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大井浩明フォルテピアノリサイタル《シューベルトの時の時 Schubertiade von Zeit zu Zeit》第5回(全5回公演)
日時
2024年3月22日(金)
開演:19:00(開場:18:30)
開演:19:00(開場:18:30)
会場
出演者
料金
4000円(全自由席) [3公演パスポート 11,000円 5公演パスポート 18,000円]
プログラム
使用楽器 ヨハン・クレーマー(Johann Krämer)製作フォルテピアノ(1825年ウィーン、80鍵、4本ペダル、430Hz) [タカギクラヴィア(株)所蔵]
【第5回公演】
F.シューベルト:《楽興の時 D 780》(1823/28)
F.シューベルト:《クラヴィアソナタ第21番変ロ長調 D 960》(1828)
F.シューベルト/M.フィニッシー(1946- ):《ソナタ断章 D769a》(1823/2024、世界初演)
近藤譲(1947- ):《ペルゴラ》(1994/2024、ピアノ独奏版初演)
【第5回公演】
F.シューベルト:《楽興の時 D 780》(1823/28)
F.シューベルト:《クラヴィアソナタ第21番変ロ長調 D 960》(1828)
F.シューベルト/M.フィニッシー(1946- ):《ソナタ断章 D769a》(1823/2024、世界初演)
近藤譲(1947- ):《ペルゴラ》(1994/2024、ピアノ独奏版初演)
メッセージ
シューベルトの後期クラヴィアソナタの復権は、20世紀後半を待たねばならなかった。数百~数千席の大ホールでは、外面的・即時的な演奏効果とは縁遠い内向的なシューベルト作品に、爛熟した後期ロマン派の過剰な演出を施される事も多く見られた。
シューベルトの主要クラヴィア作品を、フォルテピアノの繊細な息遣いが聴き手にもダイレクトに届く親密なサロンの空間で、当時の演奏慣習(Historische Aufführungspraxis)に則って行われる本シリーズは、日本国内では初の試みとなり、同一会場での集中的な連続コンサートとしては欧米での先例も見当たらないと云う。
現代音楽の演奏で名高い大井浩明は、ベルン芸術大学(スイス)で名匠イェルク・エヴァルト・デーラー教授からフォルテピアノによるシューベルト演奏法の手ほどきを受けて以来、長らくこの楽器にも取り組んできた。日本モーツァルト協会例会にて寺神戸亮指揮レ・ボレアード(古楽器オーケストラ)とフォルテピアノで協奏曲(KV453)を共演、その成果により第61回文化庁芸術祭新人賞を受賞(2006)。また、ベートーヴェン:クラヴィアソナタ全32曲ならびにリスト編交響曲全9曲を、時代順様式別の9種類のフォルテピアノで弾き分けるシリーズ(全13公演)を開催、NHK-BS「クラシック倶楽部」等で紹介され、第15回日本文化藝術賞を受賞している(2008/09)。近年では、1843年製プレイエルで初期ロマン派(ベルリオーズ/ショパン/シューマン/リスト/アルカン)を5回シリーズで紹介(2020/21)、1887年製スタインウェイで後期ロマン派(ワーグナー/フランク/ブラームス/フォーレ/レーガー)を同じく5回シリーズでを取り上げた(2021/22)。これらのプログラミングは、いずれも本邦初の試みであった。大井にとって長らく「伏せ札」であったシューベルトチクルスは、いわば一連のフォルテピアノシリーズの完結編にあたる。
大井は、チェンバロ・クラヴィコード・フォルテピアノ・オルガンといった古楽器のためにも、内外の作曲家に新作委嘱を続けており、この十数年で既に40曲以上に及ぶと云う。本シリーズでは、南聡、横島浩、杉山洋一、小林純生、そしてマイケル・フィニッシーが書き下ろしたフォルテピアノのための新作が、併せて世界初演される。
1825年ウィーンのヨハン・クレーマー製作によるオリジナル楽器(80鍵、4本ペダル、430Hz)の修復にあたるタカギクラヴィア(株)社長・高木裕は、つい先ごろ(2023年2月)、「ヴィンテージピアノを極力オリジナルのままに、今なお生きた楽器として当時の音をステージから伝えている」長年の功績を称え、第33回日本製鉄音楽賞を受賞したばかりである。
