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ドビュッシー没後100年記念小川典子ピアノ・リサイタル
日時
2018年9月29日(土)
開演:05:00(開場:04:30)
料金
全席指定:4,000円 U25(小学生から25歳):1,500円
メッセージ
 ~ドビュッシーの音世界をしなやかに、明快に描くピアニズム ~  クロード・ドビュッシーのピアノ曲は、現代のピアニストにとってもピアノ音楽史にとっても、重要な存在である。日本が近代化への道をひたすら歩んでいた約1世紀前、彼は賛否両論を巻き起こした独特の和声などを駆使し、新しいピアノ音楽の世界を開拓していた。詩的かつ映像的なタイトルが付けられた曲も多く、私たちはその音楽を聴きながら(想像上ではあるものの)短い旅をすることができる。水辺の爽快感と光、憧れのアジア、月夜の幻想、かつて栄えた時代への追憶、伝説の中に現れる不思議な光景。ドビュッシーは、そうしたものを精妙なハーモニーと異国情緒あふれるメロディなどで演出し、音楽絵巻のようにして聴かせてくれる。  ピアノ作品全集(CD6枚)を録音し、ドビュッシーに多大な影響を受けた武満徹の作品なども主要なレパートリーにしている小川典子。決して和声や響きを曖昧にせず、音のひとつひとつを立たせ、綾のようなメロディラインを絹糸のような線として描き出す。その感触は、色あせていた往年の映像をデジタル処理して鮮明にし、明快なフォルムを浮き立たせる作業と似ているかもしれないし、ナチュラル・ウォーターのミスト(霧)を浴びるような爽快感かもしれない。 「ドビュッシー自身は自らの音楽を『印象派』だと考えてはおらず『象徴派』だと言っていました。何となく適当に(印象だけで)弾く音楽だと捉えられることを避けたかったのでしょう。ドビュッシーは音楽の輪郭を大切にしていましたが、私も楽譜に書かれた細かい指示に従うことで独特の響きが生まれ、流れが良くなると感じています」  作曲者の没後100年を記念したリサイタルは、そうした小川典子の、そしてドビュッシーの美感を味わえる午後のひとときだ。あらゆるものが音楽という形になってミューザ川崎シンフォニーホールの空間に出現し、広がりながら、心地よくあなたを包む。言葉にできないその感触は、その場に居合わせた者だけが味わえるスペシャルな体験なのだ。                                 オヤマダアツシ(音楽ライター)
問合せ
044-520-0200(10:00~18:00)
主催者
ミューザ川崎シンフォニーホール(川崎市文化財団グループ)