開催レポ:すばるホールTHE BEST CONCERTOS ~特級グランプリ褒賞公演

日程:2023年1月22日(日)
会場:すばるホール
出演:荒石果穂(p)北村明日人(p)亀井聖矢(p)
共演:大井剛史(指揮)大阪交響楽団
主催:公益財団法人富田林市文化振興事業団
2022特級グランプリ 北村明日人さんがコンチェルトを演奏!

2023年1月22日(日)すばるホール(大阪府富田林市)において、北村明日人さんが「THE BEST CONCERTOS 2023」に出演し、大井剛史指揮、大阪交響楽団とピアノ協奏曲を演奏しました。この公演は公益財団法人富田林市文化振興事業団が2022年の特級グランプリへの褒賞として提供したものです。

コンペティションを通じてドイツ系作曲家の作品に対して高い評価を得た北村さんが演奏してくださったのは、モーツァルトのピアノ協奏曲第20番です。モーツァルトのピアノ協奏曲の中では2曲しかない短調の作品でありながら、人気が高く味わい深い作品です。

第1楽章ではオーケストラが奏でる陰鬱と激情が入り組んだメロディーに対して、北村さんの柔らかな音色が優しく伸びやかに語り始めます。そして、オーケストラとの対話を繰り返しながら、音楽が様々な表情に変化していきます。今回のカデンツァは北村さん自身の作曲によるもので、モーツァルトの意図をしっかりと受け止めつつも、華麗な技巧と繊細な表現が組み合わされ、まさに“デモーニッシュ”な世界を堪能させてくださいました。
第2楽章はとても愛らしいピアノの音色がオーケストラを牽引していきます。中間部は色彩豊かな音色で、活き活きとした音楽が渦を巻いているようでした。
第3楽章は情熱あふれる力強いピアノの演奏に導かれるように、オーケストラも熱を帯びた重厚なハーモニーで応えます。北村さんの指が軽やかに鍵盤を駆け回り、オーケストラと一体となって美しい響きで会場を包んでいきます。そして、明るく華やかな雰囲気となってフィナーレを迎えました。

会場のお客様からは大きな拍手が寄せられ、北村さんは何度もお辞儀をして応えておられました。終演後の全力を出し切った北村さんの笑顔もとても印象的でした。コンペティションから一貫してこられた北村さんのスタイルを改めて味わうことができるとても幸せな時間でした。北村さんの益々のご活躍をお祈り申し上げます。

地元の若手が出演!

また、本公演には関西出身でピティナ・ピアノコンペティション全国決勝大会の入賞者によるリサイタル・シリーズ「すばるイブニングコンサート」(今年度末までに57人が出演)から荒石果穂さんが出演。すばるホールでは若手演奏家の更なる支援のため、歴代出演者を起用したさまざまな公演も企画しており、その一つとしてオーケストラとコンチェルトを演奏する機会も提供してます。荒石さんはすばるホールのある富田林市に隣接する羽曳野市のご出身です。日頃から交流のある羽曳野市の文化会館“LICはびきの”と連携することができたことから、荒石さんにご出演いただき南河内地域の人材育成を図るため、9月には“LICはびきの”でソロ・リサイタル、1月には“すばるホール”でコンチェルト公演を開催することになりました。荒石さんが演奏してくださったのはラヴェルのピアノ協奏曲。美しく繊細な音色と躍動感あふれる演奏でお客様を魅了してくださいました。

代役には亀井聖矢さん

また、3人目のソリストとしてヴァイオリンの服部百音さんにご出演いただく予定をしていましたが、けがのため公演直前に降板となったため、急遽代役として亀井聖矢さん(2019特級グランプリ)にご出演いただくことになりました。亀井さんにとっては昨年11月のロン=ティボー=クレスパン国際コンクールで第1位を受賞後初めての関西公演で、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏してくださいました。国際コンクールを制した圧巻の演奏に来場者はスタンディングオベーションで応え、会場はまさに熱狂の渦となりました。

レポート◎辻野文崇(すばるホール・富田林すばるステーション)

コンサートプレミアVol.23 配信決定!

ピティナ・コンサートプレミア3月の配信にて、2022特級グランプリ北村明日人さんのモーツァルト:ピアノ協奏曲第20番を配信します!


3/19(日)10:00~プレミア公開
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