レポ:11/21 草加市立栄小(鳥羽瀬宗一郎pf・田口裕Vc/動画あり)

草加市立栄小学校
日時:2022年11月21日(月)
会場:音楽室
参加人数:4年生 99名
出演:鳥羽瀬 宗一郎(ピアノ)・田口 裕(チェロ)
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学校クラスコンサートで初めて、その学校の音楽の先生が共演者として出演しました。草加市立栄小学校の田口裕先生は、6月に赴任してきたばかり。プロのチェリストとしても活躍していますが、普段は音楽の先生として授業を受け持ちます。今回、学生時代からのお知り合いで以前に共演経験があったご縁で、ピアニストの鳥羽瀬宗一郎先生(正会員)との共演が実現しました。

トークコンサートアドバイザーや郷里でのアウトリーチ活動でも慣れている鳥羽瀬先生は、児童の質問を聞くのが何より楽しみだそう。テンポよく多くの子どもたちの声を拾い、それぞれに短くても必ずフィードバックをして促していきます。

「鍵盤の白黒の数は?」の質問には、様々な答えに対して「なるほど!」「ありがとう!」「いろいろ出ました」などと子どもの声に耳を傾け、「ピアノは何楽器?」という質問では、「弦楽器!」「打楽器!」などの声に、「いい答えだね」「実はみな間違いではないんだ」と言って、そこから鍵盤楽器のピアノの構造の説明につなげます。

また、ピアノの屋根の開閉によるアンサンブルでの音響バランスについてや、ペダルによる音色の変化なども、実演で分かりやすく表現。テキパキとテンポよく進めていき、子どもたちの意見が反映されながらトークが進んでいきました。

曲目についても、シベリウスの「もみの木」は、「みんながよく知ってる華やかなクリスマスツリーに使われる木だけど、このもみの木はどんなもみの木か、想像しながら聴いてみてね」と話してから演奏し、「どう?想像してたのと違った?シベリウスのいた国では、もみの木は生と死を象徴する大切な木なので、苦しみや不安や生きている喜びなどがこめられているんですよ」などと説明されました。

チェロの楽器紹介でも、田口先生の持っているチェロを見ながら「これは何楽器でしょう?」「弦楽器!」「弦は何本ある?」「4本!」と答えを促した後、今度はピアノと比較して、鍵盤楽器と弦楽器の音程の取り方の違いを説明しました。

歌曲をアレンジしたラフマニノフの「ヴォカリーズ」を演奏する時は、「チェロは人の声に近いと言われていますが、これは男の人の声かな、女の人かな?声を想像してみてね」と問いかけて演奏へ誘いました。

日頃は「音楽の先生」として授業を行うチェリストの田口先生は、今回はゲスト役。美しいチェロの音色で真剣に演奏する先生の姿は、いつもと違う雰囲気で子どもたちの心に響いたのではないでしょうか。

子どもたちの質問コーナーでは、予想もしない様々な質問が飛び出します。「ギターは穴があって音が響くんだと思うのですが、チェロってどうして穴がこんなに小さいのにあんなに大きな音が出るのですか?」「ピアノの鍵盤数は88鍵だけどハンマーは88個あるのですか」「チェロの一番上と下に、赤と青の紐がついているのは何ですか?」など、率直な疑問に「すごくいい質問ですね!」と一つ一つ丁寧に2人で答えてくださいました。

そして「いろいろなチェロ奏法を取り入れた田口先生の演奏をお聴きください」という紹介で、カサド「愛のことば」の演奏で締めくくりました。

最後の校歌の合唱共演では、「みなさんすごくよく声が出ていて素晴らしかった!」と先生たちからも称賛の声。あっという間の45分が終了しました。

鳥羽瀬宗一郎先生(ピアノ)より

数年ぶりに学校クラスコンサートにお声かけ頂き、お伺いする草加市立栄小学校の音楽の先生は、良く知っている田口先生!しかもその田口先生と共演させて頂けると言う事で、当日を大変楽しみにしていました。

学校クラスコンサートの一番の良さは、間近で演奏を見て聴いてもらえる事だと思いますが、栄小学校の皆さんは演奏によく集中してくれていました。途中で「凄い!」と言う声が聞こえたりするのも学校クラスコンサートの良さで、演奏する側からすれば嬉しいものです。

ピアノのお話やチェロのお話も真剣に聞いてくれていましたが、「ピアノの鍵盤はいくつあると思う?」と聞くと「88鍵!」と言う答えが返ってきたのには驚きました。質問も沢山出て、コンサートが進むにつれて子供達との距離が近くなったように思いました。

子供達が目をキラキラさせながら演奏を聞いてくれたり、お話を聞いてくれたりする姿には嬉しさと共に感動もします。今回の学校クラスコンサートを通して、栄小学校の皆さんが音楽に、楽器により興味を持ってもらえたら大変嬉しく思います。

そして普段とは違う演奏家としての田口先生を見ることができた事も、子供達にとっては良かったのではないかと思います。久しぶりの学校クラスコンサートは、やはり素晴らしい事業だなと改めて思いました!

田口裕先生(チェロ/栄小学校の音楽の先生)より

この様な貴重な機会に私が演奏させて頂けるとは思っていなかったのでとても光栄に思いますし、また大恩人でもあります鳥羽瀬先生と共演出来た事に大変感謝しております。お話を頂いてからこの日を迎えるのを心待ちにしておりました。

普段は栄小学校の音楽の教員としての時間を毎日楽しく過ごしておりますが、こうして演奏家として普段一緒にいる子ども達の前で演奏するというのには多少の違和感と緊張感がありました。しかし、演奏中とても真剣に聴いてくれている子ども達の真剣な表情や、またリズムを身体で表現しているのを見て、何かを届け伝えられたのかなと思うと、演奏家として大変名誉な事だと思います。

またクラスコンサート後の授業では色々な質問や感想も絶えず、教員としてもしっかりと信頼をしてくれたのだなと実感があり、私にとって心から喜ばしい限りです。

クラスコンサートで様々な音や会話を通じて、子ども達に音楽や楽器に対しての興味を持ってもらうというのは大変素晴らしい事と再認識し、この様な機会を下さいました皆様に感謝致します。

4年生の担任の先生方より
  • 楽器の演奏を聴く機会は時々あっても、目の前で見る機会はなかなかありません。指の動き、表情など、日頃目の前で見ることができないものを見る中で「音楽を感じること」ができたと思います。
  • チェロとピアノの楽器の特徴と素晴らしさを目の前で見て聞いて鑑賞することができて、大変よかったと思います。
  • 最初の曲で児童の姿勢と顔つきが変わったことが印象的でした。
  • 音の速さや強弱を、耳はもちろん目や肌でも感じ取っていました。
  • 音を聴くだけでなく、どのように弾いているかにも注目していて、子どもたちも演奏者に魅了されていたように思います。
  • 校歌を一緒に歌う内容があり、一緒に活動できるのは素敵だなと思いました。来年も機会があればお願いします。
児童の皆さんの感想より(抜粋)
  • とても楽しかった
  • 白鳥(曲の印象が)がとても明るかった
  • 生演奏の迫力がすごかった
  • いつも見ない先生の姿にビックリ!
  • 思ったよりも音が大きくて驚いた
  • 解説がわかりやすかった
  • もっと聴きたかった
学校クラスコンサート
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