レポ:3/10 足立区立花畑第一小(片山柊Pf・伊東翔太Vn)

足立区立花畑第一小学校
日時:2022年3月10日(木)
会場:体育館
参加人数:1・2・6年生 218名
出演:片山 柊(ピアノ)、伊東 翔太(ヴァイオリン)
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2017年特級グランプリの片山柊さん(演奏会員)は、東京音楽大学の同級生で現在東京都交響楽団でご活躍のヴァイオリニスト・伊東翔太さんと共に、足立区立花畑第一小学校を訪問しました。花畑第一小学校では2018年度から、自治体からのオリンピック・パラリンピック教育推進事業の予算を活用して学校クラスコンサートを開催してくれていますが、4回中2回がコロナ禍での開催に。三密を避けるため、学校クラスコンサートの醍醐味である「音楽室の間近なコンサート」ではなく体育館での開催が続いています。

そんな状況でも子供たちが楽しんで参加できるようにと、片山さん・伊東さんが創意工夫をこらしたプログラムで、午前中いっぱい、体育館には手拍子と笑い声が満ちていました。

前半は「愛」がテーマの3曲です。最初に二人が演奏したのは、エルガーの「愛のあいさつ」。なじみのあるメロディーに、まだ少し緊張した様子の子どもたちが顔を見合わせて「知ってる知ってる!」と小声で囁く声も聞こえました。

続いてクライスラーの2曲、「愛の喜び」と「愛の悲しみ」。演奏前に片山さんから、「喜びと悲しみでどんな雰囲気が変わるか、注目して聴いてね」とアナウンスがあり、演奏後には長調と短調の和音について解説してくれました。

続いて、楽器紹介とクイズのコーナーです。伊東さんがヴァイオリンの弓を掲げて「この白い部分は何でできているでしょう?」とクイズを出すと、すかさず「馬のしっぽ!」とあちこちから声が。実は、音楽の先生が事前の学習で楽器のことを教えてくれていたそうです。「でも、間近でちゃんと見たことはあまりないかな?」と、伊東さんが子どもたちの間を練り歩きながら弓を見せると、興味深々で身を乗り出してお話を聞いていました。

片山さんのピアノ紹介で盛り上がったのは、ピアノを作っている「素材」クイズ。「黒い部分は何でできているでしょう?①金属②木③豆腐!」おしゃべり上手な片山さんの楽器紹介は、最後まで笑い声と共に進んでいきました。

子どもたちの緊張も和らいだ後半は、子どもたちも手拍子で参加するコーナーを用意していただきました。テンポがコロコロと変わるブラームスの「ハンガリー舞曲第5番」に手拍子を合わせるのは、子どもたちにはとっても難しい!テンポの変わるタイミングに伊東さんが目でさっと合図を出すと、次の手拍子を叩きたい子どもたちのうずうずした笑い声が体育館に響き、児童皆が楽しく参加できる演奏になりました。

質問コーナーでは、どの学年もたくさん手を挙げてくれました。「何歳から楽器を弾いているんですか?」という定番の楽器に関する質問から、子どもらしく面白い質問も。片山さんも伊東さんも、どの質問にも子どもたちの興味に合わせて、丁寧に答えてくれました。

最後の1曲は、子どもたちにも大人気のポップスの曲・YOASOBIの「夜に駆ける」です。タイトルを伏せて演奏を始めた瞬間、子どもたちからわっと歓声が起きました。ポップスの分野でも活躍する片山さんの軽やかなピアノに、ノリノリの伊東さんのヴァイオリンが重なり、この曲でも自然と手拍子がわきました。

「夜に駆ける」の大盛り上がりで終了…かと思いきや、最後に1曲、サプライズが。実は学校に到着してから、急遽学校の校歌をピアノとヴァイオリンのデュオにアレンジして演奏してくれることになったのです。「皆の一番よく知っているあの曲だよ」と片山さんが前奏を弾き始めると、子どもたちは自然と体を揺らし、声量に気を付けながら歌詞を口ずさみ始めました。コロナ禍で久しく大声で歌えていない子どもたちに、ピアノとヴァイオリンが奏でる校歌が美しく響いたようでした。

■音楽の先生より

本校でクラスコンサートを開催するようになり、児童が「ピティナのステージに出たよ!」と報告してくれたり、「ピアノを習いた いけれど、どこの教室に行けばいいの?」と相談されたりするようになりました。プロの演奏家との触れ合いは、音楽への興味や学びを深めるきっかけになっているようです。
通常の音楽の授業では、コロナ禍で活動の制限も多く、楽器の演奏や鑑賞が多くなっています。このタイミングで目の前で質の高い演奏を聴けることは、児童にとってとてもよい刺激になり、良い体験になっています。

学校クラスコンサート
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