開催レポ:特級グランプリ受賞記念 南杏佳ピアノコンサート(ヤマハ東京)
会場:ヤマハ銀座コンサートサロン
出演:南杏佳(p)
主催:株式会社ヤマハミュージックジャパン
後援:一般社団法人全日本ピアノ指導者協会


第48回ピティナ・ピアノコンペティション特級グランプリの南 杏佳さんによる、東京での受賞後初の本格的なリサイタルが開催されました。
華やかな銀座の目抜き通りに位置するヤマハ銀座5Fのコンサートサロンは、追加席を設けるほどの満席。会場やロビーでは、来場者同士が和やかに交流し、温かな雰囲気に包まれていました。
当夜のプログラムは、順番を変更して、武満徹「雨の樹素描 II」からスタート。最初の一音がふわりと広がり、まるで奥行きのある大ホールで聴いているかのような響きがサロン全体を包みこんでいきました。コンサートグランドピアノ(YAMAHA CFX)の魅力を存分に引き出し、観客を音楽の世界へと誘いました。
続くベートーヴェンのソナタでは、シンプルかつストイックなアプローチで、研ぎ澄まされた弱音の表現で丁寧に紡いでいきました。MCでは「皆さんそれぞれの人生を思い出していただけるようなプログラムを考えました」と語り、プログラムの有機的なつながりに会場の共感が膨らみます。
前半の締めくくりは、リストの「死の舞踏」。一転して強靭なタッチと鬼気迫る演奏で、”怒りの日”の旋律、そして超絶技巧とともにめくるめく変奏を繰り広げ、熱狂的な拍手に包まれました。

- 武満 徹:雨の樹素描 II-オリヴィエ・メシアンの追憶に-
- ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ 第28番 イ長調 Op.101
- リスト:超絶技巧練習曲 第9番 回想
- リスト:死の舞踏(「怒りの日」によるパラフレーズ) S.126/R.457
- リスト:ピアノ・ソナタ ロ短調 S.178/R.21

後半は、40分に及ぶ大曲、リストの「ロ短調ソナタ」。南さんならではの、ぐっと曲に入っていく深い集中力と明確な構成力で、骨太で説得力に満ちた演奏を披露。曲とともに人生を辿っていくような厳しい深さのなかにも、本人の人柄そのものであるかのように、穏やかで人間味あふれる幸せな余韻を残して、本編の大きなプログラムが終演しました。
そしてアンコールには、なんと「Over the Rainbow」のジャズアレンジが登場。重量級プログラムの締めくくりに、客席の熱気は最高潮に達し、フィナーレとなりました。
音楽家仲間たちも来場!ピアノの吉見友貴さん・ヴァイオリンのMINAMI(吉田南)さん
取材でいらした飯田有抄さん
入賞者記念コンサート共演時のお子さんも来場
特級二次から聴いてくださるお客さんへサイン
京都芸術大学同窓会から神代稔子先生
年末のIMAホール公演を主催の鎌田裕子先生
主催者のヤマハミュージックジャパンの皆さん