第1457回:1/26 八丈町立大賀郷中学校(長井進之介pf)
八丈島にて初の学校クラスコンサートが開催されました。こちらは2025年12月に開催を予定していた八丈島ステップにあわせて開催される予定でしたが、度重なる台風・暴風雨の被害の影響でともに延期を余儀なくされ、1月25日・26日に日を改めて実現したものです。演奏に訪れてくださった長井進之介先生、八丈島Anettaiステーション代表の土屋歌織先生、そしてソプラノ歌唱で共演くださった大賀郷中学校の干田美鈴先生に、それぞれメッセージをいただきました。

今回、学校クラスコンサートを開催したきっかけは、八丈島ではピアニストによる生の演奏に触れる機会が非常に限られているという現状がある中で、子どもたちに本物の音楽を届けたいという思いからでした。過去にピティナ本部より学校クラスコンサートのご提案をいただいたことがありましたが、当時は実現に至らず、心残りとなっていました。その経験もあり、ピティナ・ピアノステップに素晴らしい先生方が来島されるこの貴重な機会を生かし、ステップ参加者以外の生徒の皆さんにも生演奏を届けたいと、改めて強く感じました。
実現に向けては、大賀郷中学校音楽科の干田美鈴先生に直接ご相談し、校長先生にもお話をつないでいただいたことで、授業の一環として開催する運びとなりました。後に、出演をお願いした長井進之助先生と干田先生が同大学の同級生であったことが分かり、この不思議なご縁が今回の企画を自然に後押ししてくれているように感じました。準備期間中には、台風被災やピティナ・ピアノステップの延期など、思うように進まない時期もありましたが、ピティナの温かいご支援と丁寧なご対応に支えられ、無事に当日を迎えることができました。

コンサートは、大賀郷中学校の全学年の生徒、教職員、地域の方々を対象に、50分2公演で実施されました。長井先生のプログラムは、親しみやすい楽曲から本格的なピアノ演奏、干田先生との声楽共演、生徒や観覧者との対話、合唱での共演など、非常に多彩な内容で構成され、あっという間の50分となりました。生徒がピアノを囲み、音の響きを間近で感じながら鑑賞する姿はとても印象的でした。

特に、普段学校で接している先生の歌声を間近で聴く場面では、生徒たちが真剣な表情で耳を傾けており、音楽が持つ力を実感している様子が伝わってきました。また、音楽から情景をイメージするコーナーでは、生徒それぞれが自由に感じ取り、音楽の世界を広げていく貴重な時間となったように思います。質問にも丁寧に応じてくださり、演奏以外の面でも学びの多い時間となりました。
学校のピアノを使い、授業の時間の中で生演奏に静かに向き合う生徒や観覧者の姿を見て、このコンサートを開催できた意義を改めて感じました。本事業の実現にあたり、多方面にわたりご尽力いただいたピティナならびに関係者の皆様に、心より感謝申し上げます。今回の経験が、生徒の心に長く残り、音楽への関心や感性を育むきっかけとなることを願っています。今後、島内の他の小中学校にも同様の機会が広がり、地域全体に音楽の輪がつながっていくことを期待しています。
レポート◎ピティナ八丈島Anettaiステーション代表 土屋 歌織
まずは今回も貴重な機会をくださったピティナ関係者のみなさま、八丈島Anettaiステーションのみなさま、そしてコンサートをお聴きくださった八丈町立大賀郷中学校の生徒さん、教職員のみなさま、本当にありがとうございました!
学校クラスコンサートを担当するのは2回目ですが、今回は中学校ということで、少し選曲は年齢層を意識したものにしました。まず、最初に演奏する“つかみ”の1曲は迷ったのですが、ピアノで迫力あるサウンドをお届けできるアレンジがあったこともありYOASOBIの「アイドル」を選曲しました。ただ、先生方からもアドバイスをいただいたのですが、いまの中学生くらいの年齢層ですとMrs. GREEN APPLEなどが学生さんには喜ばれる…ということがあらためてわかったので、今後の選曲の際に留意したいと思います。
今回は「ピアノ」という楽器の魅力を様々な形でお伝えできれば、ということをテーマに選曲をしました。そこでオープニングの後は「ピアノの詩人」ショパンの楽曲を2曲演奏しました。ノクターン第2番とワルツ(遺作)というタイプの違う2曲を演奏することで、ピアノの繊細なサウンドと迫力あるサウンドを体験していただけたと思います。

