレンドリーに接してくださり、会場入りした瞬間から終始楽しい時間を過ごすことができました。

開演前にはキッズ企画が行われ、ロー様のお話や尾城様の演奏に加え、子どもたちが舞台上のピアノを一人ずつ演奏する貴重な時間が設けられました。質疑応答の場面では、他の三名のピアニストの皆様の言葉に、私自身も多くの気づきをいただきました。

第一部では、リクエスト曲としてショパンノクターン 「遺作」と、アムラン編「ティコ・ティコ・ノ・フバ」を演奏いたしました。異なる時代・様式の作品を続けて、そして5分という短時間だけを演奏する機会は近年ほとんどなく、大きな緊張もありましたが、一音も逃すまいと集中して耳を傾けてくださるお客様の存在に支えられ、楽しみながら演奏することができました。

司会の飯田様とのトークも温かく受け止めていただき、会場全体が穏やかな雰囲気に包まれたまま第二部へと進みました。

第二部では、長年取り組んできたリスト「スペイン狂詩曲」を演奏いたしました。今年に入ってから身体の使い方や音楽の構築を見直してきたこともあり、これまでとは少し異なるアプローチによる演奏をお届けできたのではないかと感じています。

舞台裏では共演者の皆様と楽しく語らい、また名演の数々に深く心を打たれ、かつて緊張や不安の象徴であった第一生命ホールが、思い出深く温かな場所へと印象を大きく変える公演となりました。

また個人的な出来事として、長年憧れ続けてきたピアニストの方々にもご来場いただき、お会いして直接思いをお伝えする貴重な時間を持てたことも、忘れがたい思い出です。

本公演を支えてくださったスタッフの皆様、ご来場いただいたお客様、そして共演してくださったピアニストの皆様に、心より感謝申し上げます。誠にありがとうございました。

南杏佳

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