グランミューズ部門入賞者インタビュー:B1カテゴリー1位 坂本 裕基さん

GrandMuse
グランミューズ部門 入賞者記念コンサート
出演者インタビュー

2022年2月26日(土)に行われるグランミューズ部門入賞者記念コンサート。
インタビューの5人目は坂本裕基さんです。今回で5度目のチャレンジとなった、ピティナ・ピアノコンペティション全国大会。グランミューズ部門B1カテゴリーで、1位を受賞されました。


B1カテゴリー1位
坂本 裕基さん
顔写真
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全国決勝大会の演奏

ご入賞おめでとうございます。2年ぶりのコンペティションはいかがでしたか?また今回入賞されて、どんなお気持ちでしたか?

コロナ禍で演奏の機会が減る中、今年はコンペが開催されるということで、ぜひチャレンジしてみたいなと思っていました。 実は転勤で4月から生活の拠点が東京から福岡に移り、引っ越しもあって調整が大変だったのですが、チャレンジできて良かったです。 今回は5回目の全国大会挑戦で、うちグランミューズは4回目なのですが、「入賞できて率直にうれしい」という気持ちです。 現在ご指導いただいている佐藤美香先生をはじめ、これまで力を伸ばしていただいた、ひとりひとりの先生に、感謝の言葉をお伝えしたいです。

全国大会で今回初のご入賞(1位!)となりましたが、例年と比べてどんなところが良かったなど、何かご自身の中で変わったことはありましたか?

精神面の変化が大きかったと思います。 初めて出場した全国大会では、前日は緊張してほとんど眠れず、当日も緊張で思うように弾けなかったんですね。 技術的な練習ももちろん必要なのですが、演奏者としてどう表現したいのか強く意識し、自分の音楽を問いながら練習に取り組んだことで、結果的に本番でも強い心持ちでステージに向かうことができ、緊張にも打ち勝てたのかなと思います。

普段はどのように練習されていますか?土日が中心ですか?

毎日1、2時間練習するようにしていますが、平日は1時間も取れない日もあります。 短い時間で効果を上げられるように、曲をブロックに分け、どこを重点的にレベルアップさせるのか、ポイントを明確にしながら練習しました。 また、表現の部分では、和声の変化を感じながらゆっくり弾いてみたり、場面ごとで自分がどんなことを表現したいのか実際に書き起こしてみたりしました。

東京在住だった3月までは、平日は深夜に帰宅することも多かったのですが、それでも本番前は夜な夜な練習室に行って1、2時間は練習していましたね(笑) 土日は練習できる時間はすべて練習するという感じです。

選曲に関してお伺いします。今まで、コンペティションではショパンのノクターンやマズルカを選曲されていますね。ショパンがお好きですか?

ショパンが好きですね。「ノクターン」という曲集には、以前から関心があります。 中学生の頃に、このジャンルをつくったジョン・フィールドのノクターンが好きになり、コンクールで弾いたこともありました。 ショパンのノクターンは「遺作」などから入っていきました。

マズルカは、作品からショパンの魅力を強く感じることが多いです。 私の数少ない経験の中での印象ですが、前期はマズルカらしいリズムが比較的あらわれるものが多く、後期になってくるとリズム上の「マズルカらしさ」は控えられ内面的な表現がより濃くなっていく作品が多いように思います。 ピティナの「ショパンの日」のライブ配信では、Op. 7-1を演奏させていただき、仕上げる過程で多くの学びがありました。 今回の入賞者コンサートでも、マズルカを1曲選曲したのですが、練習が本当に楽しいです!

入賞者コンサートでのもう1曲は、ショパンのバラード3番ですね。

はい、今回はノクターンから離れ、スケールのもう少し大きい作品に取り組んでみようと思いました。 高校生の時にバラード2番を弾いて、その時からバラード3番はいつか弾いてみたいなと思っていました。 湖の情景、男女の出会い、場面ごとの心情の変化なども表現出来たらと思っています。

今回、はじめてお披露目になるのですね。

そうですね。なので譜読みがちょっと大変です(笑)

お仕事はどんなことをされていますか。

公務員として現在は地方創生に関わる仕事をしています。学生時代は、地域づくりに関する研究をしていたので、これまで学んできたことと、やりたかったことがマッチしています。

ピアノ以外のご趣味はありますか。

走ったり、ジムで体を動かしたりします。ランニングが好きで、フルマラソンに出たこともあります。 走っていると、スッキリします。クラシックとか聞きながら(笑)

クラシック聞きながら走っている人、あまりいないですよね(笑)

結構いいですよ!力を込めたいときは英雄ポロネーズとか聞きながら走っています(笑)

よく聴く演奏や、参考にしている演奏はありますか?今回のショパン国際ピアノコンクールではどなたの演奏が印象に残りましたか?

師であり、ピアニストでもある佐藤美香先生と、宮谷理香先生のCDをよく聴きます。 佐藤先生、宮谷先生は、2000年、1995年のショパン国際ピアノコンクールでそれぞれご入賞されていて、レッスンでもよく弾きながら作品の解説をしてくださるのですが、そのままずっと聴いていたい気持ちになります(笑)

レッスンなどで「ここはオーケストラの○○の楽器を意識して」といったアドバイスされることもあると思うのですが、佐藤先生の演奏は本当に多彩です。 時には本物のハープのように聞こえたり、時には本物のティンパニのような打楽器的な低音が聞こえたり、熱っぽい音がしたり、嘆きのような音だったり、幸福感に溢れていたり……。

宮谷先生の演奏会には何度も伺い、間近で聴かせていただいたこともあります。 レッスンや先生の本で、コンクール入賞後の様々なご経験について伺ったこともあるのですが、 先生の演奏からは、音楽に込める意思を強く感じます。 テクニック的な意味で指が動くということではなく、表現が欲するように指がつかえることが重要で、 そのために自分の音楽を常に問い続けることが大切だということを先生の演奏や、レッスンから学ばせてきただきました。

今回のショパン国際ピアノコンクールの出場者の中では、カミル・パホレツさんの演奏が特に印象に残りました。

今後の目標を教えてください。

いつか自分のコンサートを開いてみたいです。あと、まだオーケストラと演奏したことがないので、演奏してみたいですね。 そして、クラシックの本場で演奏の機会や学べる機会もつくれたらいいなと思います。

やっぱりコンチェルトはショパンですか?

コンチェルト、いきなりショパンはハードルが……(笑)モーツァルトも好きなので、まずは古典からチャレンジしてみたいです!

坂本さん、お忙しいところご協力ありがとうございました。長年あたためてこられたショパンを、思う存分表現してください!本番を楽しみにしています。


グランミューズ部門入賞者記念コンサート
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