開催レポ:すばるホールベートーヴェン・ピアノフェスティバル

開催日程:2023年9月3日(日)ピアノ・ソナタ連続演奏会
    :2023年9月17日(日)地域交流プログラム
    :2023年9月23日(祝・土)2台ピアノによるピアノ協奏曲全曲演奏会
会場:すばるホール(大阪・富田林市)
主催:公益財団法人富田林市文化振興事業団
制作協力・後援:一般社団法人 全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)
協力:ピティナ富田林すばるステーション
ベートーヴェン・ピアノフェスティバルを開催しました。

2023年9月すばるホール(大阪府富田林市)において『ベートーヴェン・ピアノフェスティバル』を開催しました。出演していただいたピアニストは、2010年からこれまでに59回開催している「すばるイブニングコンサート」の歴代出演者から11名と関本昌平先生。世代を超えて夢の共演企画が実現しました。

9月3日(日) Day1)ピアノソナタ連続演奏会

ナビゲーターの飯田有抄さんが、出演者とのトークや曲解説などを交えて、わかりやすく丁寧に進行してくださり、じっくりと四大ピアノソナタをお楽しみいただきました。
本日出演のピアニストは4人。「悲愴」を生熊茜さん、「月光」を小塩真愛さん、「熱情」を酒井有彩さん、「告別」を梅村知世さんが演奏してくださいました。

生熊さんは、第1楽章は激情と躍動感が溢れるように、第2楽章は祈りを込めて琴線に響くように、第3楽章はよどみなく美しく流れるように演奏してくださいました。
小塩さんは、第1楽章は静寂な和音に主旋律が際立つように、第2楽章は活き活きと愛らしく、第3楽章はドラマティックに力強く演奏してくださいました。
酒井さんは、第1楽章は息をのみこむような緊迫感いっぱいに、第2楽章は崇高な精神世界に導くように、第3楽章は情熱がほとばしる熱い演奏をしてくださいました。
梅村さんは、第1楽章は慈愛に満ちた優しさが湧くように、第2楽章は丁寧かつ繊細に心情を綴るように、第3楽章は輝きを放つように力強く演奏してくださいました。

9月17日(日) 地域交流プログラム)今田篤ピアノ・ワークショップ

富田林市の小学生対象に、今田篤さんが演奏やお話を交えながら、ピアノや作品・作曲家について説明してくださるワークショプを開催しました。

ショパンのエチュードやベートーヴェンのソナタを聴いていただき、曲のタイトルをクイズ形式で回答していただきました。舞台上で聴く演奏は音の振動までもが床を伝わってきて、参加したこどもたちは目を輝かせて演奏を楽しんでいました。

9月23日(土祝) Day2)2台ピアノによるピアノ協奏曲全曲演奏会

ナビゲーターはピティナ育英室長の加藤哲礼さんが務めてくださいました。開演前のプレトークからベートーヴェンの歴史とピアニストの紹介をお話しくださり、5時間に及ぶ長大な公演の幕が上がりました。
この公演では、先輩と後輩、先生と生徒がペアを組み、熟練の先輩と指導者がオーケストラパートを、若いピアニストが独奏を務めてくださいました。

第1番は吉原佳奈さんと小塩真愛さんによる演奏。小塩さんの伸びやかでスケールの大きいオーケストラパートに吉原さんの小気味よい独奏が重なり、躍動感あふれる活き活きとしたコンチェルトを演奏してくださいました。

第2番は木本侑希さんと生熊茜さんによる演奏。生熊さんの愛らしく優しいオーケストラパートに木本さんのエネルギッシュで華やかでな独奏パートが重なり、歌心たっぷりの美しいコンチェルトを演奏してくださいました。

第3番は橋本崚平さんと梅村知世さんによる演奏。梅村さんの包容力のある柔らかいオーケストラパートに橋本さんの繊細かつ力強い独奏パートが重なり、唯一の短調作品をじっくりと味わい深く演奏してくださいました。

第4番は平間今日志郎さんと今田篤さんによる演奏。今田さんの柔軟で推進力のあるオーケストラパートに平間さんの暖かく煌めく音色が重なり、繊細かつ大胆なコンチェルトを演奏してくださいました。

ニ長調(原曲:ヴァイオリン協奏曲)は太田糸音さんと酒井有彩さんによる演奏。この曲はベートーヴェンフェスティバルの中でも大きな聴きどころとなる演奏機会の稀有な作品。酒井さんの叙情あふれる美しいオーケストラパートに太田さんの表現力豊かなドラマティックな演奏が重なり、あたかも原曲が2台ピアノのための作品であるかのように、聴きどころ満載に演奏してくださいました。

第5番「皇帝」は森本隼太さんと関本昌平先生による演奏。関本先生のオーケストラさながらの重厚で劇的なオーケストラパートに森本さんのしなやかで格別な音楽性が重なり、華麗かつ荘厳な「皇帝」を演奏してくださいました。

今回、譜めくりも「すばるイブニングコンサート」にご出演いただいた原田明里さん、志賀由梨さん、大山桃暖さん、神原雅治さんが務めてくださいました。ありがとうございました。

終演後には出演者、ご指導の先生方、関係者を交えて懇親会を開催。出演者の皆様から感想をいただき、先生方からは講評もいただきました。関西圏のピアニストが一堂に集まる機会とあって、出演者同士の交流もはかれる貴重なひとときとなりました。

この演奏会では出演者全員が音楽と真摯に向き合い、先輩・先生方の包容力ある素晴らしい演奏と、その導きに全力で応えようとする若きピアニストたちの熱意に溢れていました。出演者一人一人の演奏会を盛り上げたいという熱い気持ちがリレーされ、全6曲がまるで一つの作品であるかのように全員が一丸となって創り上げた唯一無二の壮大な演奏会となりました。
熱気に包まれた演奏に会場のお客様も集中力を切らすことなく最後まで演奏を楽しんでくださいました。
ご出演くださった皆様、ご来場いただいた皆様、関係者の皆様に心より御礼申し上げます。

レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)

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