レポ:11/7 草加市立松原小(森永冬香pf・大成雅志cl/動画あり)
快晴の11月7日、草加市立松原小学校では6回目の学校クラスコンサートを実施しました。今回ピアニストを務める2022年特級銅賞の森永冬香さんにとっては、学校クラスコンサートデビューとなりました。共演は学校クラスコンサート出演21回目のベテランであるクラリネット奏者の大成雅志さん。和気あいあいと明るい雰囲気でスタートしました。
ちょうど木管楽器を勉強していて、クラリネットの生の音色を聴くのを楽しみにしたという4年生。最初の曲「クラリネットポルカ」の演奏が始まると、みんな顔を見合わせてニヤニヤし始めました。演奏が終わるなり「給食だー!」「お腹すいたー!」と叫ぶ子どもたち。どうやら学校の給食の時間にかかる音楽だそうです。残念ながらまだ2時間目。給食にはまだまだですね。でもそんなやり取りですっかりとクラスと打ち解けた雰囲気になりました。
はじめはピアノのお話から。森永さんが「ピアノの音の鳴る仕組みって知ってる?」と聞くと、子ども達からどんどん知っている内容が飛び出てきます。「すごい!私が何も話すことないくらい!じゃあ、下から上まで、どんな音が出るか聴いてみてね」と、一番低い音から高い音まで1音ずつ弾いてみました。ピアノの歴史や名前の由来などを話した後、子ども達をピアノの周りに子ども達を集めて、鍵盤を押すとハンマーが上がる仕組みを見せました。
「この黒いのが上に上がって音が出るの?」という声が出たので「じゃあ上げてみようか」と森永さんがダンパーを持ち上げると…「鳴らなーい!」。「じゃあ、やっぱりハンマーで衝撃を与えないと音が出ないんだ」「そう、鍵盤を押すことでハンマーに衝撃を与えることで音が鳴るんです」と一緒にピアノの音の出る仕組みを解明していきます。「このハンマー、何かの動物の毛でできているんだけど、何だと思う?1.トラ、2.ヒツジ、3.ウマ」とクイズを出すと、意外にもトラが人気。ヒツジだと知って驚いていました。
「もう一つ大事な働きをしているのが、ペダル。」と森永さんが言うと、子ども達は一斉に足元にしゃがみました。森永さん3つのペダルを踏みながらそれぞれ音を出してみると、子どもたちは「全部黒いのが上がった!」「音がやわらかくなった」「この3つだけ黒いのが上がったまま下がらない」「この金属の棒でつながってる」などと、ペダルを踏む様子と楽器の内部や下部を立ったり座ったり交互に見ながら、各々の発見を次々と教えてくれました。
森永さんは「次に弾く曲は、とても指の動きが速い曲なので、指の動きが速いっていうことは…?そう、ハンマーの動きも速いっていうことだから、こちら側にいる子たちは指の動きを見て、あちら側にいる子たちはハンマーの動きを見てみて。ペダルもたくさん使うから、見たいところを自由に動いてもいいよ」と声をかけてから、「子犬のワルツ」を弾きました。弾き始めると、「わぁーっ」と口に手を当てたり、目を丸くしてのぞき込む子どもたち。森永さんは「次はモーツァルトのトルコ行進曲。今度は重音と言って、一度にたくさん音を鳴らすところが出てきて、一斉にハンマーが上がるところが見られるので、注目してみてくださいね」と話して演奏しました。
次はクラリネットの紹介。大成さんが「クラリネットの音の鳴る仕組みは…」と話し始めると「空気入れる!」とすかさず声が挙がります。「空気入れる、と思うでしょ。じゃあ空気入れてみようか」とクラリネットに「ふーっ!」と一生懸命に息を入れてみますが、、「あれ、音、出ないねぇ?」「ええーーー!?」と驚く子どもたち。「手で押さえてるから!」という声に「じゃあ手を放してみるね」と、両手まで放して床に立てて吹いてみますが音は出ません。「ボタンを押さないと出ない?」という声に「じゃあ、どこかキーを押してみて?」と子どもに押させましたが、出ません。「音が出るボタンがある」という意見もありましたが、なかなか音が出ません。
「みんなのリコーダーは、息を入れると音が出るでしょ?クラリネットはそれだけじゃ出ないんです。この学校は金管クラブがあると聞いたけど、金管楽器ってどうやって音を出す?」と聞くと、「唇をぶるぶる震えさせる」という答え。「クラリネットは、このリードというものをつけて、それを下唇でちょっと圧力をかけたりかけなかったりすることでリードに振動を与えて、音を出したり出さなかったりすることができるんです。」と、下唇を動かしながら息を入れると、音が出ました!
