第1回 北本市立栄小学校
舞台は学校の音楽室。体育館でも大講堂でもなく、いつもの音楽室で、間近でプロの演奏家の音楽が生み出す感動を体感してもらおうと、このたび学校クラスコンサートがスタートした。
第1回目の会場となったのは、埼玉県の北本市立栄小学校。4年生と5年生の計3クラスで実施した。小学校高学年のみずみずしい感性は、ピアノやクラリネットの生の響きと出会うことによって、さらに活き活きとした表情を見せた。 その様子を映像とともにリポートする。
始業ベルが鳴り、音楽室に入ってくる生徒たち。大きくふたの開いたピアノが真ん中に。いつもあったピアノのはずなのに、今日は何だか違うぞ・・・?と、生徒たちも興味津々。
「みなさん、こんにちは!」と笑顔で現れたのは、ピアニストの佐藤展子さんと、クラリネット奏者の春澤真由美さん。
佐藤展子さんは、2001年に第25回ピティナ・ピアノコンペティションの特級グランプリ、春澤真由美さんは、中・高校の頃から全日本吹奏楽コンクールで連続金賞などと、いずれも才能豊かな若手の音楽家。
今日は、栄小学校の子どもたちのために、オリジナルのプログラムを用意。終始にこやかに、親しみやすい雰囲気で語りかけてくれる二人の演奏家に、生徒たちもすぐに親しんでいた。
まず初めは、ピアノ。「ピアノの鍵盤って、いくつあるかわかる?」「う~ん・・・?」
「もっと近くに来て見ていいよ。」の声に、クラス全員がピアノの周りを囲んで鍵盤を見つめる。
「50?」「100!」「80?」「じゃあ、そのうち、黒い鍵盤は?」「半分かな。」「もっと少なさそう。」・・・「これから弾く曲は、右手は黒い所しか弾かないので、よーく見ていてね。」と、ショパンのエチュード「黒鍵」を華やかに弾き始めた。
目の前で目まぐるしく動く指と、そこから奏でられる音の迫力に、「すごーい!!」と子どもたちは目を見張る。「何でそんなに速く弾けるの?」「難しい?」「間違えたらどうするの?」と、驚きの声が飛ぶ。ピアノの弦のそばにいた生徒は、指の動きとともに、いつもは閉まっているふたの中で、激しい動きが行われていることを発見。「見て見て・・・!」と友達を誘う。
「今度は、遠く~に響く音を聴いて欲しいな。」と佐藤さんが言うと、今度はに思い思いの席に。
「みんな、将来の夢ってあるかな。」
「サッカー選手!」「弁護士!」「お笑い芸人!」と、様々な声が飛ぶ。
「じゃあ、夜見る夢は、どんな夢?」
「こわい夢~。」
「これから弾く曲は、『夢』というタイトルです。夢といっても、幸せな夢。シューマンさんという人が、好きな女の子と結婚したいな~と思って見た夢の曲です。みんなも、自分の夢を思い描きながら、夢の中にいるように遠くの音を聴いてくださいね。」と、佐藤さん自身も大好きな曲、という「トロイメライ」を演奏した。さっきとはうってかわっての静かな響きに、みなシーンとして聴き入っていた。
次は、クラリネットの登場。 「今日、みんなが持っているリコーダーの仲間を連れてきました。」という説明に、みな自分の手元のリコーダーと、見比べる。 目の前でクラリネットを見たり聴いたりしたことのない生徒たちは、「何でクラリネットっていうの?」「いくつ穴があるの?」と、真剣に覗き込む。
ひととおり楽器の説明をした後、「でも、今はこれじゃあ満員電車に乗れませんね。だから、こうやって分解して持ち歩いています。クラリネットは、実は5つのパーツにわかれています。これから弾く曲では、1つずつパーツをはずしていくので、音が出るか、聴いていてね。」と、シュライナーの「インマー クライナー」を演奏し始めた。
「今度は、遠く~に響く音を聴いて欲しいな。」と佐藤さんが言うと、今度はに思い思いの席に。
「みんな、将来の夢ってあるかな。」
「サッカー選手!」「弁護士!」「お笑い芸人!」と、様々な声が飛ぶ。
「じゃあ、夜見る夢は、どんな夢?」
「こわい夢~。」
「これから弾く曲は、『夢』というタイトルです。夢といっても、幸せな夢。シューマンさんという人が、好きな女の子と結婚したいな~と思って見た夢の曲です。みんなも、自分の夢を思い描きながら、夢の中にいるように遠くの音を聴いてくださいね。」と、佐藤さん自身も大好きな曲、という「トロイメライ」を演奏した。さっきとはうってかわっての静かな響きに、みなシーンとして聴き入っていた。
「次は、みんなが得意な曲を、一緒に弾きましょう。リコーダーを出してください。」と促すと、誰ともなくリコーダーの頭の部分をはずして「ピーッ!」。さっき見たクラリネットの分解劇、このリコーダーでもできるのかな?と、早速やってみたのだ。さすがに吸収が早い。「そうそう、みんなのリコーダーでも、できるよ。」と、春澤さん。みんなも真似をして、てのひらや指を使って音を変えてみる。
「これだけだと、色々な音が出ないから、下の部分をつけて、音階を作っているの。では、つけてみて、演奏してみましょう。」と、『パフ』をみんなで合奏。
最後には、栄小学校の校歌を、ピアノとクラリネットとあわせて合唱して締めくくった。
音楽の時間はあっという間にすぎ、そろそろお別れの時間。「もっと聴きたい!」とせがまれて、アンコールに楽しい『クラリネット・ポルカ』を演奏。軽快なリズムに、聴きながら頭をふってリズムを感じる子どもたち。
授業が終ると、ピアノやクラリネットのそばに寄って行き、「どうやって音を出してるの?」「あの曲、弾いて!」と、まわりにかじりついて、好きなこと、興味のあることを次々に聞く姿が見られた。
いつも置いてあるピアノと、遠い存在だったクラリネットが、生徒たちの中で「身近な楽器」に変わった瞬間だった。
- ショパン「黒鍵」(5年生は「子犬のワルツ」)
- シューマン「トロイメライ」
- シュライナー「インマー・クライナー」
- 「星に願いを」(5年生は エルガー「愛のあいさつ」)
- 「パフ」(5年生は「オーラリー」)
- 栄小学校校歌
◎協力: 埼玉県北本市立栄小学校 ・ 北本市 ・(株)東音企画