レポート:大阪・すばるホールにて特級褒賞公演「稲沢朋華ピアノ・リサイタル」を開催

2025ピティナ・ピアノコンペティション特級褒賞公演「稲沢朋華ピアノ・リサイタル」(大阪・すばるホール)
  • 2026年2月8日(日)14:00開演
  • すばるホール(大阪)
  • ピアノ: 稲沢朋華
  • 公益財団法人富田林市文化振興事業団
2025ピティナ・ピアノコンペティション特級褒賞公演「稲沢朋華ピアノ・リサイタル」開催レポート

2026年2月8日(日)に、2025ピティナ・ピアノコンペティション特級褒賞公演「稲沢朋華ピアノ・リサイタル」を、大阪府富田林市すばるホールで開催しました。公益財団法人富田林市文化振興事業団では、2021年から特級グランプリの褒賞公演を開催しており、今年度は稲沢朋華さんをお迎えしました。公演日はこの冬一番の寒波が押し寄せ、外は雪景色となりましたが、すばるホールでは稲沢さんの音楽に包まれる心温まるひとときとなりました。

稲沢さんが最初に演奏してくださったのは、ショパンのバラード第2番。昨年開催されたショパン国際ピアノコンクールに触発されて選ばれた曲だそうです。第1主題は夢の世界に導くかのように繊細で優しい音色がそっと心に語りかけてきます。第2主題は美しい響きを保ちつつ、激しい感情の起伏を色彩豊かに演奏してくださいました。

続いて、湯山昭の『お菓子の世界』から「バウムクーヘン」と、会場の皆さんにも参加していただけるようクイズ形式で「ホットケーキ」か「ポップコーン」のどちらかを聴いて当てるコーナーになりました。お菓子の色艶や香り、見た目の美しさ、風味までもさまざまに感じさせるいきいきとした演奏に、会場のこどもたちも目を輝かせながら楽しんでいました。演奏後、会場の皆様に挙手で答えを伺ってから、自作のイラストで正解の「ポップコーン」を発表していただきました。

そして、最後に演奏してくださったのはブラームスのピアノ・ソナタ第3番。2月11日に開催される「特級ガラ・コンサート」でも演奏される作品を初発表してくださいました。全5楽章で構成された演奏時間が40分にも及ぶ大作ですが、力強さと繊細さが交錯する重厚な作品に心を込めて丁寧に演奏してくださいました。稲沢さんのお人柄を映したような優しく柔らかい音楽は、作品の深い世界まで聴き手を誘ってくださり、会場からあたたかい拍手が送られました。稲沢朋華さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

また、昨年に引き続き2025ピティナ・ピアノコンペティションの各級において全国大会に出場した地元のジュニアピアニスト3組にオープニングを飾っていただき、終演後に当事業団から全国大会出場を称え賞状を授与させていただきました。

本公演の開催にあたり、特級クラウドファンディングのご支援をいただきましたことに厚く御礼申し上げます。

レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)

稲沢朋華さんより

2月初めは、すばるホールで演奏させていただきました。大阪の方々が「本当に素敵なホール」と口を揃えておっしゃる場所で、その舞台で精一杯演奏させていただけたことを心からありがたく思っています。

2/11のピティナ特級ガラコンサートに向けて、ブラームスのソナタ第3番を全楽章演奏させていただきました。大雪の情報も出ていて行き帰りは少し心配もありましたが、無事にこのホールのあたたかな響きの中で音楽を届けることができ、ほっとしています。

20歳にして5楽章からなる大きなソナタに挑み、この作品をもってソナタというジャンルを書き終えた若きブラームス。その背景には、師であるシューマンの妻クララに想いを寄せてしまったブラームスの、自分の心にまっすぐでいることが必ずしも誰かの幸せにつながるとは限らないという切なさが、音楽の奥に静かに漂っているように感じました。私はこの作品から「誠実でいることの残酷さ」を初めて強く受け取りましたが、それと同時に、大切な人を想うからこそ周囲への誠実さを忘れなかった彼のあたたかい人柄もにじみ出ているように思います。この曲を演奏する一人として、私自身も感謝の気持ちを大切にしたいと思い、カレンダーに毎日ひとつ、その日に「ありがとう」と思えたことを書き留めるようにしています。

またすばるホールでまた演奏をお届けできるよう、精進します。本当にありがとうございました!

稲沢朋華
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