シューベルトの生前、個人宅のサロンで気の置けない仲間たちが集まり音楽を楽しんだ催しは、当時「シューベルティアーデ(シューベルトの集い)」と呼ばれた。音楽構造を決定付ける音像の距離・乖離、そして「沈黙」の重みを、至近距離で聴き手がそのまま味わえる200年前のピリオド楽器(古楽器)を通じて、自身が病に斃れ貧困のうちに夭折したシューベルトの19世紀ウィーンと、コロナ禍によって多様なコミュニケーションの有りようが一変した21世紀の東京を切り結ぶ、都市の日常生活に根差した「そのときどき (von Zeit zu Zeit)」のシューベルティアーデに想いを馳せたい。(三輪与志)
シューベルトの主要クラヴィア作品を、フォルテピアノの繊細な息遣いが聴き手にもダイレクトに届く親密なサロンの空間で、当時の演奏慣習(Historische Aufführungspraxis)に則って行われる本シリーズは、日本国内では初の試みとなり、同一会場での集中的な連続コンサートとしては欧米での先例も見当たらないと云う。
現代音楽の演奏で名高い大井浩明は、ベルン芸術大学(スイス)で名匠イェルク・エヴァルト・デーラー教授からフォルテピアノによるシューベルト演奏法の手ほどきを受けて以来、長らくこの楽器にも取り組んできた。日本モーツァルト協会例会にて寺神戸亮指揮レ・ボレアード(古楽器オーケストラ)とフォルテピアノで協奏曲(KV453)を共演、その成果により第61回文化庁芸術祭新人賞を受賞(2006)。また、ベートーヴェン:クラヴィアソナタ全32曲ならびにリスト編交響曲全9曲を、時代順様式別の9種類のフォルテピアノで弾き分けるシリーズ(全13公演)を開催、NHK-BS「クラシック倶楽部」等で紹介され、第15回日本文化藝術賞を受賞している(2008/09)。近年では、1843年製プレイエルで初期ロマン派(ベルリオーズ/ショパン/シューマン/リスト/アルカン)を5回シリーズで紹介(2020/21)、1887年製スタインウェイで後期ロマン派(ワーグナー/フランク/ブラームス/フォーレ/レーガー)を同じく5回シリーズでを取り上げた(2021/22)。これらのプログラミングは、いずれも本邦初の試みであった。大井にとって長らく「伏せ札」であったシューベルトチクルスは、いわば一連のフォルテピアノシリーズの完結編にあたる。
大井は、チェンバロ・クラヴィコード・フォルテピアノ・オルガンといった古楽器のためにも、内外の作曲家に新作委嘱を続けており、この十数年で既に40曲以上に及ぶと云う。本シリーズでは、南聡、横島浩、杉山洋一、小林純生、そしてマイケル・フィニッシーが書き下ろしたフォルテピアノのための新作が、併せて世界初演される。
1825年ウィーンのヨハン・クレーマー製作によるオリジナル楽器(80鍵、4本ペダル、430Hz)の修復にあたるタカギクラヴィア(株)社長・高木裕は、つい先ごろ(2023年2月)、「ヴィンテージピアノを極力オリジナルのままに、今なお生きた楽器として当時の音をステージから伝えている」長年の功績を称え、第33回日本製鉄音楽賞を受賞したばかりである。
シューベルトの生前、個人宅のサロンで気の置けない仲間たちが集まり音楽を楽しんだ催しは、当時「シューベルティアーデ(シューベルトの集い)」と呼ばれた。音楽構造を決定付ける音像の距離・乖離、そして「沈黙」の重みを、至近距離で聴き手がそのまま味わえる200年前のピリオド楽器(古楽器)を通じて、自身が病に斃れ貧困のうちに夭折したシューベルトの19世紀ウィーンと、コロナ禍によって多様なコミュニケーションの有りようが一変した21世紀の東京を切り結ぶ、都市の日常生活に根差した「そのときどき (von Zeit zu Zeit)」のシューベルティアーデに想いを馳せたい。(三輪与志)
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