そのあとは「曲名当てクイズ」コーナーとしてシベリウスの「樅の木」(「樹木の組曲」より)と「アイリス」(「花の組曲」より)を選曲し、曲名やイメージを発表してもらう場を設けました。このコーナーについてはなるべく毎回儲けたいと思っているものです。演奏する人はもちろん、鑑賞する人にとっても自分ならではのイメージや色を曲に感じるというのはとても大切なことであり、より楽しみが広がるきっかけづくりになると考えているからです。反省点としては、やはり中学生になると小学校のときのように積極的に意見を発表してもらいづらい(どうしても「恥ずかしさ」「間違っていたらいやだ」という感情が勝ってしまう)ので、なるべくシンプルに答えやすいように導く工夫が必要だと感じました。(「暗い」「明るい」、「●色」など、手をあげればいいような形で答えてもらうなど)

そのあとは今回、偶然にもご担当の音楽の干田美鈴先生が大学時代の同級生ということが発覚したため、共演コーナーも設けさせていただきました。曲は干田先生に選曲していただき、教科書で実際に鑑賞したことのある「浜辺の歌」と「荒城の月」とさせていただきました。授業とは違う先生の迫力ある歌唱に生徒の皆さんが感激している様子が伝わってきました。また、今回我々が同級生、というお話をしたらその点にとても反応してくれました。
最後は学生のみなさんとの共演で合唱曲を一緒に演奏しました。(「大切なもの」、「地球星歌」)とてもいい声でみなさん歌唱してくださり、とても楽しい時間となりました。干田先生、ご協力いただき誠にありがとうございました!

少し時間に余裕ができたので「Q&A」コーナーを設けました。とくに2、3年生の時は「音大受験ではどんな課題があるのですか?」、「入試ではどんな曲を弾くのですか?」といったご質問もあり、音楽を学ぶことについて興味を持ってくれている様子が伝わってきてとてもうれしく感じました。
最後にはピアノの周りを囲むように学生の皆さんに立っていただき、そのなかでモーツァルト(ファジル・サイ編曲)の「トルコ行進曲ジャズ」を演奏し、お別れさせていただきました。やはり速い動きの曲を演奏すると「すごい!」と声を出して喜んでくれるのでこちらも楽しくなって演奏しておりました。

最初はお互いに緊張してしまっている感じがありましたが、徐々にそれもほぐれ、とてもたのしい空気のなかで演奏や対話をさせていただくことができました。
あらためまして、八丈島Anettaiステーションのみなさま、そしてコンサートをお聴きくださった八丈町立大賀郷中学校の生徒さん、教職員のみなさま、本当にありがとうございました!
生徒がプロによる生演奏を間近で鑑賞できる、とても素晴らしい機会になりました。お話、問いかけ、合唱など、演奏者と生徒が一緒にコンサートを作り上げた、対話的コンサート編成もとてもありがたかったです。生徒もしっかり聴き、歌うところは歌い、とても楽しそうにしていました。聴いていた地域・保護者の方々にも好評でした。
今回ご縁により長井先生と一緒に共演させていただきました。私自身は、授業のほかに地域のコンサートなどでよく歌っていますが、授業中はいつも私一人なので、伴奏していただいて本来の形で生徒に歌曲を聴いてもらったのは初めてです。選曲した日本歌曲は「浜辺の歌」と「荒城の月」という渋い曲でしたが、生徒たちはいつもより集中して聴いていたと思います。長井先生のおかげです。また実施していただきたいです!


