レポ:4/30 糸島市立長糸小(藤原鈴佳pf/動画あり)

糸島市立長糸小学校
日時:2024年4月30日(火)
会場:音楽室
参加人数:全校生徒 124名
出演:藤原鈴佳(ピアノ)
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4月29日に開催されたピティナ・ピアノステップ九大学研都市春季地区の翌日、いとしまステーション主催で学校クラスコンサートが開かれました。福岡県糸島市立長糸小学校を訪れたのは、アドバイザーを務められた藤原鈴佳先生。

体育館のフロアに置かれたピアノのもとへ現れた藤原先生は、きちんと座って待機している子ども達に向かって「みんな、どうぞ好きなところに移動して聴いていいですよ。舞台の上から聴いてもいいし、ピアノのあっち側に行ってもいいです。」と語りかけました。「ピアノにはこの屋根があるでしょう。だから、こっち側には音がよく聞こえてくるんだけど、反対側から聴くと音が違って聞こえるの。普段は聞くことのない場所だから、コンサートの間でも、好きな時に歩いて移動してもいいですよ。」と。最初は緊張してじっと座っていた子たちですが、1曲目が終わって1人、また1人と動き出すと、あちらこちら好きな場所に陣取っていきました。

「皆さんは一番最初に好きになった曲って何ですか?」と聞くと、「アンパンマンのマーチ!」という声が。「私がいる高知県はアンパンマンの作者のやなせたかしさんがいたところなんですよ。」と、少しメロディを奏でてみます。「最初に私の一番大好きな曲を弾いてみます。」と弾いたのはハチャトゥリアンの『剣の舞』。素早い手の動きにひかれて手元が見えるあたりににじり寄って来たり、舞台の上から見下ろして目を丸くしたりしていました。

「じゃあ、ワンちゃん飼っている子いる?ワンちゃんって、言うことを聞かない時ってない?そんな暴れているワンちゃんを、ショパンが曲に書いたものを弾きたいと思います。」と、ショパンの「子犬のワルツ」を弾き出しました。続いて、ドビュッシーの『月の光』を演奏。素早い動きの曲と、静かで穏やかな曲。その違いを、子ども達は食い入るように見ながら味わっていました。

ピアニストだけでなく、蜂の研究もしているという藤原先生は、自作の『蜜蜂の冒険』を披露しました。みんなのよく知っている「ぶんぶんぶん」が変奏曲風になって、楽しい場面、悲しい場面、静かな場面、とどんどん変わっていき、色々な表情を見せてくれ、藤原先生の蜂への愛情が垣間見えました。続けて、リムスキー・コルサコフの『熊蜂の飛行』。「ロシア語の題名では、「マルハナバチ」という別の種類の蜂の名前がついています。マルハナバチはまん丸くて黄色くてとてもかわいい蜂さんだから全然怖くないんだけど、この曲では少し怖い感じになっています。」と藤原先生。激しい動きやグリッサンド、ジャズ的なアレンジなどに、子どもたちは目を丸くして友達と目を見合わせて聴き、終わった瞬間に大きな拍手が起こりました。

その後は、日本のピアノ曲を2曲。1曲目は、藤原先生の地元高知県出身の作曲家、平井康三郎の「幻想曲さくらさくら」。「みんな『さくら~さくら~♪』って歌知ってる?あれは日本の昔の歌で、、もともと誰が作ったかも分からないんだって。でも、2024年の今になってもみんなが知っているって、すごいことだよね。だから、みんなも今知っている曲とか歌をどうぞ覚えていてくださいね。そうしたら、100年後もその歌を誰かが歌っているかもしれません。」と藤原先生。演奏を聴きながら歌っている子や、舞台の上から鍵盤を見ながら、一緒に手を動かしている子もいました。

「最後はまだ生きていらっしゃる徳山美奈子さんという作曲家の作品です。奈良県って知ってる?大仏やお寺がたくさんある、歴史の古い場所です。昔は東京じゃなくて、奈良とか京都とかが中心だったの。その奈良を歌った「ムジカ・ナラ」という作品があります。お寺には大きな鐘があるでしょう。大晦日にゴーンとつくような。あれをピアノで表現しています。」と話して弾き始めると、急に厳かな雰囲気になったり、激しい場面になったりと豊かな変化に子ども達も興味をそそられていました。

最後に校歌と「にじ」を全員で元気に歌いました。「アンコール!」の声がかかり、藤原先生は子ども達に大人気の「アイドル」を弾き始めると大喜び。子ども達は元気に手拍子をしたり、踊ったりしながら歌いました。すると誰かがBling-Bang-Bangをリクエスト。「それは難しいかなぁ・・」と言いながら、探りながら弾いてみると、みんなノリノリで手拍子をして大合唱。

最後に校長先生から素敵なお話がありました。

「ピアノ上手だねぇ。見た?校長先生、とっても羨ましいなぁ、あんな風に弾けたらいいなぁと思っていました。でもね、始めからあんなに弾けたわけじゃないよね。最初は難しくて苦労したこともたくさんあったでしょう。ひとつひとつの音が出るようになって、ひとつひとつ弾けるようになって、そして今、藤原先生はここにいらっしゃるんじゃないかなぁと思いました。演奏から、優しさや、温かさがとっても伝わってきました。練習して、自分のものになって、そこで終わり、ではないんですね。この長糸小学校に来てくださったり、それを子ども達のために聴いて欲しいな、そんな思いを持たれている先生を、私は素敵だなと思います。

「自由なところで聴いていいよ」って言ってもらえて、とても安心したね。まさか、どこで聴いてもいいなんて、校長先生、今までもそういうことはなかなかいなかったなと思います。音楽を、音をしっかり楽しんでください、そんなメッセージが込められていたと思います。ここにいる子どもたち、そして先生たちみんな、今日見に来てくださった保護者の皆様も、とっても幸せな気持ちになりました。」

いとしまステーション 菊池悦子先生より

コロナ禍になり、学校クラスコンサートが出来ていなかったので、4年ぶりの開催となりました。藤原鈴佳先生の「どこでも聴いていいよ」「どんどん動いていいよ」の言葉に、ステージの上に上がったり、至近距離で聴く子もいたり、子ども達は、思い思いの場所で聴いて楽しんでいました。

音楽って楽しい!ピアノってすごい!
体育館の中が、温かい空気に包まれて、全員が心から楽しめる時間でした。

藤原鈴佳先生より

お陰様で、先日の学校クラスコンサートは全校生徒約115名と先生方に聴いていただくことができ、大変楽しく交流をさせていただきました。

子供さんにはピアノの周りや壇上など、好きな場所に移動してもらい、激しい曲は至近距離まで手元を見てくださり、また静かな曲ではじっと耳を傾けてくださいました。またアンコールではアイドルなど子供さんの好きな曲を演奏させていただきました。

子供達に元気を届けたいと臨んだコンサートでしたが、その純真さに囲まれ、逆にこちらが元気を頂いたひとときでした。

学校クラスコンサート
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