レポ:5/23,24 越谷市立蒲生小(梅村知世pf&鈴木舞vn/動画あり)

越谷市立蒲生小学校
日時:2024年5月23日(木)、24日(金)
会場:音楽室
参加人数:5年生 138名
出演:梅村知世(ピアノ)・鈴木舞(ヴァイオリン)
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越谷市立蒲生小学校では、5年生4クラスを対象に、5月23日、24日の2日間に分けて学校クラスコンサートが行われました。演奏に赴いたのは、ピアニストの梅村知世さんとヴァイオリニストの鈴木舞さん。

ドイツ在住の梅村さんは、「実は皆さんがよく知っているベートーヴェンが生まれたボンという所のご近所に住んでいて、そこからやってきました」と自己紹介し、ベートーヴェンの「エリーゼのために」を演奏しました。どこかで聞いたことがある曲も、こうしてじっくりと耳を傾けると味わい深いようで、子どもたちも真剣に聴き入っていました。

次はドイツの隣のショパンの「エオリアンハープ」を演奏。「ポーランドにはショパン空港、と呼ばれる空港があるくらい、誰にでも有名な作曲家なんですよ」と話します。そして子ども達をピアノの周りに集めると、鍵盤に興味を持って「100個くらいある!?」と聞く子ども達へクイズ。子ども達の予想は111。とてもたくさんに見えるようです。

押してみると、「下から何か出てきてる!」と気づく子たち。ハンマーの仕組みを説明すると、弦の下からハンマーが出てくる様子を間近で見て「うわぁ~、ハンマーすげぇ!」と。「このたくさんの鍵盤と弦とハンマーを、私達はこの10本の指で、そして足でペダルも動かしながらピアノを弾いているんですよ」と言って演奏を始めると、子ども達は楽器の中や指を食い入るように見ていました。

続いてヴァイオリンの鈴木舞さんが登場。鈴木さんは演奏を始める前に、「この曲はサン=サーンスの作った「動物の謝肉祭」という曲の1つですが、一体何の動物をイメージして作ったのか、想像してみてくださいね」と伝え、「白鳥」を演奏しました。

演奏が終わって「どんな動物が思い浮かんだか教えてもらえますか?」と鈴木さん質問すると、たくさんの手が挙がりました。

1人目は「ねずみ」。鈴木さんが「どういう所がねずみだと思いましたか?」とさらに質問すると、「強弱が上がったり下がったりする所がねずみっぽかった」と説明します。「馬」と答えた子も、強弱の様子が馬のようだと思った子もいれば、馬の鳴き声のように聞こえたという子も。「鳥。空を飛んでいて、音階が上がった時は上の方を飛んでいて、下がった時は低いところを飛んでいるみたい」「かめ。ゆっくりした感じがした」「犬。最後ちょっと悲しそうだったのが、捨て犬のようだった」と、様々なイメージが飛び交います。

鈴木さんはそれらを全て受け止め、「強弱や、情景や、動きや、感情まで想像して色々なイメージを伝えてくれて本当に嬉しかったです。サン=サーンスは、白鳥をイメージしてこの曲を作りましたが、みんなの答えと、どうしてそう思ったかを聞いていると、どれもぴったりだなと思いました。」と話しました。

そこで生き物クイズをもう1問。子ども達が今度こそ当ててやろうという気迫が、ピアソラの「鮫(さめ)」の演奏の気迫と重なります。

演奏後に意見を聞くと、「チーター」とスピード感に注目した答え、「馬が暴れているところと、手なづけられている場面とがあった」「オオカミ。低い音の時はオオカミが襲っているところで、静かできれいな所は悲しい時を表現していたと思う」「野良犬。低かったり激しい音の時はたたかっていて、ゆっくり目な時は、どちらかが死んじゃったと思う」などと、さらにイメージを膨らませたストーリーまで出てきました。鈴木さんは「本当にみなさんの想像が素晴らしいと思ったので、これから音楽を聴く時は、ぜひ色々と想像をめぐらせて聴いてみてくださいね」と話しました。

続いてピアノで演奏するシューマンの「献呈」は、ロベルト・シューマンが奥さんのクララ・シューマンと結婚する時にプレゼントした曲。今度はそんな時の人の気持ちを想像しながら、一番好きな曲の一つだと言う梅村さんによる美しい演奏を聴きました。

最後のモンティの「チャルダッシュ」では、子ども達が座る椅子の間を鈴木さんが練り歩きながら演奏し、350年前に作られた楽器が色々な表情を奏でる様子を、目の前で見て聴くことができました。子ども達全員の歌と校歌を共演した後は、「なぜその楽器を始めたのですか?」「一番好きな曲は?」などと質問も飛び交いました。

10歳、11歳という多感な時期に、間近で楽器の動きを見て自分で秘密を発見する喜びを得たり、音楽から情景やストーリー、感情を想像したり、子ども達の引き出しからぐいぐいと引き出すクラスコンサートになりました。

音楽の先生より

デジタルではない「生の音楽のよさ」を、肌で感じ、存分に味わうことのできるプログラム構成でした。子供たちのニーズをよくわかった構成で、45分間、全く飽きずに楽しめることができました。

35名程度の少人数で聴けたことによさがあると感じました。あのように間近で楽器の音を堪能できる機会は二度とないと言っても過言ではないと思うので、ありがたかったです。

子供たちの意見に傾聴し、ありのままを受け止めてくださったことが大変ありがたかったです。普段教わっている教員以外に褒められる経験は自己肯定感の高揚に効果的だと考えるからです。

「表現者」という職業の魅力を存分に感じることのできる貴重な機会となりましたし、子供達の視野が広がったことをとてもうれしく感じております。

学校クラスコンサート
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