レポ:7/5 玖珠町立小田小(繁田優菜pf&浜砂なぎさvc)

玖珠町立小田小学校
日時:2024年7月5日(金)
会場:音楽室
参加人数:1~6年生 10名
出演:繁田優菜(ピアノ)・浜砂なぎさ(チェロ)
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7月3日から5日にかけて大分県臼杵市と玖珠郡の小学校へ、大分県出身のピアニスト・繁田優菜さんが宮崎県出身のチェリスト・浜砂なぎささんとともにクラスコンサートを届けました。

7月3日は臼杵市立福良ヶ丘小学校、4日は玖珠町立塚脇小学校、5日は玖珠町立小田小学校を訪れました。その中から、玖珠町立小田小学校のクラスコンサートの模様を繁田さんにレポートしていただきました。

玖珠町立小田小学校クラスコンサートレポート

7月5日に玖珠町立小田小学校に伺いました。音楽室の窓からはすぐ目前に、瑞々しい田んぼや町のシンボル伐株山が望めます。初夏の風を浴びながらの演奏はとても心地良く感じられました。

1曲目は、小田小学校の皆さんと出会い、音楽を共有できて嬉しいという思いを込め、エルガーの愛の挨拶を演奏しました。

続いてはピアノについてのお話です。「ピアノという言葉を聞いた時に、鍵盤を想像すると思いますが、皆さんが蓋だと思っていた場所にも音を遠くに響かせる大切な役目があります。」とオルゴールを使って実験しました。オルゴールをピアノに付けた瞬間に音がほわっと広がる感覚に思わず「おお〜」と声が上がります。屋根や側面など色々な箇所で音の響きの違いを楽しみました。

さらに「ピアニストはすごく力を込めてピアノを弾いているように見えますが、鍵盤はたった50グラムほど。1センチしか下がりません。」とピアノと同じ厚みのキーホルダーで実演しながら説明しました。

この日のピアノソロは「日本の四季」にちなんだ童謡・唱歌のメドレーを。「春には沢山の花が咲き、名物のジャンボこいのぼりをくぐり抜けたり、紅葉美しく雪も綺麗な玖珠町の自然を感じながら聴いてくださいね。」と伝え、私自身も演奏中窓から覗く風景を感じながら楽しく演奏することができました。

続いて浜砂さんにバトンタッチ。宮沢賢治の「セロ弾きのゴーシュ」から、「ネズミの子どもをチェロの中に入れて演奏し、振動で病気が治った」という場面を紹介し、子どもたちに音の振動に触れる体験をしてもらいました。

「チェロはメイプルと、主にアラスカでしか採れない貴重なスプルースという木で作られています。みんなメープルシロップ食べたことあるかな?」と子どもたちと会話をするように楽しく説明をしてくれました。張っている弓を緩めた時のまさに馬のしっぽのふさふさとした様子には、先生方からも「もっと硬い感じなのかと思った!」と驚きの声が上がっていました。

ソロ演奏のマーク・サマーの「ジュリー・オー」では、弓で弦を弾く以外にも、ピチカートや楽器をパーカッションのように叩く奏法など、チェロという楽器の魅力が詰まった演奏を届けてくれました。

前半最後は、郷土の偉人、滝廉太郎のメドレーの演奏をお届けしました。教室に入った時に「すごい、滝廉太郎だ!」と一目惚れした滝廉太郎の銅像でしたが、普段は教室に馴染みすぎて話題にすることも少ないとのこと。日の目を見るきっかけとなって良かったです。

休憩を挟み後半の演奏が始まりました。「もうすぐオリンピックだけど、どこの国で開催されるかな。」という問いかけに「フランス!」「パリ!」とすぐに声が上がります。フランスの作曲家、サン=サーンスの「動物の謝肉祭」から「ぞう」「かめ」「かっこう」「白鳥」をクイズ形式でお届けしました。

「みんな、かめの曲は元々何の曲かわかるかな?聴いたことことあるかな?」とテンポを上げて演奏すると、「ああ〜!」「聴いたことあるけどなんだっけ」という声が。サン=サーンスはオッフェンバックの「天国と地獄」をゆっくり演奏することでカメの緩やかな動きを表現していることを伝えると、音楽表現のおもしろさを感じてもらえたようです。

「かっこう」では、「かっこうが何回鳴いたか曲の後に教えてね」というクイズを出すと、目と耳と指と、まさに全身を使って音楽を聴いてくれました。

最後は、みんなで校歌を歌い、演奏を聴いてくれたお礼と音楽を一緒に楽しめた気持ちを込め、アンコールにディズニーの名曲を演奏しました。

レポート:繁田優菜(ピアニスト)

校長先生より

本物の音や演奏や楽器に触れることができたのがすごく印象に残ったようで、その後も話題になっていました。伺えなかった保護者の方からも「すごく良かったみたいで行きたかったです!」などの反響もいただいたところです。「本物」の体験を工夫していただき誠に感謝しております。

繁田優菜さんより

コロナ禍を経て、今回の学校クラスコンサートが5年ぶりの故郷・大分県での演奏となりました。子ども達や先生方から、
「嫌なことを忘れられた」
「子どもたちが目を閉じて音楽を味わっている姿を初めて見た」
「生の音や楽器に触れられたことが印象にとても残ったようで、その後もしばらく話題になっていた」
といった、こちらが想定していた以上の感想をいただき、感動いたしました。

“子どもたちに平等に生の演奏を届ける”という活動は、演奏者、聴き手双方にとって、他に替えることのできない、かけがえのない時間であるということを深く実感する機会ともなりました。

また今回のコンサートでは、演奏する曲やお話の一部に、教科書の単元に準じたものを取り入れてみました。このクラスコンサートが日々の学びの一助となり、音楽室で「ああ、この曲、コンサートの時聴いたね。」という会話と共に、この日の事を思い出して頂けたら、この上ない喜びです。

学校クラスコンサート
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