さらに「だんだん小さく」という曲で、クラリネットをだんだん分解していきながら演奏を続けていくと、子どもたちは「え!まだ音が出るの?」と大興奮。大成さんが「さあ、クラリネットはいくつに分解されましたか?」と聞くと「5つ!」とみんな声を揃えて答えました。
再び組み立てようとすると「中が木だ!」と発見した子がいて、大成さんは「そうだよ。中はただの空洞。」と、望遠鏡のように中をのぞくと子どもたちと目が合い、「ほんとだー!見せて見せて!」とみんなのぞき込みます。「組み立てる時に順番間違えないの?」という声に「やってみようか…大きさが違うからはまらないようになってるね」と試してみたり、「ボタンはいくつあるの?」という質問には、「指はみんなと一緒で10本しかないんだけど、穴が多いよね。実は1つの指でいくつもの穴をふさげるようになっています」と、いくつかのパターンを見せてくれるなど、子どもの疑問に対して共感しながら1つ1つ丁寧に目の前で実演して見せてくれました。
「チャールダーシュ」の演奏で大成さんが子ども達の間を練り歩き始めると、子どもたちの方から大成さんの行く手の道をさっと開けたり、大成さんが情感たっぷりに思いっきりためると、子どもたちは息を飲んで次の音を待ち、目を合わせなくても森永さんが秀逸に合わせて演奏したりと、演奏者2人と子ども達とのライブ感たっぷりのコンサートとなりました。
最後に松原小学校の校歌を子どもたちと一緒に演奏。二部合唱になっている所をクラリネットで演奏したり、途中から大成さんも指揮しながら歌い出したりと、一緒に演奏を楽しみました。質問コーナーでも時間が足りなくなるほどたくさんの質問が飛び交いました。
学習していたクラリネットを実際に見て、音色を聴き、音楽はすてきだなと子ども達が感じることができました。また、身近なピアノについて、詳しく知ることができ、また、指の動きを見て子ども達は驚いた様子だったのでとても良い時間になりました。それまでも、音色について、気にするようにしていましたが、コンサート後はより音色に注目するようになった感じがします。楽しい時間を本当にありがとうございました。
私にとって初めての学校クラスコンサートということで、直前までどんな感じになるのかな〜とドキドキしていました。
今回クラリネット奏者の大成雅志さんとご一緒させていただきました。本当に素晴らしくて、とにかく安心感がすごくてたくさん助けていただきました!大成さんありがとうございます。
子どもたちはみんなとても興味を持って聴いてくれて、素直な反応と笑顔にたくさんパワーをもらいました。大成さん、そして子どもたちのおかげでとてもアットホームで楽しい時間になりました。今回のコンサートで音楽の魅力が何かひとつでも伝わっていたら嬉しいです!
学校クラスコンサートの出演、今回で22回目なんですか。いやぁびっくりです。いつも、その時、その時にご一緒するお馴染みのピアニストさん、初めましてのピアニストさん、学校の先生、子供達と出逢う事を、純粋に楽しんで続けてこれた事に感謝です。 今回は初めましてのピアニスト藝大大学院生の森永冬香さん。僕は51歳ですが、これだけ歳が離れていても、初めましてでも「ではよろしくお願いします!」の挨拶をして音が出て音楽が始まると不思議な結びつきを一瞬で感じる事が出来るもんです。
松原小学校の校歌も良かった。思わず歌い出しちゃったくらい。
音楽は聴くも良し、歌うも良し、踊るも良し、想像を膨らませるも良し、楽器で演奏するも良し。
つまり。音楽は最高!