開催レポ:歩み続ける「横浜市招待国際ピアノ演奏会」(11/7)

日程:2020年11月7日開催
会場:横浜みなとみらいホール小ホール
出演:菊地裕介(ピアノ)、広瀬悦子(ピアノ)、島田彩乃(ピアノ)、吉田友昭(ピアノ)

11/7(土)横浜市招待国際ピアノ演奏会 特別公演が開催されました。海外と日本の伸び盛りの若手ピアニストたちがともに横浜の舞台に立ち、世界へ羽ばたいていく∼39年に渡り、まさにここでしか経験できない国際交流が、多くのピアニストや聴衆に育くまれてきました。

今年は、コロナ禍の影響で本来の「国際交流」公演が延期となったため、急遽「特別公演」として、同演奏会の出身者で日本の音楽界を担う中堅ピアニストたちの出演が決定、当日は圧巻の演奏が繰り広げられました。

4名はみなフランス・パリに学び、ヨーロッパに拠点をおいて研鑽を重ねてきた方々で、いまや国内外の第一線で活躍。コンサートでは、それぞれの個性が十二分に発揮されつつも、全体としてまるでひとつの音楽絵巻のような世界観が描き出されていました。

最初の一音で会場の空気を一変させたトップバッターの菊地裕介さん(正会員)。ドビュッシー前奏曲集第1巻の全12曲を、響や音色や緩急、考え抜かれた知性とセンスで彩り豊かに演奏。ベートーヴェン(カルクブレンナー編曲)の交響曲第9番第1楽章でスケールの大きな演奏をされた広瀬悦子さん、ドビュッシー:前奏曲集第2巻の暖かく包み込むような音楽表現の島田綾乃さん、自身を含む名ピアニストたちの編曲作品で選曲、全体を構成した吉田友昭さんへと、音楽の襷をつなぎました。

休憩1回をはさむ正味3時間に及ぶ長大なコンサートにもかかわらず、昔からのシリーズのファンやピアノ愛好家、評論家やピアノ関係者で会場はほぼ満席。最後まで聴き続けた観客からは大きな拍手が贈られました。

「横浜市招待国際ピアノ演奏会」は1982年にスタートし、これまでに世界25カ国から延べ190人を超える新進気鋭のピアニスト達が出演してきました。過去10年では、ピティナ会員=阿見真依子・今田篤(2019)、實川風(2018)、小林海都(2016)、崎谷明弘(2015)、福間洸太朗(2014)、萩原麻未・関本昌平(2013)、佐野隆哉(2012)、坂本真由美(2010)の各氏が出演しています。

これまでの出演者一覧
主催者コメント(企画委員長:海老彰子氏)

今年予定していた「第39回横浜市招待国際ピアノ演奏会」は、海外からの出演者の招聘と、隔離期間の確保が難しい状況におかれたため、1年延期することにいたしました。

ただ公演を延期するだけではなく、39年もの歴史をもつこの演奏会を次につなげる意味でも、企画委員会として、今回は過去に出演した日本人ピアニストに協力を仰ぎ、ジョイント・コンサートを急遽企画、開催いたしました。

関係者の皆様のご理解とご協力に深く感謝しております。

横浜市招待国際ピアノ演奏会 企画委員長 海老彰子

写真提供◎公益財団法人横浜市芸術文化振興財団

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