開催レポ:すばるイブニングコンサート 佐藤凛央ピアノリサイタル
開催日程:2023年3月4日(土)
会場:すばるホール(大阪府富田林市)
主催:公益財団法人 富田林市文化振興事業団
2023年3月4日(土)に開催されたすばるイブニングコンサート第59回目のピアニストは芦屋市立山手中学校2年生の佐藤凛央さんです。
佐藤さんのコンサートはバッハの「平均律クラヴァーア曲集第2巻第7番」で始まりました。温かくふくよかな音色が、春のように明るく軽やかな雰囲気をつくりあげます。続いては、ベートーヴェンの「ピアノ・ソナタ第13番」。第1楽章では朗々とゆったりとした音楽の流れが絵本の世界を読み聞かせるようでした。第2楽章は滑らかさと鋭さの対比に富んだ演奏でした。第3楽章は小気味のよいリズムを保ちながら、堂々とした明瞭な音楽を奏でてくださいました。そして前半の締めくくりは、メンデルスゾーンの「厳格なる変奏曲」。変奏と共に音量も表現も豊かに変化し、素早く情熱あふれるパッセージもしっかりと集中力を保って力強く演奏してくださいました。
そして、後半はショパンの作品から3曲。まずは、「エチュードから『黒鍵』」。高音部の響きが美しいアクセントになり、躍動感あふれる演奏を聴かせてくださいました。次は「ワルツ第4番Op.34-3」。音量の変化と絶妙なリズムの変化が自然体で、波に乗っているかのような感覚でした。そして、最後は「バラード第3番」。一音一音を大切にしっかりと響かせ、両手の指を駆使してたっぷりとメロディーを歌ってくださいました。
佐藤凛央さん
佐藤凛央さんの感想
このたびは素晴らしい機会をいただき、ピティナの皆様、すばるホールの関係者の皆様ありがとうございました。
本番の5か月前に出演が決まり、どんな1時間のコンサートにするか、プログラムづくりからスタートしました。自分が弾きたいものや学びたいものを主軸に、曲の繋がりや調性を考えたり、自分がお客さんだったらどんな曲が聴きたいかな?など、周囲に相談しながら決めました。プログラムノートを作成したことや、苦手なトークを練習したことも充実した時間でした。
本番の日、控室に「佐藤凛央様」と貼られた文字を見て、身の引き締まる思いがしました。プログラムやホールに印字された自分の名前やチラシが飾られているのを目にして不思議な感覚がしました。これまで数人でのガラコンサートは出演した事がありましたが、今日は自分の出番の前にも後ろにも出演者がいない事に気付きました。
自分のために多くの大人の方が、チラシやチケットの準備をしてくれたり、会場の設営をしてくれる。注目されるのはプレイヤーかもしれないけれど、決して一人では成り立たないだということを、会場でお世話になったホールの方々の姿を目の当たりにして、楽しさの隣にある責任を強く実感しました。
また、聴いてくださった方々のアンケートを、直に手に取り読ませていただきましたが、温かいメッセージがとても嬉しかったです。一生懸命取り組んだ音楽を聴いてもらえて、やっぱりピアノが好きだなと思いました。聴いてもらえることの喜びと、向き合う人への感謝の気持ちを忘れずに、これからも音楽と共に歩んでいきます。
聴きに来てくださった方々、支えてくれた家族や関係者の皆様、本当にありがとうございました。
佐藤 凛央